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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~私の持っていない物を全部持ってるみたい~
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「しっかしよぉ、このなりきりセットよく手に入れたよな」
「だよね。今大人気じゃん。社会現象にまでなってるんでしょ?」
勇達による、エウリィとカプロの為のショッピングモール散策が始まる。
しかしその傍らで早速、二人が疑問を口から滑らせる事に。
そう、勇達が纏っている衣装は詰まる所のレア品。
子供が羨むくらいに人気の品なのだ。
ターゲット層がそれこそ子供なもので。
だからこそ手に入れられた勇に疑惑の目が飛ぶ。
また福留の政治力でも利用したのか、と。
「あ、あれもしかして、話してたアルライグッズ店ッスか!?」
「ほんとだー! カプロ君、観にいっこー!」
そんな話題の中でも関係無く、カプロとあずーが揃って噂のアルライ族グッズ店へ。
ちゃんとこのショッピングモールにも出店しているくらいに広まっている様だ。
いや、それは少し違うか。
この場所だから、なのかもしれない。
「それな。わかってると思うけど、これ福留さんから貰ったんだよ。企画商品第八号とかいう名前で、今の初代流通品の一歩手前のモデルらしいよ。完成度上げる為に一番再現度高めたんだって」
「……は?」
「これ福留さんの創った企業から売り出してるんだよ。アルライ族の認知度上げる為にさ。んでカプロが来る可能性もあるから、このモール内の店舗を裏本店にして販売拡充してるんだって」
「いや、ちょっと待って? 前情報から色々おかしい」
そう、それはここが勇達の住む街だから。
カプロと何らかの関わりがあり得るからこその采配だったのだ。
つまり、今勇達の目の前に存在する店は福留が経営しているという事。
つまり、日本でバカ売れの商品は福留プロデュースの末だったという事。
なら本物っぽいのも当然だ。
なにせ本物を見て来た人が作ったのだから。
それにもう全国規模で商品展開中。
一体いつから企画されていたのか。
一体どこで製造されているのか。
何もかも謎だらけでクエスチョンがなお止まらない。
そして勇達の身に付けているのが、その中でも最も本物らしい逸品。
しかも非売品、この世に幾つと無いウルトラレアなアイテムなのである。
「これさ、絶対プレミア付くやつだよね。貰っていい?」
「いいってさ」
「っしゃあ!!」
なので、こればかりはあの瀬玲でさえ気合いを入れてならない。
一世を風靡したレアアイテム、その限定品を成り行きでゲット出来たのだからもう。
こういう流行りアイテムなどには割と執着があるだけに。
きっと自慢したいのだろう。
そういう自尊心も人並みよりは強いので。
「なるほどなぁ、だからあんだけすげぇパーティ開けたのか。儲かってんなー。あの人ホンット何者なんだよ」
「それは俺も知りたい」
一方の心輝はと言えば割と冷静だ。
あまりグッズに執着が無いからだろう。
どちらかと言えばヒーローモノのコスプレの方が好きそう。
という訳で、自撮りを始めた瀬玲を勇と揃って鼻で笑う。
なんだかんだで三人とも楽しそうだけれども。
「三人は相変わらずですね。羨ましい」
そんな勇達を、少し離れた傍らからエウリィが眺め見る。
どこか寂しそうな眼を向けて。
するとそう呟く中、ちゃながそっと垂れた手を掴んでいて。
「エウリィさんもあの中に入ればいいのに」
「何だかまだ壁を感じてしまって。受け入れて貰えるのか不安もありますし」
触れた指が、拍子に握られる。
少しきつめにキュッと想いを込めて。
エウリィにはきっと色々と思う所があるのだろう。
「そんなの無いですよ。勇さんは特に。それに今日は一緒に走って来れたじゃないですか。それは勇さんだって凄いって思ってますし」
その不安を察してか、ちゃなは励まそうとしていて。
決して偽り無い真実を添えて言葉を返す。
掴まれた手をギュッと握り返しながら。
確かに、エウリィは勇達の関係と比べれば昨日今日出会ったに等しい間柄だろう。
でもそれは所詮、思い込みに過ぎない。
勇も心輝も瀬玲も、誰よりエウリィを想ってくれているから。
多少は恋心とか蟠りとかあるけれど、みな基本は優しい人だから。
それに勇が凄いと思っているのも本当の事。
