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28話 契約完了
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宿を引き払ったあとは、アンドリューさんが逗留している区画に向かった。
するとどういうわけか、アンドリューさんは、リーゼマスターと何やら話し込んでいるのが見えた。
「アンドリューさん、リーゼマスター」
「お二方、おはようございます」
横合いから失礼するが、こっちも大事な話があるんでな。
「おぉ、リオにお嬢さん、おはようさん!」
「リオくん、アイリスさん、おはよう」
お互い挨拶を終えたところで。
「アンドリューさん、今って少し時間大丈夫ですか?」
「うむ、構わんぞ。リーゼさんもいいかね?」
「はい、二人のことを優先してあげてください」
リーゼマスターは、俺とアイリスが話しやすいように一歩引いてくれる。すいませんね。
「察するに、昨日の話のことか?」
話が早くて助かる。
「はい。専属冒険者のお話、お引き受けさせてください」
アイリスが最初にそう言ってくれるのは、事前の打ち合わせ通りだ。俺の口から言うと、昨日に待ったをかけたこともあって、『アイリスに強制させている』ようにも聞き取れてしまうからな。
だから、彼女の口から言わせることで、『この決定意思はアイリス個人のもの』であることを示すのだ。
「俺も同じくです」
続けて俺も便乗する。
「おぉ、引き受けてくれるか!ありがたい!」
俺達二人とも専属冒険者になると聞いて、アンドリューさんは破顔して喜ぶ。
喜んでいるところ悪いが、続けて依頼の話も持ち込む。
「それでアンドリューさん。俺が今現在受けている、『アイリスを一人前の冒険者にする』と言う依頼なんですが、これはもう十分達成出来たと思います」
カイツールに来ていきなりアンドリューさんに依頼された内容だ。
アイリスはまだ青銅級の冒険者だが、俺の目から見てももう一人立ちしてもいいくらいだ。
本来なら、これにて契約終了と言うことで俺とアイリスはここでお別れするはずだったんだが、アンドリューさんから専属冒険者の話が舞い込んで来て、俺達二人とも受けることになったので、依頼を受けている上からさらに依頼を重ねる形になったのだ。
個人的な契約とは言え、依頼は依頼、報酬の支払いはしっかり履行してもらいたい。俺も慈善事業でやってるわけじゃないんでな。
「あぁなるほどな、報酬はどうするんだと言う話だな。前の護衛依頼から上乗せすると言う形だったしな、それなら……」
少し間を置いてからアンドリューさんが提示した報酬は、一黒鉄級冒険者が受け取っていいものではないような、目玉が飛び出そうになるほどの額の小切手だ。隣で聞いていたアイリス(元公爵令嬢)でさえ絶句するほどの。
単純な金額なら、白銀級……しかも特別危険な依頼に迫るほどだぞ?
「えっ……と、アンドリューさん?一応訊きますが、言い間違いとかはありませんよね?」
「おぅ、上乗せした分や、お前さんへの手間賃やらも足してこれだ。これで構わんか?」
「は、はぁ……ちょっと貰いすぎな気もしますけど。それで大丈夫です」
契約主と冒険者、双方が同意したのでこれにて依頼は完了だ。
で、次は俺とアイリスが受ける、商隊の専属冒険者になる上での契約だ。リーゼマスターにはちょっとお待たせして申し訳ない。
「それで、商隊の専属冒険者になると言う依頼のことも話しておきたくてですね」
「うむ。そう言うと思って、昨日の内に契約書を用意しておいたぞ。しっかり目に通してくれ」
アンドリューさんは手荷物から、俺とアイリスの分、それぞれ二枚の契約書を手渡してきた。
受け取って、内容を目に通していき……
「……本当にこの内容でいいんですか?」
「あの、私も……これ、ちょっと破格すぎると言うか……」
俺は目を疑い、やはりアイリスも同じことを思ったらしい。
契約内容を簡単に説明すると。
・リオ、並びにアイリスは商隊の一員として従事する。
・三食支給。消耗品、怪我・病気の治療、武具の整備修理費用などは商隊が持ち、基本給は他商隊員に準ずる。
・危険手当などによるボーナスあり。
・リオ、並びにアイリスが回収・もしくは奪取した物資の所有権は本人に属し、その処遇は本人の自由裁量に任される。
と言うものだ。
有り体に言えば『必要に応じて身体を張ってくれれば、世話面倒は全部こっちで見てやる』と言った内容。
はっきり言って、冒険者からしてみれば破格と言ってもいい。
もう一度書面を端から端まで目を凝らして通してみるが、『どうとでも解釈出来るような不透明かつ意図的な不備』なども見当たらない。
学のない俺はともかく、アイリスのようなお嬢様でさえ見当たらないと言う。
故に不安すら覚える。何故ここまでサービスするのかと。
するとアンドリューさんはニカッと笑ってこう答えた。
「言っただろう、オレはお前さんら二人が気に入ったと。それに、ヴェイルワイバーンの一件もあるしな。将来性を見込んだ投資と……あとは、オレの勘だ。これから、長い付き合いになるだろうからな」
その人の良さそうな笑顔は、とても演技のそれには見えない。
「まぁ、俺はこの内容に不服はありません。アイリスはどうだ?」
「そ、そうですね。私もこの契約内容で問題ありません」
「よし、それじゃぁここにサインをしてくれ」
アンドリューさんからペンを受け取り、署名欄に名前を書き込む。
「これにて契約成立だ、これからよろしく頼むぞ二人とも!」
