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謎の少女
39話 砂の海を往く
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デゼルト砂漠の素材ツアーから帰還し、数日の間を置いてから、アロウ達三人は再びデゼルト砂漠に赴いていた。
今回受注したクエストは、『サボテンの花十個の納品』
採取系のクエストなので、制限時間には気を付けつつも出来るだけフィールドを探索しよう、という素材ツアーの続きも兼ねている。
転移装置から岩陰の拠点に到着し、クエストスタートだ。
「サボテンってことは、砂漠の方じゃないと生えてないよな」
装備のレイアウトの確認をしつつ、アロウは女子二人に話しかける。
「そうですね。この間の岩陰にもあるかもしれませんが、基本的には暑いところに自生していると思います」
ルナは岩陰の隙間から見える熱砂の海に目を凝らす。
「暑そうだけど……熱中症とか起きないなら、大丈夫かな」
これから砂漠を渡ることになるだろうと、カノラは少し不安そうだが、死ぬわけではないと思い直して、自分に言い聞かせるように頷いている。
「よし、それじゃぁ行ってみるか」
アロウが先頭になって、三人は拠点から躍り出る。
岩陰を出た途端、(MAFの再現範疇とはいえ)猛烈な暑さが彼らを熱烈歓迎してくれた。
「うわぁ……あっつぅぃ……」
容赦なく叩き込むような強い日差しと、込み上げるような熱気に、カノラは早くも参りそうになっている。
「大丈夫、暑いのはただの気のせい。心頭滅却、心頭滅却……」
アロウは暑さを感じないように無心になろうとする。
マギアアームドの脚部装甲が沈み込むような砂海を渡り、サボテンの自生地を目指す。
ようやくサボテンの群生地らしい緑色を視界の先に捉え、アロウ達はスラスターを使ってそこへ急行する。
丸みを帯びた緑色に、無数の棘 (厳密には棘でなく縮小化した葉)がびっしりと生え揃ったそれに近付く。
それぞれが手分けして、サボテンの頭に生えた淡紅色の花を引き抜いていく。
「確保、と」
入手したサボテンの花をアイテムボックスに収納し、アロウは女子二人の様子はどうかと見やれば、ルナは危なげなく花を抜き、カノラは棘に触れてしまったのか、「ぁいたっ」と慌てたように腕を振り回している。
納品目標数は十個。
その内どれくらいが入手出来たかを確かめ合う。
「俺は二個だな」
「私も二個です」
「わ、わたしは一個だけ……」
アロウとルナが二個、カノラが一個、合計で五個だ。
「この分なら、この先の砂漠で揃うかな」
デゼルト砂漠の広大な砂地は、大まかに二つのエリアに分かれている。
その内のひとつが、アロウ達が今いるエリアで、隣接するようにもうひとつ砂地が点在する。
そこにも同じ程の数があるはずだと見て、アロウは行き先を見据える。
さぁ残るサボテンの花を採取しに行こうと言う時、不意にカノラは「あれ?」と何かに気付いたような声を発した。
「カノラさん?どうかしましたか?」
どうしたのかとルナが訊ねると、カノラはその方向を指した。
その方向は、以前に探索を後回しにしていた遺跡群。
正確には、その近くにいる人影。
「あの真っ白な子……チュートリアルの時の人かな?」
カノラが指した陽炎の向こう側にいるのは、獣耳をした純白の少女らしき姿。
アロウとルナもそれにつられるように目を凝らす。
「あ、本当だ」
「何をしているのでしょうか……?」
ルナは警戒に声を固くする。彼女はその以前の時にいきなり襲いかかられたからだ。
「んー、多分あの遺跡に入ろうとしてる?」
カノラは、少女の足取りの方向を見て、遺跡の方へ向かっていると見ている。
「どうする?前は何かに追われていたみたいだし……挨拶くらいはしてもいいんじゃないか?」
声掛けぐらいはするべきかと言うアロウ。
「……またいきなり襲いかかってきたりしませんか?」
やはりルナは警戒している。
「ちゃんと、「敵じゃないよ」って言うのを教えればいいと思うけど……」
カノラはそう言うものの、ルナの心境も考えると言い切れないものがあった。
