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第17話 ビューチューバーってなんですか
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それからの授業は何の問題も無かった。
まだ開始二日目だし、昨日と科目が被っていなかったのが救いだ。
みんなとも仲良くなれたおかげで楽しくて、気付けばあっという間に放課後に。
別れの挨拶を交わしてから、またあの応接室――部室へと赴いた。
「お、来た来たつくしー! と彼方っちー!」
「魔王が、私達の魔王が来たわァァァ!!!」
「モモっち騒がしいッ!」
扉を開けば、相変わらずの二人がもういる。
澪奈部長も元気そうで良かったよ。
「やほやほー!」
「ども……」
「ほらほらぁ、突っ立ってないで座って座ってぇ~!」
それどころか彼女もなんか興奮気味だ。ニッコニコでお菓子も差し出してくれて待遇もいいし。
この様子だときっとこの人も昨日の動画を見たんだろうなぁ。
とはいえ、この部が普段何しているのかまだわからないからちょっと不安だけど。
「それで、俺達って他に何するんです?」
「え、何って……くっちゃべってお菓子食べる、かねぇ?」
「いいのそれ!?」
「ダンジョン湧いてないしへーきへーきぃ!」
でも澪奈部長は鼻で笑って掌をヒラヒラと余裕そうにしている。
大した事してなかった!
てっきり訓練しているとかかと思ったのに!
「なら戦いに備えて鍛えた方がいいんじゃ?」
「え、筋肉ついたら嫌じゃん……」
「えぇ~……」
「あーしはつよ美しい系プレイヤーめざしてんのぉ~!」
「でも澪奈パイセンお菓子食べ過ぎて最近お腹が」
「ゲッタァーウ!!!」
「あいたーっ!」
「ちゃんとやる事はやってっし! 家で反射神経の訓練とかぁ」
一応、個人個人で訓練はやってるんだな。
モモ先輩もウンウンって頷いているし。
引っぱたかれたつくしはポヤポヤしてるからわからないが。
でも鈍器で殴る訓練だけはしてそう。ていうか絶対してる。
「その辺りは個人に任せてるんよー。部活としてはそうねぇ、自分らの動画見ておさらいとか、他所の攻略動画見たりしてるよ~」
「じゃあ昨日の俺達の動画も見せてもらえたりします?」
「もち! むしろそのつもりだった~!」
「あれは何度見てもいい……というか見てもわからないから深い」
みんなが見てもそうなのか。
となるとますます気になる。世間の反応が一体どうなのかが。
「んじゃ今朝アップされたビューチューバーのやつ見てみよぉ!」
「いたんだビューチューバー! なになに、誰来てたの!? まさかピカリン!?」
「すえつぐ」
「誰だよぉぉぉぉーーーーーー!」
「え~っと、無名? あ、でもこの動画もうけっこー見られてるっぽい……え、うそぉ、もう百万再生かるく突破してんだけど……」
「「ええーーーっ!?」」
な、なんだ、百万再生ってそんなすごいのか?
でも確か日本人だけでも今一億人くらいだったと思うし、百人に一人って事だから大した事ないのでは……?
「今回も何も知らない彼方っちに教えてあげよう」
「おなしゃーす」
「実は日本のダンジョン関連の動画は自由だから、世界中の人から見られる事が多いのだ。だけどありふれた攻略動画だとそれでも一万行くかどうかという厳しい世界なのである」
「へ、へぇ……」
「だがたった半日で百万突破したという事は!」
「ことは……?」
な、なんか澪奈部長が顔を落として震えてる。
なんだ、そんなにヤバい事なのか……?
もしかして俺まずかったりするのか!?
「完全にバズってるゥ! この後もめちゃくちゃ伸びるコレェ! 数千万再生も夢じゃないしょおおお!」
「「キターーーーーーッ! ボーナス確定ーーーッ!!」」
ば、ばず!? なにそれ!?
でもっていきなり飛び上がって踊り始めたんだけど!?
さらにはつくしもモモ先輩も肩を組んで一緒にやってるし!
なんなんだよこのハイテンション!?
