時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ

文字の大きさ
122 / 1,197
第五節「交錯する想い 友よ知れ 命はそこにある」

~期待 日常 夢は現実に~

しおりを挟む
 翌日、土曜の朝。
 勇は家の前でストレッチをこなしていた。
 
 サボっていた朝練の再開である。

 それというのも、この数日はちゃなの同伴登校やウィガテ戦で朝練をする暇も無かった訳で。
 久しいとも言える運動を前に張り切る姿が。
 日課と化した朝練は彼の日々のモチベーションともなっている様だ。

 ただその姿は学校の体育用紺色ジャージと、いつもと様相が異なる。
 いつも使っているパーカーは先日瀬玲に渡してそれっきり。
 返される暇もタイミングも無いとあって、現在もまだ貸しっぱなしだからだ。

 とはいえ、そこでジャージを選んだのにも勇なりに理由がある。

 それと言うのも―――

「折角だから今日は全部ダッシュで行ってみるかな。 命力もちょっと使ってみよう」

 今日の勇は一段とやる気充分なのである。

 先日の大騒動返り討ちでふんだんに命力を行使し、力の使い方は何となくだが理解した。
 でも肝心の命力の効力に関してはまだまだ謎が多い。
 何せ剣聖はそんな事なんにも教えてくれなかった訳で。

 だからこそ、手探りで色々と試していくしか使いこなす方法は無いのだ。

 これは命力の使い方だけに限らない。
 様々なアスリートが自分の肉体を調整する事と大して変わらないのである。

 自分の肉体がどの様に成長しているのか。
 どの様に動かす事が出来るのか。
 どこまで動けるのか。
 その範疇を知り、最も有効的に動かせる者が高みを目指せるのだから。
 
 そして勇も曲がりなりにアスリート。
 この数日での戦いでこうも著しい成長を迎えれば、こうして試してみたいと思いもするもので。
 それが今ここまでのやる気を引き出しているのだ。

 そのやる気を十分に奮う為にも服装には気を付けねばならない。
 もはや普通の服では耐えられるかどうかも怪しい訳で。
 でもジャージなら伸縮自在で命力を使った運動でも十分耐えられるはずだ。
 それはウィガテ戦でも既に証明済み、多少小さくとも関係無く動けていたから。

 そう考察した結果この様な服装に至ったという訳だ。

 命力も暴力に使うのではなく、自分だけで解決するランニングでならお咎めは無いだろう。 
 もっとも、先日の戦い程度では福留もあまり気にしない様ではあるが。
 大衆にバレなければそれでいいという程度の認識なのかもしれない。

「よしッ!!」

 こうして勇はまた、朝の街を行く。
 日が昇ったばかりで涼みが残る中を。

 健やかな笑みを満点の青空に向けながら。
 




◇◇◇





 それからおおよそ一時間後。
 勇がようやく帰宅を果たす。

 しかしその様子はと言えば―――

「ぶはーッ!! はーッ!! えうっ……」

 疲労困憊で先程の余裕は見る影も無く。
 もはや見るに堪えない程にヨレヨレでフラフラである。

 鉛の様に重くなった足は引きずる様に。
 規則正しく振り抜いていた腕はもうプラプラとぶら下がっていて。
 酸素不足が極まり、呼吸の為に開いた口はもう閉じる事すらままならない。

 〝走り出したら終わるまで止まってはいけない〟という自分ルールが勇にはあって。
 それのせいでどうやら限界ギリギリまで走り込む事になってしまった様子。

 ペース配分失敗、というヤツである。

「命力ッ……ハーッハーッ……体力に関係ねーじゃん……ハーッ」

 残念ながら、命力を得ても体力までは備わらない様だ。
 ここで判明した意外な落とし穴に勇の落胆は隠せない。

 命力が身体能力を増させる事には間違いないのだろう。
 でも体力に起因する部分には影響しない。
 それはつまり、今のままでは命力を使った戦闘も長続きはしないという事だ。