「ならこうしよう、まず離れた位置から声をかけて、攻撃されそうならすぐに逃げるってことで」
アロウの意見に二人とも頷き、遺跡群の方へ向かった。
今回受注したクエストは、『サボテンの花十個の納品』
採取系のクエストなので、制限時間には気を付けつつも出来るだけフィールドを探索しよう、という素材ツアーの続きも兼ねている。
転移装置から岩陰の拠点に到着し、クエストスタートだ。
「サボテンってことは、砂漠の方じゃないと生えてないよな」
装備のレイアウトの確認をしつつ、アロウは女子二人に話しかける。
「そうですね。この間の岩陰にもあるかもしれませんが、基本的には暑いところに自生していると思います」
ルナは岩陰の隙間から見える熱砂の海に目を凝らす。
「暑そうだけど……熱中症とか起きないなら、大丈夫かな」
これから砂漠を渡ることになるだろうと、カノラは少し不安そうだが、死ぬわけではないと思い直して、自分に言い聞かせるように頷いている。
「よし、それじゃぁ行ってみるか」
アロウが先頭になって、三人は拠点から躍り出る。
岩陰を出た途端、(MAFの再現範疇とはいえ)猛烈な暑さが彼らを熱烈歓迎してくれた。
「うわぁ……あっつぅぃ……」
容赦なく叩き込むような強い日差しと、込み上げるような熱気に、カノラは早くも参りそうになっている。
「大丈夫、暑いのはただの気のせい。心頭滅却、心頭滅却……」
アロウは暑さを感じないように無心になろうとする。
マギアアームドの脚部装甲が沈み込むような砂海を渡り、サボテンの自生地を目指す。
ようやくサボテンの群生地らしい緑色を視界の先に捉え、アロウ達はスラスターを使ってそこへ急行する。
丸みを帯びた緑色に、無数の棘 (厳密には棘でなく縮小化した葉)がびっしりと生え揃ったそれに近付く。
それぞれが手分けして、サボテンの頭に生えた淡紅色の花を引き抜いていく。
「確保、と」
入手したサボテンの花をアイテムボックスに収納し、アロウは女子二人の様子はどうかと見やれば、ルナは危なげなく花を抜き、カノラは棘に触れてしまったのか、「ぁいたっ」と慌てたように腕を振り回している。
納品目標数は十個。
その内どれくらいが入手出来たかを確かめ合う。
「俺は二個だな」
「私も二個です」
「わ、わたしは一個だけ……」
アロウとルナが二個、カノラが一個、合計で五個だ。
「この分なら、この先の砂漠で揃うかな」
デゼルト砂漠の広大な砂地は、大まかに二つのエリアに分かれている。
その内のひとつが、アロウ達が今いるエリアで、隣接するようにもうひとつ砂地が点在する。
そこにも同じ程の数があるはずだと見て、アロウは行き先を見据える。
さぁ残るサボテンの花を採取しに行こうと言う時、不意にカノラは「あれ?」と何かに気付いたような声を発した。
「カノラさん?どうかしましたか?」
どうしたのかとルナが訊ねると、カノラはその方向を指した。
その方向は、以前に探索を後回しにしていた遺跡群。
正確には、その近くにいる人影。
「あの真っ白な子……チュートリアルの時の人かな?」
カノラが指した陽炎の向こう側にいるのは、獣耳をした純白の少女らしき姿。
アロウとルナもそれにつられるように目を凝らす。
「あ、本当だ」
「何をしているのでしょうか……?」
ルナは警戒に声を固くする。彼女はその以前の時にいきなり襲いかかられたからだ。
「んー、多分あの遺跡に入ろうとしてる?」
カノラは、少女の足取りの方向を見て、遺跡の方へ向かっていると見ている。
「どうする?前は何かに追われていたみたいだし……挨拶くらいはしてもいいんじゃないか?」
声掛けぐらいはするべきかと言うアロウ。
「……またいきなり襲いかかってきたりしませんか?」
やはりルナは警戒している。
「ちゃんと、「敵じゃないよ」って言うのを教えればいいと思うけど……」
カノラはそう言うものの、ルナの心境も考えると言い切れないものがあった。
「ならこうしよう、まず離れた位置から声をかけて、攻撃されそうならすぐに逃げるってことで」
アロウの意見に二人とも頷き、遺跡群の方へ向かった。
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