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第五節「交錯する想い 友よ知れ 命はそこにある」
~育費 自信 最後に頼むは~
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凄惨な過去を乗り越えたちゃなにやっと居場所が出来た。
藤咲家への居候を継続する事となったのだ。
それも政府公認とも言える形で。
当然、勇も両親も乗り気だ。
この一週間で相当な親近感が生まれていたから。
何より、不幸な境遇の彼女を救ってあげたいという気持ちが強かったのも大きいが。
きっと福留もこんな形での解決を望んでいたのだろう。
笑い合い、抱き合う……そんな彼等の姿を前にして、「ウンウン」と頷き微笑んでいて。
出したパンフレットや物件リストなど、もはやゴミ同然。
そう言わんばかりの扱いで適当に袋へ詰めて鞄へと仕舞い込んでいた。
こうして勇達の身辺報告と居住に関する話は終わり。
……という訳にはいかない。
一人暮らしでも手厚いサポートがあったのに居候となったから今まで通り、なんて不釣り合いな事を福留が許すはずも無く。
気付けば微笑みのままにわざとらしいまでに両腕を広げていて。
「さぁではそういう事ですので皆さん、ちゃなさんの事をこれからもどうかよろしくお願いいたします。 あ、こうなった場合の事ももちろん考えていますからご安心ください。 相応の対応はさせて頂くつもりです」
まさに用意周到。
もはや抜かり無し。
そう言われんばかりの手際の良さには藤咲家も苦笑を浮かべるばかりだ。
嬉しさ余って苦などまるで見えはしないが。
「今後、皆さんの相応の行動で経費となりえる場合には補填を付けさせて頂きます。 例えばフェノーダラ王国に個人で移動する事になった場合など、ですねぇ」
これから勇達にはフェノーダラ王国を始め、色んな場所に赴く事も増えるだろう。
勇は特にエウリィとの交友関係での付き合いもあるかもしれない。
しかしそういった場合でも、さすがに毎度毎度政府関係者に送ってもらう訳にもいかず。
という訳で公共の移動手段での移動も考慮し、経費として拠出する事になったのだ。
「それらの支払いに関しては特にお手間を取らせる事は無いように心掛ける予定です。 でも出来ればどこへ行ったか、何をしたかをメールや電話などで報告して頂ければと思います。 でないと経費としてみなされない場合も出かねませんので」
こんな話ともなると、まるで本当に契約したと思わせる様な話ばかりで。
まだ学生な勇とちゃなはともかく、両親はどこか納得したかの様に頷いている。
社会人だからこそわかる馴染みといった所か。
「それとちゃなさんの居候の件ですが、家賃・光熱費の代わりに養育費という形で指定の口座に毎月お振込みさせて頂きます。 概要としましては基本的に固定額、支払いは現在の契約形態が切れるまでとなっております」
「養育費が出るのですか……」
「ええ、ざっと五十万程」
「ごっ、五十万!? た、高過ぎでは!?」
これには勇の父親もびっくりだ。
何せ彼の月給より高いのだから。
「そんなに貰っていいの!?」などと叫んでしまいかねない額なだけに。
だが途端、福留の眉間にシワが寄り。
たちまち困った様な顔付きで「ふぅむ」と唸りを上げる。
「すみません、どうにも庶民感覚ではなかった様ですね。 では毎月二万くらいで」
「「えっ!?」」
―――からの大暴落。
まさかの二十五分の一。
まさに上げて落とさんばかりの急落っぷりに両親揃って身を固まらせていて。
再び口を窄ませた動揺の有様をこれでもかと言わん程に露わとしている。
「ま、まぁちゃなちゃんの事はほ、ほら、お、お金じゃないし……?」
「そ、そうよね、ええ! お、お金じゃ愛情は買えないものね! ウフフフフ!」
