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第十九節「Uの世界 師と死重ね 裏返る力」
~再出 せし かの想い~
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アルライの里、ジヨヨ村長の家……そこに一同が集まっていた。
椅子に座る勇、ズーダーとその仲間達の5人。
それに対するはバノ、そして居間の奥で今なおマッサージ中のジヨヨ村長とニャラ。
「ジヨヨよぉ、別にマッサージ終わるまで待つ必要は無いんじゃねぇかのォ……」
バノすら村長の様子に呆れ顔で見つめる中、淡々とマッサージを続けるニャラのテクニックの前にもはや声すら出ない様子。
「ごめんねぇ~村長がしっかりやってほしいってぇ~」
「んふふ~ニャラちゃんのマッサージは……ンォフ……やっぱええのぉ~……」
勇達もただ呆れ顔でその様子を眺め続ける中……バノが何を思ったのか立ち上がると村長の側へと歩み寄る。
マッサージに夢中で悦な表情を浮かべるジヨヨ村長を他所に、バノが無言でニャラに除けるよう指示をすると……彼女はそれに従う様に村長の腰から手を離し部屋の隅へ一歩引いた。
「さ~村長~キツいの一発いきましょうねぇ~」
野太い声でニャラの口調を真似したバノがそう一声を掛けると、すぐさまその太い指をジヨヨ村長の腰に当て、力強く押し込んだ。
「ぎええええええええ!!」
途端家中に響き渡る叫び声……。
その声は家からも漏れ出し周囲を歩く人々を驚かせていた。
「んがが……死んだ……ワシの腰死んだ……はうぅぅ……」
「命力ブッ込んだからむしろ良くなるわ、暫くニャラも必要ねぇだろうよォ」
「あらぁ~それは助かりますぅ~」
さりげなく本音を漏らすニャラ……相当面倒だったのだろうという事を彷彿とさせる。
「あのぉ……我々はもう話してもよいのだろうか?」
「あぁ構わんよ、聞いてないようならもう一回ブッ込んでやるけぇ」
「待ったぁ!! バノォ!! わかったぁ、聞くからちょい待っとくれぇ!!」
実際良くなったのだろう、彼が寝そべるベッドからゆっくりと降りて地に足を付けると……いつもの様に歩き、座る勇達の対面にある椅子へと腰を掛けた。
「ったく人の楽しみを無碍にしよってからに……」
「マッサージくらい後でやりゃよかろうに止めもせんからじゃあ」
不機嫌そうなジヨヨ村長であるが、バノの強気の目を見ると「ハァ」と溜息を吐き出し……寄った眉間を解きほぐした。
「んで、なんじゃいね」
「グーヌー族のズーダーと申します……こ度は私の失態により迷惑をお掛けした事をお詫びしたく……」
「あぁ、ダーダー殿から聞いとるよぉ……そう言われてもワシらにゃ直接関係無いこっちゃ。 あんまり気にせんときぃ」
「むぅ……」
「まぁワシの一言でおぬらが動揺したのもあるじゃろしのぉ……むしろワシに非がある様なもんじゃけん」
「そういう事でしたら……我々に言う事はもうありませぬ」
そう答えると、ズーダーが両手平を自身の前で合わせ……それに合わせて他の者も同様にそうポーズすると軽く頭を下げて一礼した。
既に海の向こうに居るはずの長老ダーダーと話が通じているという辺り、彼等の言う連絡手段というものがある事には間違いない事を示唆させていた。
「ジヨヨ村長、その事で俺も確認したい事が有るんです」
二方の会話の途切れに食い込む様に勇が口を挟み、真剣な眼差しをジヨヨに向ける。
それを受け、ジヨヨもまた彼が言いたいであろう言葉を待つ。
「ダーダーさんが教えてくれました……世界に散らばる魔者達との連絡手段を持つと……どうしてその事を教えてくれなかったんですか?」
当然の質問内容であろうが、それを受けたジヨヨの表情は曇ったままだ。
だがそんな彼の口が開き、勇も聞き耳を立てた。
「本来はその方法は隠れ里の者達だけの秘密じゃからの……古えの時代より引き継がれし創世の女神の残せし遺産よ」
創世の女神の遺産……その言葉を受け、ラクアンツェが教えてくれた彼等の創世伝説を思い出す。
物理的にそのような物が残っているとなると、天士という存在が空想上のモノでは無く実在していたのだろうと実感させる。
「実際に見せる事は出来んでな、それはわかっとくれ」
