□猫組としての心得□

レッツコミュニケーション。

｢てコトで瀬野尾くん、このホームルーム終わったら俺に付いてきてくれね？テキトーに案内すっからさ｣

それに気付いた瀬野尾は軽く頷いてくれた。

良かった。絡み辛い奴ではなさそうだ。
愛想が良いならそれに越した事はないからね。
このクラスでは得にな。
ても、大問題なのは瀬野尾のこの顔だ。
取りあえず案内がてらタチかネコかだけは聞いとくべきだなと俺はホームルーム終了の鐘が鳴る中で呟いた。

そして今に到るわけです。

｢えーと、じゃあどこから案内しよっかね？職員室と理事長室は知ってるんだよな？｣

瀬野尾を教室から連れ出し、ざわつく廊下を俺達は肩を並べて歩いている。
うん、やっぱ背高いなコイツ。
足も長いし、腰の位置が全然違う。
神様って不平等だよなー。あーあ。やってらんねー。

｢ああ、職員室からこの教室までは覚えた｣

｢おー、結構遠いのに！瀬野尾くんは物覚えいい方？｣

２年でエスカレーター式の学校に来るからにはまぁ当然頭も良いか。
この質問は失敗だったなぁ…後で反省会しよう俺。

｢いや、たまたまだって。つーか、くん付けやめてくんねーかな？何かムズムズするわその呼び方｣

そう言ってはにかむように瀬野尾は笑った。

｢おー、んじゃ瀬野尾って呼ぶな？あっ俺自分の紹介してなかったよな？えっと、彰元 楽です。これからよろしくな。｣

｢ああ、こちらこそよろしく。楽って呼んでいいか？｣

｢おう、好きなように呼んでくれ｣