 運動と体力は実に密接に関わりあってると言える。
 まるで算数の様な数値のやりとりがそこにあるのだ。

 例えば一〇〇の体力があったとしよう。
 そこに腕を動かすという行動を行えばそこから一〇消費して引かれ。
 そしてその行動を繰り返して体力がゼロになれば疲労困憊になる。
 これが普通の人間の在り方だとして―――

 命力による運動はその行動の消費が一〇から二〇、三〇になっただけに過ぎないのだ。

 つまり、普通の人にプロアストリート並みの動きが出来るようになったのと同じ。
 元ある体力が伴わなければ結局もたないのである。



 例え強い力を誇ったとしても体力が無ければ後が続かない。
 それを許容出来る体力を備えなければ、あっという間にバテてしまうだろう。

 今の勇の様に。

「はーっ、はーっ……くそぉ、これじゃ長期戦とか、どうしようもねー……はぁ~~~」

 落胆の溜息が呼吸に混じる。
 こうして弱点が浮き彫りとなれば心境も複雑で。

 何せ体力というものはそう簡単には付かないのだから。

 毎日走り込みを続けた勇でもこれなのだ。
 並みの体力増強ではまかないきれず、これから先もきっとネックになり続けるだろう。

 おまけに命力も尽きれば身体能力に支障をきたす。
 戦闘中に膝が崩れでもしたら後は悲惨だ。

 それを補う為にも体力は絶対に必要と言える。 
 いざという時には命力に頼らず、自身の力で乗り切らねばばらないからだ。

 新たな課題とも言える問題に頭を抱えてならない。

「体力増強、後でちょっと考えるか……」

 とはいえやる気が無い訳ではない。
 改善したいと思う事も今の勇には許されている。
 まだそれだけの時間が彼にはあるのだから。

 そんな悩みを巡らせ続けていたら、気付けば呼吸も落ち着いていて。

 どうやら考える余り、無意識の内に軒先の階段へ座り込んでいた様だ。
 極度に疲れたともあって、家に上がる気力も失せていたのだろう。

 それも僅かに回復し、ようやく立ち上がれる程の体力に。
 足はまだ見てわかる程に震えているが。

 このままでは居られないと、玄関へと足を踏み入れていく。

 

 そうして帰宅を果たした彼を一番に迎えてくれたのは、ちゃなだった。



 丁度、洗面所で朝支度を済ませた後だった様で。
 疲れる余りに廊下へその身を預けた勇の横をぺたぺたと歩いていく。

 昨日の事もあったお陰か、その顔にはぷっくりとした微笑みが浮かんでいて。
 無言のまま、手を振っての挨拶だ。
 きっと疲れていた勇に配慮しての事なのだろう。

 勇もちゃなのそんな姿に惹かれてならない様で。
 リビングへと歩き行く後姿をニコリとした顔で追っていた。

 するとその時、勇の視界に珍しいとも言える人物の姿が。

 勇の父親である。

 大抵、土日はと言えば母親が出勤した後に寝直すのだが。
 もう既に居ないにも拘らず、今日は起きっぱなしである。

「ふぅ……親父、この時間に珍しいじゃん」

 とはいえ、実の所その理由を勇が知らない訳ではない。

 ダイニングチェアに座りながらテレビを見るその姿が妙にソワソワしていて。
 隠せない気持ちがニヤニヤとした笑みとして現れている。
 その姿はまるで楽しみを隠せない子供のよう。

 そんなあからさまな様子を見せられれば訊きたくもなるもので。

「そりゃあなぁ、の事の聞いたらドキドキして寝られないよぉ~」

 そう返す父親もその話題にまんざらではない様で。
 テレビなどそっちのけで勇を覗き込み、嬉しそうな笑顔を振り撒く。
 向かいに座るちゃなの微笑みも助長して、妙にリビングが明るくなる程だ。