今朝の超人ロードワークはそれくらいにハードで。
その中を初日で付いて来れるなんて思っても見なかった。
勇はあの後そう零していて、ちゃなもそれを聴いて知っていて。
「私はそんなエウリィさんが羨ましいです。上品で、自信に溢れていて。それで勇さんの走りにも付いて行けるなんて。私の持っていない物を全部持ってるみたいで……」
けどちゃな自身はそんな話題で褒められた事が無い。
それどころか心配されて、ペースまで合わせて貰ったりで。
ずっと情けないと思っていても、改善する事が出来ずにいる。
そんな時、二人が支え合って帰って来たから。
だから今日、ちゃなはずっとエウリィに嫉妬していた。
〝私もああやって褒められたい〟という願望を抱いて。
後は〝相棒に相応しい存在になりたい〟なんて願望もあったかもしれない。
でもやっぱり、エウリィは眩しいから。
それに自分はやっぱり弱いから。
それで嫉妬していても強気になれない。
こうして本音を打ち解けられるくらいに好きでもあるから。
「そんな事ありませんよ。ちゃな様も持っているじゃありませんか。わたくしには無い物を沢山」
「えっ?」
ただ、それはエウリィの事をよく知っているからこそ。
本音を語り合う事こそが彼女の何より求めている事だと知っている。
だから自然と、ちゃなはこうして本音をぶつけていて。
お陰でエウリィも本音で応える事が出来る。
こうやって思いの丈を、友となってくれたちゃなに対して。
「わたくしは、勇様と共に戦える力が欲しい。あの人の力になりたい。誰よりも、何よりも。けれど今朝に思い知りました。わたくしにはその力が及ぶ知恵も勇気も無かったと。見えているものだけを信じ過ぎて、新しい世界に臆病となっていた事にも」
「エウリィさん……」
「だから、今のわたくしにはしばらく訓練が必要ですね。誰よりも正しくこの世界を見る為にも。それがまず一番に大事なんだって思っています。その為に、今日はカプロさんと仲良くなりたいですね」
「……うんっ!」
誰だって思い悩む事はある。
でもこうして打ち解け合えるから、悩みだって共有出来る。
そんな親友が欲しかったから寂しかった。
それで仲のいい勇達が羨ましかったのだ。
でもそんな心配をする必要はもう無いのだろう。
やっとこうして本音で打ち解け合える親友が出来たから。
だから今、二人は一緒に笑顔で勇達を眺める事が出来た。
もちろん、互いの手をギュッと掴み合いながらに。
これだけでもう、二人に怖い物なんて――無い。
「だよね。今大人気じゃん。社会現象にまでなってるんでしょ?」
勇達による、エウリィとカプロの為のショッピングモール散策が始まる。
しかしその傍らで早速、二人が疑問を口から滑らせる事に。
そう、勇達が纏っている衣装は詰まる所のレア品。
子供が羨むくらいに人気の品なのだ。
ターゲット層がそれこそ子供なもので。
だからこそ手に入れられた勇に疑惑の目が飛ぶ。
また福留の政治力でも利用したのか、と。
「あ、あれもしかして、話してたアルライグッズ店ッスか!?」
「ほんとだー! カプロ君、観にいっこー!」
そんな話題の中でも関係無く、カプロとあずーが揃って噂のアルライ族グッズ店へ。
ちゃんとこのショッピングモールにも出店しているくらいに広まっている様だ。
いや、それは少し違うか。
この場所だから、なのかもしれない。
「それな。わかってると思うけど、これ福留さんから貰ったんだよ。企画商品第八号とかいう名前で、今の初代流通品の一歩手前のモデルらしいよ。完成度上げる為に一番再現度高めたんだって」
「……は?」
「これ福留さんの創った企業から売り出してるんだよ。アルライ族の認知度上げる為にさ。んでカプロが来る可能性もあるから、このモール内の店舗を裏本店にして販売拡充してるんだって」
「いや、ちょっと待って? 前情報から色々おかしい」
そう、それはここが勇達の住む街だから。
カプロと何らかの関わりがあり得るからこその采配だったのだ。
つまり、今勇達の目の前に存在する店は福留が経営しているという事。
つまり、日本でバカ売れの商品は福留プロデュースの末だったという事。
なら本物っぽいのも当然だ。
なにせ本物を見て来た人が作ったのだから。
それにもう全国規模で商品展開中。
一体いつから企画されていたのか。
一体どこで製造されているのか。
何もかも謎だらけでクエスチョンがなお止まらない。
そして勇達の身に付けているのが、その中でも最も本物らしい逸品。