満足げに頷くアンドリューさんを見て、「この人にならちょっと騙されてもいいかもな」と思ってしまった辺り、俺も大概人が良いと思う。
するとどういうわけか、アンドリューさんは、リーゼマスターと何やら話し込んでいるのが見えた。
「アンドリューさん、リーゼマスター」
「お二方、おはようございます」
横合いから失礼するが、こっちも大事な話があるんでな。
「おぉ、リオにお嬢さん、おはようさん!」
「リオくん、アイリスさん、おはよう」
お互い挨拶を終えたところで。
「アンドリューさん、今って少し時間大丈夫ですか?」
「うむ、構わんぞ。リーゼさんもいいかね?」
「はい、二人のことを優先してあげてください」
リーゼマスターは、俺とアイリスが話しやすいように一歩引いてくれる。すいませんね。
「察するに、昨日の話のことか?」
話が早くて助かる。
「はい。専属冒険者のお話、お引き受けさせてください」
アイリスが最初にそう言ってくれるのは、事前の打ち合わせ通りだ。俺の口から言うと、昨日に待ったをかけたこともあって、『アイリスに強制させている』ようにも聞き取れてしまうからな。
だから、彼女の口から言わせることで、『この決定意思はアイリス個人のもの』であることを示すのだ。
「俺も同じくです」
続けて俺も便乗する。
「おぉ、引き受けてくれるか!ありがたい!」
俺達二人とも専属冒険者になると聞いて、アンドリューさんは破顔して喜ぶ。
喜んでいるところ悪いが、続けて依頼の話も持ち込む。
「それでアンドリューさん。俺が今現在受けている、『アイリスを一人前の冒険者にする』と言う依頼なんですが、これはもう十分達成出来たと思います」
カイツールに来ていきなりアンドリューさんに依頼された内容だ。
アイリスはまだ青銅級の冒険者だが、俺の目から見てももう一人立ちしてもいいくらいだ。
本来なら、これにて契約終了と言うことで俺とアイリスはここでお別れするはずだったんだが、アンドリューさんから専属冒険者の話が舞い込んで来て、俺達二人とも受けることになったので、依頼を受けている上からさらに依頼を重ねる形になったのだ。
個人的な契約とは言え、依頼は依頼、報酬の支払いはしっかり履行してもらいたい。俺も慈善事業でやってるわけじゃないんでな。
「あぁなるほどな、報酬はどうするんだと言う話だな。前の護衛依頼から上乗せすると言う形だったしな、それなら……」
少し間を置いてからアンドリューさんが提示した報酬は、一黒鉄級冒険者が受け取っていいものではないような、目玉が飛び出そうになるほどの額の小切手だ。隣で聞いていたアイリス(元公爵令嬢)でさえ絶句するほどの。
単純な金額なら、白銀級……しかも特別危険な依頼に迫るほどだぞ?
「えっ……と、アンドリューさん?一応訊きますが、言い間違いとかはありませんよね?」
「おぅ、上乗せした分や、お前さんへの手間賃やらも足してこれだ。これで構わんか?」
「は、はぁ……ちょっと貰いすぎな気もしますけど。それで大丈夫です」
契約主と冒険者、双方が同意したのでこれにて依頼は完了だ。
で、次は俺とアイリスが受ける、商隊の専属冒険者になる上での契約だ。リーゼマスターにはちょっとお待たせして申し訳ない。
「それで、商隊の専属冒険者になると言う依頼のことも話しておきたくてですね」
「うむ。そう言うと思って、昨日の内に契約書を用意しておいたぞ。しっかり目に通してくれ」
アンドリューさんは手荷物から、俺とアイリスの分、それぞれ二枚の契約書を手渡してきた。
受け取って、内容を目に通していき……
「……本当にこの内容でいいんですか?」
「あの、私も……これ、ちょっと破格すぎると言うか……」
俺は目を疑い、やはりアイリスも同じことを思ったらしい。
契約内容を簡単に説明すると。
・リオ、並びにアイリスは商隊の一員として従事する。
・三食支給。消耗品、怪我・病気の治療、武具の整備修理費用などは商隊が持ち、基本給は他商隊員に準ずる。
・危険手当などによるボーナスあり。
・リオ、並びにアイリスが回収・もしくは奪取した物資の所有権は本人に属し、その処遇は本人の自由裁量に任される。
と言うものだ。
有り体に言えば『必要に応じて身体を張ってくれれば、世話面倒は全部こっちで見てやる』と言った内容。
はっきり言って、冒険者からしてみれば破格と言ってもいい。
もう一度書面を端から端まで目を凝らして通してみるが、『どうとでも解釈出来るような不透明かつ意図的な不備』なども見当たらない。
学のない俺はともかく、アイリスのようなお嬢様でさえ見当たらないと言う。
故に不安すら覚える。何故ここまでサービスするのかと。
するとアンドリューさんはニカッと笑ってこう答えた。
「言っただろう、オレはお前さんら二人が気に入ったと。それに、ヴェイルワイバーンの一件もあるしな。将来性を見込んだ投資と……あとは、オレの勘だ。これから、長い付き合いになるだろうからな」
その人の良さそうな笑顔は、とても演技のそれには見えない。
「まぁ、俺はこの内容に不服はありません。アイリスはどうだ?」
「そ、そうですね。私もこの契約内容で問題ありません」
「よし、それじゃぁここにサインをしてくれ」
アンドリューさんからペンを受け取り、署名欄に名前を書き込む。
「これにて契約成立だ、これからよろしく頼むぞ二人とも!」
満足げに頷くアンドリューさんを見て、「この人にならちょっと騙されてもいいかもな」と思ってしまった辺り、俺も大概人が良いと思う。
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