□猫組としての心得□

ハタセ

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転入生がやって来た。4

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時は遡る事15分前

瀬野尾の自己紹介が終わり、彼が窓側1番後ろの席に座ったのを確認した担任は俺の名前を呼んだ。

「彰元くん」

(ゲッ……やっぱ俺なんすかセンセー…?)

予想はしていた事だったが今回ばかりは関わりたくないのだ。

担任にムリムリと目で訴えてはみたものの
俺の他にめぼしい生徒などこの教室に居るはずもなく
適材適所よろしくねと言わんばかりに逆に担任が目で訴えてくる。
そんな事は俺だって重々承知の上だし、これ以上担任を困らせたらそれこそ俺が地獄を見る事になるのです。
何たって猫組の担任です。
彼もまた、ネコとしてある1人の生徒に可愛がられているのですよ。
しかもその相手が不良ときたもんだ。
よって俺に勝ち目なし。たはー!生きるのつれぇ!世の中生きるのつれぇよぉ!!

「君に頼める、かな?」

弱々しい声で俺に面倒事を押し付けてくる担任。
あなたのその仕草を可愛いと思うのは彼だけですよセンセ。俺には効きません。効果無し。
ですが、毎回こんな感じで自分にクラスの面倒事を押し付けられるので最近では俺自身でさえ慣れてきてしまっていた。

これが当たり前となったらおしまいだなと内心溜息をついた。

「…校内案内でいいんですよね?」

一応確認とかしちゃうけど。

「うん。よろしく頼むね」

あ、やっぱりそういう事ですよねー。
学級委員でも何でもない俺に案内とかさせちゃいますよねー。
うん、分かってたけどね。
だって猫組だもんねこのクラス…。
俺以外の奴に案内なんかさせたら
転入生の瀬野尾なんかあっという間に相手のタチにフルボッコにされ、良くて病院送りですよ。
転入初日にトラウマ決定だよね。

と言う事があるかもしれないのでここは俺の出番なわけです。
校内案内なんて終始2人っきりの状況ですからね
そりゃ恋人が居る奴に頼む事なんて出来ないよな。
タチ側の立場を考えれば、自分の好きな相手を俺が転入生から守ってるように見えるし
ネコ側からすれば自分の相手に疑われるような行動をしなくて済む。
転入生もそれで一日平和に過ごせるってわけです。
つまり誰も傷付かずに済むわけだ。
まぁ平和ならそれに越した事はないよな。うん。

「…へい」

担任に軽く返事をしてから俺は斜め後ろの席に座る人物にそっと声を掛けた。
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