「……わかりました、じゃあもう一つ聞きます。 ズーダーから聞きました……ジヨヨ村長は俺の事を注意人物だと伝えていたと……それは一体どういう意図だったんですか?」
その事を耳にした途端、隣に座るズーダーが頭を押さえ顔を俯かせていた。
「……勇殿よ、おぬには言ったハズやのぉ……いつまでも澄んだ心であり続けて欲しいと……ワシらはそのおぬの持つ心の色に惹かれ心を許したのも事実。 じゃがのぉ……カプロを連れて行ったあの日のおぬの心は……とても黒く濁っていたというではないか」
「それは……」
ジヨヨ村長が顎を上げ、天井を見つめんばかりに視線を上に移し虚空を見つめた。
「あの時、ワシらは来るべき時が来たと思ったよぉ……人は変わるものなのだと悟ってのぉ……」
「……あの時は、本当に自分では必死だったんだと思います。 失いたくなくても失った物が多くて……自分の力の無さと思い切りの弱さがこんな結末を生んでしまったと……だから俺は変わってでも守らなきゃいけないと……そう思ってたんです」
膝の上に乗せた拳をギュッと握り締め、想いを馳せる。
あの時、魔剣の力によって偶然叶った別の世界の統也との邂逅……それによって彼は気付いた。
ただ必死になって戦うだけでは、真に望む未来などやって来る訳は無いのだと。
心を見失う事の怖さを知ったからこそ……今の彼の瞳は真っ直ぐに見据えていた。
「でも、先程の戦いで知りましたよ……それは間違っていたのだとね。 とある奴が教えてくれたんです……だから俺は……」
「そうじゃな……バノから聞いたわ、おぬの心の色……再び澄んだ色を取り戻したのだとのぉ……だからこそワシはこうやっておぬと面と向かって話す事が出来ているのだと思って欲しい」
「ありがとうございます……ジヨヨ村長」
ジヨヨはそう言い、そっと勇の顔を見つめ……お互いの目が合う。
互いの瞳が、真っ直ぐ見つめ合い互いの心を映す。
「心の色が見えんワシでもしっかりおぬの心が手に取るようにわかるわ……敢えてもう一度言わせてもらおう……その心、いつまでもそのままであって欲しい」
「はい、この心……俺は大事にしていこうと思います」
パチパチパチ……
途端聞こえる拍手の音……彼等の横に立つニャラが涙を流し感動の余り拍手を上げていた。
「素敵ですぅ~勇さんの悩みや苦しみをひしひしと感じてきましたよぉ~」
「あ、ありがとうニャラさん……」
彼女の突然の介入に場が和んだのか、部屋の中に居る者達に笑みを呼び込む。
「ねぇ~勇さん、そちらのグーヌー族さん方も勇さんのお仲間になったのでしょう~?」
「えぇ、断る理由も無いですし……皆さん頑張って働いてくれてるので助かってますよ」
そう言われズーダー達も照れ臭そうに笑みを浮かべ体をくねらせる。
それに合わせる様にニャラも嬉しそうに体をくねらせた。
「ウフフ~じゃあ勇さん、折角だから私も連れてってくれませんかぁ~?」
「なっ、なんじゃとぉ!? ダッダメじゃニャラちゃんはワシのマッサージという大切な仕事がぁ~!!」
突然のニャラの申し出に慌てる様にジヨヨ村長が立ち上がり大声を張り上げた。
だが、途端ニャラの目を瞑っている様な細い眼が……「ギュンッ」と見開かせた。
「えぇ~……だってぇ村長さん、そう言っていつも私を引き留めるじゃないですかぁ~私だって外に出たいですよぉ~?」
遂にニャラの不満が爆発したのか……いつものおっとりした口調でありながらも大勢の前でそう暴露すると、寝台に置いてあったマッサージ器具を手に取り……笑顔のまま地面に投げ捨てる。
投げ捨てられた器具が床や壁に跳ね返り、「ガンガン」と音を鳴らして跳ね飛んでいく。
そんな様を見て……笑顔だった者達の顔が途端に強張っていった。
それ以上言葉を発する事無く……ニャラは笑顔のまま「るんるん」と家を退出していく。
彼女の足取りをじっと追う様に見つめながら……彼女が去るのを全員が見送った。
「あ、えっと……本人が行くって言うのを止める事は俺には出来なくて……えっと、すいません……」
「あ、我々もこれで失礼致します!!」
何か気まずくなったのか……勇とズーダー達もそう言い残すと素早く立ち上がりそそくさと家から出て行く。
バノも何か声を掛けるのも憚れたのか……無言のまま勇達の後に付いて行く様に立ち上がり去っていった。