しかし本当にこの二人、隠し事が不得手である。
勇も苦手なのが遺伝の所為だという事が手に取ってわかる様だ。
今更「五十万で!」などと、この二人が言える訳も無く。
やはりこれだけの額差を見せつけられれば落胆するのも仕方のない事か。
とはいえ、これもただの福留のお遊びに過ぎないのだが。
「ははは、どちらも冗談です。 毎月最大二十万程まで支払わさせて頂きますのでご安心を」
「え、あ、冗談!? そ、そうですよねぇ、はは……」
どうやら二人共すっかり騙されていた様子。
これには勇も呆れるしかない。
あからさまな二人を前に、片笑窪がキリッと吊り上がったニヒルな笑みを向けていて。
やはりつい今しがた大金を手に入れちゃった男は器量が違う。
ちなみにちゃなは思考停止中だ。
席に戻った後もずっと「ぽやぁ」としたまま。
まだ受け入れられた事の嬉しさの余韻を味わっているのだろう。
「それと変容事件バックアップの関係上、学費も来期から奨学金返済という形で支払わさせて頂きます。 あ、でもこれはちゃなさんの分だけですのでご了承を」
「え? あぁ、まあそれはそうですよね」
それも当然の事か。
勇の家は今こうして平穏無事に存在している訳で。
しかしそう返した勇の父親はどこか残念そうにも見える。
先程の冗談話を引きずっているのだろうか。
さすがの勇もこんな話題を前には余裕も消える。
何故なら、彼自身も実は奨学金制度で入学した身なのだから。
奨学金とは言わば学費借金制度の様なもので、いつかは返さなければならない。
その事は勇も知っているだけに心境は複雑だ。
―――俺の分は今回貰った報酬で早い内に返そうかなぁ―――
などと思える分だけ余裕はあるらしい。
とはいえこれを行ってしまえば、自信の素である貯金額の一部がゴリッと消えてなくなる訳だが。
そんな事を思えば、「支払えるだけの残高あるかなぁ」などと思い。
再び自分の通帳に手を伸ばし、再びその金額を確認する。
そしてやはり書かれた金額に間違いは無いとわかったので。
奨学金を返してお釣りすら来る金額を前に、勇の湧き上がる喜びは抑えきれない。
当人の顔には気付かぬ内に「ニタァ」とした笑みが浮かび上がっていて。
そんな様子を横からまんまるとした目で眺めていたちゃなに気付く事は無かった。
これで本筋と言える話はようやく終わり。
後に残るは幾つかの細かい話だけだ。
自衛隊のバックアップのざっくりとした概要。
受け取ったカードと通帳の細かい仕様。
壊れたままフェノーダラに置き去りの車の補填などなど。
そんな話も今となっては大した話題にもならず、あっという間に時は過ぎて。
気付けば質問も無い程までに落ち着いていた。
「さて、私の用意したお話はこれで以上となります。 長い時間お疲れ様でした」
その時見せた締めのお辞儀はとても堂々と芯が通っていたもので。
その丁寧な姿は勇達も思わずお辞儀で返してしまうほどに美しく。
それと同時に、事の終わりを間違いなく実感させるには十分だった様だ。
ふと勇達が時計を覗けばもう既に夜の九時前。
こうして話をしていたのもおおよそ二時間。
色々と感情的になる事も多かったが、それでも勇達には本当に一瞬の事で。
物腰の低い態度を取る福留だからこそ、勇達もこうして安心して話を聞く事が出来たのだろう。
想像していた堅物政治家のイメージを払拭してしまう程に柔らかい対応だったのだから。
「ご飯前にこんな話してたから余計にお腹空いちゃったわぁ。 福留さん、やっぱり何か食べられていらっしゃったら?」
予め話があるという事を伝えられていた様で、既に御飯の仕込みは終わっている模様。
炊飯器からは香ばしい香りの蒸気が上がり、流し場には加工済みの食材が置かれている。
ほんの少し時間が掛かり過ぎた所為か、野菜は多少しなびているが。
そんな提案を持ちかけながら、勇の母親が台所に立つ。
