タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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29話 旅立ちは鑑定士と白銀級冒険者と共に

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 俺とアイリスの二人が、アンドリューさんの商隊の専属冒険者として契約してから。

 今日は商隊がカイツールを出立する日。
 前日の内に出立準備を整えて、その翌朝は早朝から宿を引き払って商隊の出立準備の手伝いに回るのだ。

 アンドリューさんに同行する商人達や、護衛依頼を受けた冒険者達の合間を縫って、商隊長たるアンドリューさんを捜し――すぐ見つかった。
 マグカップを片手に地勢図を広げて、進路の確認をしているようだ。

「アンドリューさん、おはようございます」

「おはようございます、商隊長さん」

 こちらから挨拶すると、アンドリューさんはすぐに顔を上げて挨拶を返してくる。

「おぅ、おはようさん二人とも。ちょうどいいタイミングで来てくれたな」

 ちょうどいいタイミングとな?

「何かやってほしいことがあるんですか?」

「うむ。ちょいと待ってくれ」

 マグカップを地勢図の上に置いて、馬車の方に向かうアンドリューさん。何やら馬車の中にいる誰かを呼んでいるようだ。

 すると馬車の中から出てきたのは、ピンク髪の受付嬢――エトナだった。

 何故彼女がここに、と疑問に思っている間にもアンドリューさんは得意気な顔をして。

「紹介しよう、のエトナだ!」

「……よろしくお願いします」

 ぺこりとお辞儀するエトナ。
 いやいやいや、そうじゃなくて。

「えー、アンドリューさん?これは一体どういう……?」

 隣でアイリスも何がなんだかと、アンドリューさんとエトナを見比べて右往左往している。

「実はな、彼女は今のギルドをクビになったそうだ」

「「クビ!?」」

 俺とアイリスの声が重なった。
 ちょっと待て、それは本当に意味が分からんぞ?

「あの、それはわたしから」

 困惑する俺とアイリスに、エトナはぱっと手を上げて説明する。

 ――曰く、先日の"拉致事件“を境に、受付嬢として勤務することが精神的に困難になってしまい、それを理由にリーゼマスターから解雇を宣告された。
 が、その後ですぐにアンドリューさんと面接させられ、鑑定士として商隊に就職することが決まったと言う――。

 つまりリーゼマスターは、エトナの心身状態を考慮し、再就職先まで宛がった上で、彼女を解雇した……と言う筋書きだろう。なんだ良い人じゃないか。

「と言うわけでして、よろしくお願いします。リオさん、アイリスさん」

 再度お辞儀するエトナ。

「ギルド受付嬢の資格を持った、高位の鑑定士は引く手数多だからな。他に取られる前に先んじて確保させてもらったと言うわけだ!」

 ハッハハッ!と豪快に笑うアンドリューさん。

「な、なるほど?」

 クビになったと言う経緯を聞いて、アイリスは戸惑いながらも納得している。

「そう言うことでな。同じ仲間として、二人とも仲良くしてやってくれ」

 いつの間にエトナがギルドから追放……追放?されて、商隊専属の鑑定士に転職していたことには驚いたが、そう言うことなら納得だ。



 受付嬢エトナではなく、鑑定士エトナとしての自己紹介が終わったら、せっせと出立準備をして回る。
 アイリスとエトナと言う美少女を目の当たりにして見惚れている冒険者が何人かいる――が、その視線を、若干敵意混じりのそれを俺に向けてきた。
 あの二人とお近づきになれていて羨ましいんだろうがな、こっちはそんなつもりは一切ない。
 なので、敵意混じりの視線には「なんだやんのかコラ」とメンチ切りで返すと、すぐに気まずそうに視線を逸らした。

 そんなことがありつつも、さてそろそろ出発だと言うところで、

「あぁよかった、間に合ったかな」

 聞き覚えのある声がしたのでそちらに振り向くと――リーゼマスターが駆け寄って来ていた。エトナの見送りに来たのだろうか、しかしそれにしてはやけに荷物を抱えている。

「リーゼマスター、おはようございます」

「おはようリオくん、アンドリューさんはどちらにいらっしゃるのかな?」

「アンドリューさんなら先頭の馬車ですよ、案内します」

「ありがとう」

 アンドリューさんに何か用があるらしいので、先頭の馬車の近くにいる彼の元まで案内する。
 すると、アンドリューさんもリーゼマスターの姿を見て歩み寄ってくる。

「おぉ、リーゼさん。見送りに来てくれたのか?」

「いいえ、お見送りではなく、売り込みに来ました」

 見送りに来たのではないと言うリーゼマスターだが、売り込み?



のリーゼと申します。突然で申し訳ないのですが、私も商隊専属の冒険者として雇い入れていただけませんか?」



「……へ?」

 一瞬、何を言ったのか理解出来なかった。
 白銀級冒険者?リーゼマスターが?
 いや、肝心なのはそこじゃない。

「良かろう、採用!」

「って軽っ!?いいんですかアンドリューさん!?」

「ん?白銀級冒険者ならまさに百人力だ。それもこんな美人さんならなおよし、だろう?」

「いや、そうじゃなくて、そうじゃなくてですね?」

 あんたこんなところで何してるんだとか、ギルドマスターの仕事はどうするつもりなんだとか、白銀級冒険者とか初耳なんだがとか、聞きたいことが一気に出てきて頭が混乱している。

「やった♪よろしくね、リオくん」 

「よーし、そろそろ出発するぞ!護衛の冒険者は、配置についてくれー!」

 そこに畳み掛けるようにアンドリューさんの出発の合図が。

 ツッコミが……ツッコミが追い付かん!!
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