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謎の少女

60話 これからの目標

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 さて、この遺跡の攻略は成功し、あとは脱出するだけだ。

 そうして元来た道を戻ろうと、最初に踵を返すメイプルは「あれ?」と小首をかしげる。

「メイプルさん、どうしました?」

 何があったのかとルナは訊ねる。

「ボスを倒したのに、扉が消えたままだ……どうやって脱出するんだろう」

 アロウ達が入ってきた扉は消失したままである。
 ここに足を踏み入れた時点で完全に消えてしまう仕様なのだろう。
 では、どうやってここから出るのかと言えば。

「……あ、祭壇の奥が開いてる。あそこからかな?」

 カノラがそれを見つけた。
 祭壇の間の奥にいつの間にか通路が出来ており、その通路と繋がった小部屋に転移装置らしきものが見える。あれで遺跡の外までワープされるのだろう。

「まさか、これに入ったらさらなるダンジョンが待っている、なんてことは無いと思うけど……よしっ、入ってみよう」

 意を決してアロウは小部屋に向かい、転移装置に足を踏み入れ、シュンッとその姿が消える。
 ルナ、カノラ、メイプル、フェルテも順に転移装置へ入る。



 ――・<*%♪>〆 ^=<――



 気が付けば、デゼルト砂漠の遺跡の前にいたアロウ。
 彼のあとに続いた者らもここに来るだろう。

「良かった、ちゃんと入口近くに戻れた」

 自分がいる場所を自覚して、

「あっ……」

 ふと、自分の目の前にいるその姿を視認する。

 鬼武者のような重装備に、長大なクロススピアを背負った、大柄なプレイヤー。

 ノヴィス平原で出会った、アトラスだった。

「ん?お前は……また会ったな」

 アトラスの方もアロウの顔を覚えていたのか、そう声を掛け、アロウの装備を値踏みするように睨む。

「ふん、少しは力を付けたか」

「あのっ、俺、アロウって言います。この間はありがとうございました!」

 値踏みされようとも、アロウはあの時のアトラスに礼を言っていなかった。厳密には、礼を言う機をアトラスが潰しただけなのだが。

「何故礼を言う。俺は、お前が邪魔だから蹴り飛ばしただけだ」

「それでも、俺は助かりました。そのことに礼をさせてください」

「要らん」

 礼を言わせてほしいというアロウを、アトラスは無碍にすると、立ち去ろうとする。
 が、立ち去ろうとするその寸前に、

「だが……アロウとか言ったな」

 アトラスはもう一度アロウを見やる。

「その名前と顔、覚えておいてやろう」

 今度こそアトラスは、砂漠のど真ん中を渡りに行った。

 それと入れ替わるように、ルナ、カノラ、メイプル、フェルテが順に現れる。

「これでこのまま次のダンジョンへ、なんてシャレになりませんし、良かったです」

 ルナも安堵に胸を撫で下ろす。

「ねぇ、フェルテちゃん。祭壇はあと二つあるんだよね。それってどこにあるの?」

 カノラは、フェルテが目指している残り二つの場所はどこかと訊く。

「うむ、気配は感じるぞ」

 頷いて、フェルテはある方向に向き直る。

「あの方向の先、だな」

「あぁ、その方角って、『マリーネ孤島』じゃないかな?」

 フェルテが示した方向に、メイプルが反応を示した。

「マリーネ孤島?」

 そこはどこかと、アロウはメイプルにオウム返しする。

「Dランクから行けるようになるフィールド。広い海に囲われているから、水中戦も多いね」

「水中戦か……」

 アロウは、依然にノヴィス平原の湖に入り、ファングフィッシュ二匹に随分と苦戦させられたことを思い出す。
 ここから先は、水陸両用型のマギアアームドも必要になるようだ。
 とはいえそれは、Dランクに上がってからのことなので、明日からはクエストをこなして、昇級クエストの解放を目指さなくてはならない。

 ともかくは素材ツアーを終了しようと、アロウ達はコンソールを呼び出して、帰還する。
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