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マギアアームド・ファンタジア
28話 ささやかな祝勝会
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「昇級クエスト、クリアおめでとうございます。アロウ様、カノラ様の二名は、これよりEランクのクエストを受注可能になります」
酒場に帰還した三人は受付カウンターで報酬を受け取り、戦利品を引き渡すことで追加の報酬も上乗せされる。
そして、アロウとカノラはEランクへとランクアップした。
報酬を受け取り、ランクアップを確認してから、三人は酒場の一席を陣取った。
MAF内ではビットを払うことによって、食事を取ることも可能で、食べても他のゲームのようにステータスアップやスキルの発動などは無く、実際にカロリーや栄養を摂取することも出来ないのだが、「ちょっと何か食べたい、飲みたい気分」になった時に、気分を満たすくらいの効果はある。
例えば、今のアロウ達のように、ひとつの目標を達成した時のように。
「では、アロウさんと、カノラさんのEランク昇級をお祝いして……」
「「「かんぱーい!」」」
ルナが取る音頭に、アロウとカノラはジョッキ(中身は炭酸のジュース)を打ち付け合った。
早速、ジョッキを一口呷るアロウ。
「ぷはっ。ゲームの中なのに、ちゃんと炭酸と味がするんだな」
尤も、フルダイブ型VRゲーム特有の没入感で、そう感じるだけなのだが。
「うん、それに美味しいし……いくら食べても太ったりもしないって、夢みたいな場所だよね」
カノラも一口啜り、ラスクを一枚口にする。
サクサクという感触も見事に再現されている。
「食べても何も起きないんですけどね、ちょっとしたお祝い気分です」
ルナは既に何度かMAF内での飲食を経験しているようで、慣れたようにジョッキを飲んでいる。
「とはいえ、これでEランクになったし、いよいよ本格的にMAFが始まるって感じだ」
「うんうん。わたしもちょっとくらいは自信がついた気がするし、アロウくんとルナさんとの三人なら、頑張れるよ」
アロウはこれからのクエストに期待を躍らせ、カノラもボスゴブリンの撃破によって少しは自信が持てるようになったようだ。
「アロウさんもカノラさんも、だいぶ慣れてきましたし、私も負けていられませんね」
既にEランクであるルナだが、これからはもう先達者ではいられない。
アロウもカノラも後輩ではなく、対等なパーティメンバーとして。
三者三様、これからの自分の姿に思いを馳せる。
購入した飲食物もその数を減らし、そろそろこの小さな祝勝会もお開きかと言う時、ふとアロウは思案顔になる。
「アロウさん?どうかしましたか?」
「何だか、難しい顔してるね?」
どうしたのかと、ルナとカノラは訊ねる。
「ん……あぁ。えぇと……ほら、俺とカノラさんがチュートリアルクエストで、山頂に着いた時。その時に、ルナさんと戦っていた、あの獣耳の人って、結局何なんだったのかなって、ふと思い出してさ」
アロウが想起するのは、その一瞬の出来事。
マギアアームドらしからぬ装備を纏い、何者かに追われているような様子だった、あの謎の少女。
あんな小柄な身体で、山頂から山肌を滑るように駆け下りていくほどの身体能力、それもスラスターを使っていた様子はなかった。
「うーん、なんかこう、ルナさんをいじめてたってわけでも無さそうだったし……」
カノラも、その正体の憶測が出来ないでいる。
「今は、分からないということにしておきましょう」
お開きにしましょうか、とルナはジョッキや小皿を片付けていく。
ささやかな祝勝会は、これにてお開きだ。
酒場に帰還した三人は受付カウンターで報酬を受け取り、戦利品を引き渡すことで追加の報酬も上乗せされる。
そして、アロウとカノラはEランクへとランクアップした。
報酬を受け取り、ランクアップを確認してから、三人は酒場の一席を陣取った。
MAF内ではビットを払うことによって、食事を取ることも可能で、食べても他のゲームのようにステータスアップやスキルの発動などは無く、実際にカロリーや栄養を摂取することも出来ないのだが、「ちょっと何か食べたい、飲みたい気分」になった時に、気分を満たすくらいの効果はある。
例えば、今のアロウ達のように、ひとつの目標を達成した時のように。
「では、アロウさんと、カノラさんのEランク昇級をお祝いして……」
「「「かんぱーい!」」」
ルナが取る音頭に、アロウとカノラはジョッキ(中身は炭酸のジュース)を打ち付け合った。
早速、ジョッキを一口呷るアロウ。
「ぷはっ。ゲームの中なのに、ちゃんと炭酸と味がするんだな」
尤も、フルダイブ型VRゲーム特有の没入感で、そう感じるだけなのだが。
「うん、それに美味しいし……いくら食べても太ったりもしないって、夢みたいな場所だよね」
カノラも一口啜り、ラスクを一枚口にする。
サクサクという感触も見事に再現されている。
「食べても何も起きないんですけどね、ちょっとしたお祝い気分です」
ルナは既に何度かMAF内での飲食を経験しているようで、慣れたようにジョッキを飲んでいる。
「とはいえ、これでEランクになったし、いよいよ本格的にMAFが始まるって感じだ」
「うんうん。わたしもちょっとくらいは自信がついた気がするし、アロウくんとルナさんとの三人なら、頑張れるよ」
アロウはこれからのクエストに期待を躍らせ、カノラもボスゴブリンの撃破によって少しは自信が持てるようになったようだ。
「アロウさんもカノラさんも、だいぶ慣れてきましたし、私も負けていられませんね」
既にEランクであるルナだが、これからはもう先達者ではいられない。
アロウもカノラも後輩ではなく、対等なパーティメンバーとして。
三者三様、これからの自分の姿に思いを馳せる。
購入した飲食物もその数を減らし、そろそろこの小さな祝勝会もお開きかと言う時、ふとアロウは思案顔になる。
「アロウさん?どうかしましたか?」
「何だか、難しい顔してるね?」
どうしたのかと、ルナとカノラは訊ねる。
「ん……あぁ。えぇと……ほら、俺とカノラさんがチュートリアルクエストで、山頂に着いた時。その時に、ルナさんと戦っていた、あの獣耳の人って、結局何なんだったのかなって、ふと思い出してさ」
アロウが想起するのは、その一瞬の出来事。
マギアアームドらしからぬ装備を纏い、何者かに追われているような様子だった、あの謎の少女。
あんな小柄な身体で、山頂から山肌を滑るように駆け下りていくほどの身体能力、それもスラスターを使っていた様子はなかった。
「うーん、なんかこう、ルナさんをいじめてたってわけでも無さそうだったし……」
カノラも、その正体の憶測が出来ないでいる。
「今は、分からないということにしておきましょう」
お開きにしましょうか、とルナはジョッキや小皿を片付けていく。
ささやかな祝勝会は、これにてお開きだ。
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
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コメント頂けるとするかもしれないです。
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