しかし福留はと言えば―――
「いえ、今日はここでお暇させて頂きますよ。 いち早く孫娘に会いに行こうと思います」
やはり先程話した孫娘の方が大事な様だ。
とはいえ価値観は人それぞれというもの。
話を聞いてよく知る母親だからこそ、「それじゃ仕方ないですねぇ」と頷き返すしかなく。
「福留さん、大変ですね……」
「はは、でもあの子の喜ぶ所は好きなので苦ではありませんよ?」
そうして見せたのはいつもよりも大きな笑顔で。
よほど孫娘の事を溺愛してるのだろう。
「ではここで失礼します」
こうして踵を返し、玄関へと向かう。
その足取りもどこか軽やかだ。
孫娘の事もあるのだろうが、やはり良い形で話が纏まったのも大きいのだろう。
しかしそんな折、勇もその後を付いていて。
見送りかとも思えたが、どうやらそうではなさそうだ。
「福留さん、帰り際で申し訳ないんですが少し相談があるんです」
「おや? なんでしょうか?」
「実は―――」
そう語ろうとする勇はどこか神妙な面持ちで。
そこに何かしらの深い理由を察して福留も静かに耳を貸す。
そうして打ち明けられたのは、福留すらも頭を抱えてしまう程に難しい提案だった様で。
「うーん、それは今すぐ答えは出せませんねぇ。 ですが検討はしましょう。 それで勇君の自由度が上がるならばいざ仕方ない範疇と言えますから」
「ありがとうございます。 答え、待ってます」
でもその反応は予想以上に好印象。
膨らんだ期待が勇に深いお辞儀を促していて。
福留もまんざらではなかったのだろう。
勇に微笑みを返すと、それを最後に藤咲家宅を後にしたのだった。
こうしてこの日突然始まった福留との対話が終わりを迎え。
今後、勇達の変容問題での対応が遂に正式な契約として履行される事となる。
これから彼等の非日常は常態化するのだろう。
けれどもう狼狽えはしない。
躊躇いも無い。
その迷いも、悩みも、こうして打ち明けられたから。
後はただひたすらにその解決策を追い求めて突き進むだけだ。
その身に秘めた力を思う存分に行使して。
その地盤はもう整ったのだから。
藤咲家への居候を継続する事となったのだ。
それも政府公認とも言える形で。
当然、勇も両親も乗り気だ。
この一週間で相当な親近感が生まれていたから。
何より、不幸な境遇の彼女を救ってあげたいという気持ちが強かったのも大きいが。
きっと福留もこんな形での解決を望んでいたのだろう。
笑い合い、抱き合う……そんな彼等の姿を前にして、「ウンウン」と頷き微笑んでいて。
出したパンフレットや物件リストなど、もはやゴミ同然。
そう言わんばかりの扱いで適当に袋へ詰めて鞄へと仕舞い込んでいた。
こうして勇達の身辺報告と居住に関する話は終わり。
……という訳にはいかない。
一人暮らしでも手厚いサポートがあったのに居候となったから今まで通り、なんて不釣り合いな事を福留が許すはずも無く。
気付けば微笑みのままにわざとらしいまでに両腕を広げていて。
「さぁではそういう事ですので皆さん、ちゃなさんの事をこれからもどうかよろしくお願いいたします。 あ、こうなった場合の事ももちろん考えていますからご安心ください。 相応の対応はさせて頂くつもりです」
まさに用意周到。
もはや抜かり無し。
そう言われんばかりの手際の良さには藤咲家も苦笑を浮かべるばかりだ。
嬉しさ余って苦などまるで見えはしないが。
「今後、皆さんの相応の行動で経費となりえる場合には補填を付けさせて頂きます。 例えばフェノーダラ王国に個人で移動する事になった場合など、ですねぇ」
これから勇達にはフェノーダラ王国を始め、色んな場所に赴く事も増えるだろう。
勇は特にエウリィとの交友関係での付き合いもあるかもしれない。
しかしそういった場合でも、さすがに毎度毎度政府関係者に送ってもらう訳にもいかず。