 それ程までに待ち焦がれているのだろう。



 とはいわゆる、福留から勇の父親へ贈られる事になったプレゼントの事。

 先日での話の折、大破した車の補填の事も話題に上がっていて。
 なんと政府がそれを無償で保証するという事になったのだ。

 車が壊れた直接的な原因は剣聖の行動ではあるのだろう。
 でも勇達を威嚇し、脅えさせた事には変わりない。
 そこに福留達としても責任を感じ、こうしてお詫びも兼ねた返礼を寄越すという事になったのである。

 その返礼とはズバリ、代わりの車を一台都合するというもの。

 これを聞いた時には契約の話もあったから浮足立っていて。
 実感も薄く、「はぁ、そうですか」などと一つ返事で受け流していたものだ。

 しかし現実から歩み寄ってくればおのずと実感出来るというもので。

「さっき本当に連絡があったんだよぉ! 『これからお伺いします』って!! 車一台ポンって、どんだけ福留さん羽振りがいいんだよぉ……」

「そりゃ国の予算からだろうし、きっとこれくらいは平気なんじゃん? 知らないけどさ」

 とはいえ、実際に失った車を無償補填してくれるのならば受けない訳にもいかない。
 藤咲家としても生活環境に関わる大きな問題な訳で。

 主に父親の体力的な問題が。

 ちなみに、本当なら母親も立ち会いたかった様だがあいにく今日は出勤日。
 「折角だから今日の晩御飯は皆でどこかに食べに行きましょう、車に乗って」と言い残して出掛けたそうな。
 ちゃなが嬉しそうなのはそこが起因なのだとか。

 だが勇はまだ知らない。
 父親が喜ぶ真の理由を。



 新車の納車以外にも理由があるという事を。



ドゥンドゥン―――

 そんな話を交わしている最中、家の外から聞き慣れない音が響いて来る。
 安物とはワケが違う、高出力エンジンだけが掻き鳴らす事を可能とする重低音だ。

 それが勇の家の前で途端に収まっていき。
 その違和感に気付いた父親が飛び上がらんばかりの勢いで椅子からその身を乗り出した。



 そしてリビングの窓から軒先を覗き込めば、そこには待望の新車の姿が。
 


「きっ、きたっ!!」

 彼にはすぐにわかったのだ。
 その車が納入予定の車なのだという事が。

 やってきた車を運転していた運転手が黒いスーツの男で。
 車もしっかりと自宅の前に停車していて。
 おまけに随伴車付きでだ。

 でもきっとそんな事を気にしなくてもわかっていたのだろう。
 何故なら―――その車種こそが、彼にとって最も大きな要素だったのだから。

 途端、待ちきれんと言わんばかりに父親が玄関へと駆け出していて。
 わんぱくな勢いを前に、勇も慌てる様に疲れた身を起こす。
 何せこのままじゃ重量級の巨体に踏み潰されかねないので。

 勇が面倒そうに玄関の脇へと身を寄せている間にも、父親は既に外履きに履き替え済み。
 呼び鈴が鳴るのを今か今かと待つ姿が。
 しっかりその手は玄関扉の取手を掴み済み。

 重量級なのにこういう時だけはやたら俊敏である。
 
 そんな事情を知ってか知らずか、間も無く呼び鈴が屋内に鳴り響き。
 間髪入れずに玄関の扉が「ガタン!」と開かれる。
 そのまま空かさず満を辞して飛び出した父親を迎えたのは男の冷静な面持ちで。

「お待たせして申し訳ありません。 お約束の車をお持ちいたしました」
「あ、ありがとうございます!!」

 きっとこんなテンションの相手にも対応し馴れているのだろう。
 さすがは政府関係者と言った所か。

 父親としてももはやそのテンションを隠す理由も無く。
 家の敷地に跨がずに佇む男へと駆け寄っていく。

 しかしその視線はと言えば―――



「おおおお、遂にっ、念願の【アルファーダ】だぁ!!」



 目の前に佇む巨体に奪われてならない。

 何故なら、それ程までに待望していた夢の車だったのだから。


しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

処理中です...