□猫組としての心得□

転入生がやって来た。３

瀬野尾の登場にどよめく教室内。
感嘆にも似た溜息すら聞こえてきた。
転入生の瀬野尾と言う男はクラス中の男共をそのくらい魅了するほどに整った容姿をしていました。

背はこのクラスの平均である165㎝を優に越え180㎝くらいはありそうか。
因みに俺は176㎝。このクラスでは高い方です。
学校で見ると平均身長。
やはり猫組と呼ばれるだけはあるよなこのクラス。

あと、茶髪に染められた髪の毛は両脇を少し遊ばせてはいるが爽やかだし、
何より整った顔立ちは男でさえ魅了するくらいに甘い。
なんて言うんだっけ？ドル系ってやつか？
とにかくまぁなんつーか、この学校のタチに相応しいくらいの転校生がこの猫組にやってきちゃったわけです。
なんだコレは？誰の嫌がらせだ？神か？ふざけんなよ神め。

(ダメだ。あかん。コイツ絶対このクラスに馴染めねー…馴染むどころか引っ掻き回す側の人間じゃねーか)

と俺だけが今ある現実を重く受け止めて…
いや待て、決め付けるのはまだ早いんじゃないか俺？
いくらイケメンとは言っても全てタチ側の人間だとは限らないだろ？
現にこのクラスにだってイケメンは何人かいるじゃないか。
確か美人受けってやつだったか？
ぶっちゃけ俺には美人もイケメンも一緒の類だ。
細かく分類しだしたらキリがないし俺にはそんな事どうだっていい。
頭の片隅で友人の腐男子が「分類は大事だろ！何言ってんの！！」とか煩いが知ったことか。ちょっと黙ってろお前。
要は彼等がネコ側の人間だと言う事実さえあればいいのだ。
平凡と呼ばれている人達だってネコ側だったりするし。
何たってここはあの猫組だ。
早々タチ側が混ざってくるわけがない。
そうだろ、そうに違いない。

俺は自己暗示のように自分にそう言い聞かせました｡

がしかし！

世の中そう上手くいかなかったわけなんです。