という訳で公共の移動手段での移動も考慮し、経費として拠出する事になったのだ。
「それらの支払いに関しては特にお手間を取らせる事は無いように心掛ける予定です。 でも出来ればどこへ行ったか、何をしたかをメールや電話などで報告して頂ければと思います。 でないと経費としてみなされない場合も出かねませんので」
こんな話ともなると、まるで本当に契約したと思わせる様な話ばかりで。
まだ学生な勇とちゃなはともかく、両親はどこか納得したかの様に頷いている。
社会人だからこそわかる馴染みといった所か。
「それとちゃなさんの居候の件ですが、家賃・光熱費の代わりに養育費という形で指定の口座に毎月お振込みさせて頂きます。 概要としましては基本的に固定額、支払いは現在の契約形態が切れるまでとなっております」
「養育費が出るのですか……」
「ええ、ざっと五十万程」
「ごっ、五十万!? た、高過ぎでは!?」
これには勇の父親もびっくりだ。
何せ彼の月給より高いのだから。
「そんなに貰っていいの!?」などと叫んでしまいかねない額なだけに。
だが途端、福留の眉間にシワが寄り。
たちまち困った様な顔付きで「ふぅむ」と唸りを上げる。
「すみません、どうにも庶民感覚ではなかった様ですね。 では毎月二万くらいで」
「「えっ!?」」
―――からの大暴落。
まさかの二十五分の一。
まさに上げて落とさんばかりの急落っぷりに両親揃って身を固まらせていて。
再び口を窄ませた動揺の有様をこれでもかと言わん程に露わとしている。
「ま、まぁちゃなちゃんの事はほ、ほら、お、お金じゃないし……?」
「そ、そうよね、ええ! お、お金じゃ愛情は買えないものね! ウフフフフ!」
しかし本当にこの二人、隠し事が不得手である。
勇も苦手なのが遺伝の所為だという事が手に取ってわかる様だ。
今更「五十万で!」などと、この二人が言える訳も無く。
やはりこれだけの額差を見せつけられれば落胆するのも仕方のない事か。
とはいえ、これもただの福留のお遊びに過ぎないのだが。
「ははは、どちらも冗談です。 毎月最大二十万程まで支払わさせて頂きますのでご安心を」
「え、あ、冗談!? そ、そうですよねぇ、はは……」
どうやら二人共すっかり騙されていた様子。
これには勇も呆れるしかない。
あからさまな二人を前に、片笑窪がキリッと吊り上がったニヒルな笑みを向けていて。
やはりつい今しがた大金を手に入れちゃった男は器量が違う。
ちなみにちゃなは思考停止中だ。
席に戻った後もずっと「ぽやぁ」としたまま。
まだ受け入れられた事の嬉しさの余韻を味わっているのだろう。
「それと変容事件バックアップの関係上、学費も来期から奨学金返済という形で支払わさせて頂きます。 あ、でもこれはちゃなさんの分だけですのでご了承を」
「え? あぁ、まあそれはそうですよね」
それも当然の事か。
勇の家は今こうして平穏無事に存在している訳で。
しかしそう返した勇の父親はどこか残念そうにも見える。
先程の冗談話を引きずっているのだろうか。
さすがの勇もこんな話題を前には余裕も消える。
何故なら、彼自身も実は奨学金制度で入学した身なのだから。
奨学金とは言わば学費借金制度の様なもので、いつかは返さなければならない。
その事は勇も知っているだけに心境は複雑だ。
―――俺の分は今回貰った報酬で早い内に返そうかなぁ―――
などと思える分だけ余裕はあるらしい。
とはいえこれを行ってしまえば、自信の素である貯金額の一部がゴリッと消えてなくなる訳だが。
そんな事を思えば、「支払えるだけの残高あるかなぁ」などと思い。
再び自分の通帳に手を伸ばし、再びその金額を確認する。
そしてやはり書かれた金額に間違いは無いとわかったので。
奨学金を返してお釣りすら来る金額を前に、勇の湧き上がる喜びは抑えきれない。