「け、けどさ、これ人が作った動画っすよね? なら俺達と関係ないんじゃ……」
「甘いなー彼方っちは。肖像権の関係でダンジョン動画の収益は一部国が徴収するのですよぉ~! そして注目されたプレイヤーに還元されるってワケェ!」
「そうそう! この場合、たぶん注目されてるの彼方だからぁ! そうなると所属してる宝春学園ダンジョン部に流れ込んでくるぅー!」
「ウヒョヒョヒョ! ボーナス! ボーナァース! 魔王彼方に感謝よぉ~!」
「お、おう……喜んでくれて何より、かな?」
まぁ俺はお金に執着してないから、みんなが嬉しいならそれで構わないけどね。
でもそんなすごい事になってるなんて夢にも思わなかった。
まさかちょっと本気出しただけでここまで騒がれるなんてさ。
まだ開始二日目だし、昨日と科目が被っていなかったのが救いだ。
みんなとも仲良くなれたおかげで楽しくて、気付けばあっという間に放課後に。
別れの挨拶を交わしてから、またあの応接室――部室へと赴いた。
「お、来た来たつくしー! と彼方っちー!」
「魔王が、私達の魔王が来たわァァァ!!!」
「モモっち騒がしいッ!」
扉を開けば、相変わらずの二人がもういる。
澪奈部長も元気そうで良かったよ。
「やほやほー!」
「ども……」
「ほらほらぁ、突っ立ってないで座って座ってぇ~!」
それどころか彼女もなんか興奮気味だ。ニッコニコでお菓子も差し出してくれて待遇もいいし。
この様子だときっとこの人も昨日の動画を見たんだろうなぁ。
とはいえ、この部が普段何しているのかまだわからないからちょっと不安だけど。
「それで、俺達って他に何するんです?」
「え、何って……くっちゃべってお菓子食べる、かねぇ?」
「いいのそれ!?」
「ダンジョン湧いてないしへーきへーきぃ!」
でも澪奈部長は鼻で笑って掌をヒラヒラと余裕そうにしている。
大した事してなかった!
てっきり訓練しているとかかと思ったのに!
「なら戦いに備えて鍛えた方がいいんじゃ?」
「え、筋肉ついたら嫌じゃん……」
「えぇ~……」
「あーしはつよ美しい系プレイヤーめざしてんのぉ~!」
「でも澪奈パイセンお菓子食べ過ぎて最近お腹が」
「ゲッタァーウ!!!」
「あいたーっ!」
「ちゃんとやる事はやってっし! 家で反射神経の訓練とかぁ」
一応、個人個人で訓練はやってるんだな。
モモ先輩もウンウンって頷いているし。
引っぱたかれたつくしはポヤポヤしてるからわからないが。
でも鈍器で殴る訓練だけはしてそう。ていうか絶対してる。
「その辺りは個人に任せてるんよー。部活としてはそうねぇ、自分らの動画見ておさらいとか、他所の攻略動画見たりしてるよ~」
「じゃあ昨日の俺達の動画も見せてもらえたりします?」
「もち! むしろそのつもりだった~!」
「あれは何度見てもいい……というか見てもわからないから深い」
みんなが見てもそうなのか。
となるとますます気になる。世間の反応が一体どうなのかが。
「んじゃ今朝アップされたビューチューバーのやつ見てみよぉ!」
「いたんだビューチューバー! なになに、誰来てたの!? まさかピカリン!?」
「すえつぐ」
「誰だよぉぉぉぉーーーーーー!」
「え~っと、無名? あ、でもこの動画もうけっこー見られてるっぽい……え、うそぉ、もう百万再生かるく突破してんだけど……」
「「ええーーーっ!?」」
な、なんだ、百万再生ってそんなすごいのか?
でも確か日本人だけでも今一億人くらいだったと思うし、百人に一人って事だから大した事ないのでは……?
「今回も何も知らない彼方っちに教えてあげよう」
「おなしゃーす」
「実は日本のダンジョン関連の動画は自由だから、世界中の人から見られる事が多いのだ。だけどありふれた攻略動画だとそれでも一万行くかどうかという厳しい世界なのである」
「へ、へぇ……」
「だがたった半日で百万突破したという事は!」
「ことは……?」
な、なんか澪奈部長が顔を落として震えてる。
なんだ、そんなにヤバい事なのか……?
もしかして俺まずかったりするのか!?
「完全にバズってるゥ! この後もめちゃくちゃ伸びるコレェ! 数千万再生も夢じゃないしょおおお!」
「「キターーーーーーッ! ボーナス確定ーーーッ!!」」
ば、ばず!? なにそれ!?
でもっていきなり飛び上がって踊り始めたんだけど!?
さらにはつくしもモモ先輩も肩を組んで一緒にやってるし!
なんなんだよこのハイテンション!?
「け、けどさ、これ人が作った動画っすよね? なら俺達と関係ないんじゃ……」
「甘いなー彼方っちは。肖像権の関係でダンジョン動画の収益は一部国が徴収するのですよぉ~! そして注目されたプレイヤーに還元されるってワケェ!」
「そうそう! この場合、たぶん注目されてるの彼方だからぁ! そうなると所属してる宝春学園ダンジョン部に流れ込んでくるぅー!」
「ウヒョヒョヒョ! ボーナス! ボーナァース! 魔王彼方に感謝よぉ~!」
「お、おう……喜んでくれて何より、かな?」
まぁ俺はお金に執着してないから、みんなが嬉しいならそれで構わないけどね。
でもそんなすごい事になってるなんて夢にも思わなかった。
まさかちょっと本気出しただけでここまで騒がれるなんてさ。
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