しかも非売品、この世に幾つと無いウルトラレアなアイテムなのである。
「これさ、絶対プレミア付くやつだよね。貰っていい?」
「いいってさ」
「っしゃあ!!」
なので、こればかりはあの瀬玲でさえ気合いを入れてならない。
一世を風靡したレアアイテム、その限定品を成り行きでゲット出来たのだからもう。
こういう流行りアイテムなどには割と執着があるだけに。
きっと自慢したいのだろう。
そういう自尊心も人並みよりは強いので。
「なるほどなぁ、だからあんだけすげぇパーティ開けたのか。儲かってんなー。あの人ホンット何者なんだよ」
「それは俺も知りたい」
一方の心輝はと言えば割と冷静だ。
あまりグッズに執着が無いからだろう。
どちらかと言えばヒーローモノのコスプレの方が好きそう。
という訳で、自撮りを始めた瀬玲を勇と揃って鼻で笑う。
なんだかんだで三人とも楽しそうだけれども。
「三人は相変わらずですね。羨ましい」
そんな勇達を、少し離れた傍らからエウリィが眺め見る。
どこか寂しそうな眼を向けて。
するとそう呟く中、ちゃながそっと垂れた手を掴んでいて。
「エウリィさんもあの中に入ればいいのに」
「何だかまだ壁を感じてしまって。受け入れて貰えるのか不安もありますし」
触れた指が、拍子に握られる。
少しきつめにキュッと想いを込めて。
エウリィにはきっと色々と思う所があるのだろう。
「そんなの無いですよ。勇さんは特に。それに今日は一緒に走って来れたじゃないですか。それは勇さんだって凄いって思ってますし」
その不安を察してか、ちゃなは励まそうとしていて。
決して偽り無い真実を添えて言葉を返す。
掴まれた手をギュッと握り返しながら。
確かに、エウリィは勇達の関係と比べれば昨日今日出会ったに等しい間柄だろう。
でもそれは所詮、思い込みに過ぎない。
勇も心輝も瀬玲も、誰よりエウリィを想ってくれているから。
多少は恋心とか蟠りとかあるけれど、みな基本は優しい人だから。
それに勇が凄いと思っているのも本当の事。
今朝の超人ロードワークはそれくらいにハードで。
その中を初日で付いて来れるなんて思っても見なかった。
勇はあの後そう零していて、ちゃなもそれを聴いて知っていて。
「私はそんなエウリィさんが羨ましいです。上品で、自信に溢れていて。それで勇さんの走りにも付いて行けるなんて。私の持っていない物を全部持ってるみたいで……」
けどちゃな自身はそんな話題で褒められた事が無い。
それどころか心配されて、ペースまで合わせて貰ったりで。
ずっと情けないと思っていても、改善する事が出来ずにいる。
そんな時、二人が支え合って帰って来たから。
だから今日、ちゃなはずっとエウリィに嫉妬していた。
〝私もああやって褒められたい〟という願望を抱いて。
後は〝相棒に相応しい存在になりたい〟なんて願望もあったかもしれない。
でもやっぱり、エウリィは眩しいから。
それに自分はやっぱり弱いから。
それで嫉妬していても強気になれない。
こうして本音を打ち解けられるくらいに好きでもあるから。
「そんな事ありませんよ。ちゃな様も持っているじゃありませんか。わたくしには無い物を沢山」
「えっ?」
ただ、それはエウリィの事をよく知っているからこそ。
本音を語り合う事こそが彼女の何より求めている事だと知っている。
だから自然と、ちゃなはこうして本音をぶつけていて。
お陰でエウリィも本音で応える事が出来る。
こうやって思いの丈を、友となってくれたちゃなに対して。
「わたくしは、勇様と共に戦える力が欲しい。あの人の力になりたい。誰よりも、何よりも。けれど今朝に思い知りました。わたくしにはその力が及ぶ知恵も勇気も無かったと。見えているものだけを信じ過ぎて、新しい世界に臆病となっていた事にも」
「エウリィさん……」
「だから、今のわたくしにはしばらく訓練が必要ですね。誰よりも正しくこの世界を見る為にも。それがまず一番に大事なんだって思っています。その為に、今日はカプロさんと仲良くなりたいですね」
「……うんっ!」
誰だって思い悩む事はある。
でもこうして打ち解け合えるから、悩みだって共有出来る。
そんな親友が欲しかったから寂しかった。
それで仲のいい勇達が羨ましかったのだ。
でもそんな心配をする必要はもう無いのだろう。
やっとこうして本音で打ち解け合える親友が出来たから。
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