当人の顔には気付かぬ内に「ニタァ」とした笑みが浮かび上がっていて。
そんな様子を横からまんまるとした目で眺めていたちゃなに気付く事は無かった。
これで本筋と言える話はようやく終わり。
後に残るは幾つかの細かい話だけだ。
自衛隊のバックアップのざっくりとした概要。
受け取ったカードと通帳の細かい仕様。
壊れたままフェノーダラに置き去りの車の補填などなど。
そんな話も今となっては大した話題にもならず、あっという間に時は過ぎて。
気付けば質問も無い程までに落ち着いていた。
「さて、私の用意したお話はこれで以上となります。 長い時間お疲れ様でした」
その時見せた締めのお辞儀はとても堂々と芯が通っていたもので。
その丁寧な姿は勇達も思わずお辞儀で返してしまうほどに美しく。
それと同時に、事の終わりを間違いなく実感させるには十分だった様だ。
ふと勇達が時計を覗けばもう既に夜の九時前。
こうして話をしていたのもおおよそ二時間。
色々と感情的になる事も多かったが、それでも勇達には本当に一瞬の事で。
物腰の低い態度を取る福留だからこそ、勇達もこうして安心して話を聞く事が出来たのだろう。
想像していた堅物政治家のイメージを払拭してしまう程に柔らかい対応だったのだから。
「ご飯前にこんな話してたから余計にお腹空いちゃったわぁ。 福留さん、やっぱり何か食べられていらっしゃったら?」
予め話があるという事を伝えられていた様で、既に御飯の仕込みは終わっている模様。
炊飯器からは香ばしい香りの蒸気が上がり、流し場には加工済みの食材が置かれている。
ほんの少し時間が掛かり過ぎた所為か、野菜は多少しなびているが。
そんな提案を持ちかけながら、勇の母親が台所に立つ。
しかし福留はと言えば―――
「いえ、今日はここでお暇させて頂きますよ。 いち早く孫娘に会いに行こうと思います」
やはり先程話した孫娘の方が大事な様だ。
とはいえ価値観は人それぞれというもの。
話を聞いてよく知る母親だからこそ、「それじゃ仕方ないですねぇ」と頷き返すしかなく。
「福留さん、大変ですね……」
「はは、でもあの子の喜ぶ所は好きなので苦ではありませんよ?」
そうして見せたのはいつもよりも大きな笑顔で。
よほど孫娘の事を溺愛してるのだろう。
「ではここで失礼します」
こうして踵を返し、玄関へと向かう。
その足取りもどこか軽やかだ。
孫娘の事もあるのだろうが、やはり良い形で話が纏まったのも大きいのだろう。
しかしそんな折、勇もその後を付いていて。
見送りかとも思えたが、どうやらそうではなさそうだ。
「福留さん、帰り際で申し訳ないんですが少し相談があるんです」
「おや? なんでしょうか?」
「実は―――」
そう語ろうとする勇はどこか神妙な面持ちで。
そこに何かしらの深い理由を察して福留も静かに耳を貸す。
そうして打ち明けられたのは、福留すらも頭を抱えてしまう程に難しい提案だった様で。
「うーん、それは今すぐ答えは出せませんねぇ。 ですが検討はしましょう。 それで勇君の自由度が上がるならばいざ仕方ない範疇と言えますから」
「ありがとうございます。 答え、待ってます」
でもその反応は予想以上に好印象。
膨らんだ期待が勇に深いお辞儀を促していて。
福留もまんざらではなかったのだろう。
勇に微笑みを返すと、それを最後に藤咲家宅を後にしたのだった。
こうしてこの日突然始まった福留との対話が終わりを迎え。
今後、勇達の変容問題での対応が遂に正式な契約として履行される事となる。
これから彼等の非日常は常態化するのだろう。
けれどもう狼狽えはしない。
躊躇いも無い。
その迷いも、悩みも、こうして打ち明けられたから。
後はただひたすらにその解決策を追い求めて突き進むだけだ。
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