後に残されたのはジヨヨ村長のみ……。
彼は唖然としたまま固まり、彼等が去っていくのを見つめ続けていた。
「ワシのマッサージ、誰がしてくれるんじゃあ……」
静かになった村長宅に、直後響き渡った大声は……村の中でも暫くの間話題となり、色んな形に成り代わり流行った模様。
『おのれ藤咲勇めぇーーーーーー!! ニャラちゃんカムバーーーーック!!』
村長の桃色の心が黒く染まった瞬間であった。
風の噂では、その後新しいマッサージ係が付き、それなりに満足しているという話が舞い込む。
それで事態は収拾するが……それはまた別のお話。
新たな仲間達を加え、青年は再び一歩を踏み出す。
かつて自身が歩もうとした道のりを歩む為に。
例えその先に大きな障害が待ち構えようと―――
青年は行く。
考えうる可能性を感じる限り、止まる事を辞めたのだ。
第十九節 完
椅子に座る勇、ズーダーとその仲間達の5人。
それに対するはバノ、そして居間の奥で今なおマッサージ中のジヨヨ村長とニャラ。
「ジヨヨよぉ、別にマッサージ終わるまで待つ必要は無いんじゃねぇかのォ……」
バノすら村長の様子に呆れ顔で見つめる中、淡々とマッサージを続けるニャラのテクニックの前にもはや声すら出ない様子。
「ごめんねぇ~村長がしっかりやってほしいってぇ~」
「んふふ~ニャラちゃんのマッサージは……ンォフ……やっぱええのぉ~……」
勇達もただ呆れ顔でその様子を眺め続ける中……バノが何を思ったのか立ち上がると村長の側へと歩み寄る。
マッサージに夢中で悦な表情を浮かべるジヨヨ村長を他所に、バノが無言でニャラに除けるよう指示をすると……彼女はそれに従う様に村長の腰から手を離し部屋の隅へ一歩引いた。
「さ~村長~キツいの一発いきましょうねぇ~」
野太い声でニャラの口調を真似したバノがそう一声を掛けると、すぐさまその太い指をジヨヨ村長の腰に当て、力強く押し込んだ。
「ぎええええええええ!!」
途端家中に響き渡る叫び声……。
その声は家からも漏れ出し周囲を歩く人々を驚かせていた。
「んがが……死んだ……ワシの腰死んだ……はうぅぅ……」
「命力ブッ込んだからむしろ良くなるわ、暫くニャラも必要ねぇだろうよォ」
「あらぁ~それは助かりますぅ~」
さりげなく本音を漏らすニャラ……相当面倒だったのだろうという事を彷彿とさせる。
「あのぉ……我々はもう話してもよいのだろうか?」
「あぁ構わんよ、聞いてないようならもう一回ブッ込んでやるけぇ」
「待ったぁ!! バノォ!! わかったぁ、聞くからちょい待っとくれぇ!!」
実際良くなったのだろう、彼が寝そべるベッドからゆっくりと降りて地に足を付けると……いつもの様に歩き、座る勇達の対面にある椅子へと腰を掛けた。
「ったく人の楽しみを無碍にしよってからに……」
「マッサージくらい後でやりゃよかろうに止めもせんからじゃあ」
不機嫌そうなジヨヨ村長であるが、バノの強気の目を見ると「ハァ」と溜息を吐き出し……寄った眉間を解きほぐした。
「んで、なんじゃいね」
「グーヌー族のズーダーと申します……こ度は私の失態により迷惑をお掛けした事をお詫びしたく……」
「あぁ、ダーダー殿から聞いとるよぉ……そう言われてもワシらにゃ直接関係無いこっちゃ。 あんまり気にせんときぃ」
「むぅ……」
「まぁワシの一言でおぬらが動揺したのもあるじゃろしのぉ……むしろワシに非がある様なもんじゃけん」
「そういう事でしたら……我々に言う事はもうありませぬ」
そう答えると、ズーダーが両手平を自身の前で合わせ……それに合わせて他の者も同様にそうポーズすると軽く頭を下げて一礼した。
既に海の向こうに居るはずの長老ダーダーと話が通じているという辺り、彼等の言う連絡手段というものがある事には間違いない事を示唆させていた。
「ジヨヨ村長、その事で俺も確認したい事が有るんです」
二方の会話の途切れに食い込む様に勇が口を挟み、真剣な眼差しをジヨヨに向ける。
それを受け、ジヨヨもまた彼が言いたいであろう言葉を待つ。
「ダーダーさんが教えてくれました……世界に散らばる魔者達との連絡手段を持つと……どうしてその事を教えてくれなかったんですか?」
当然の質問内容であろうが、それを受けたジヨヨの表情は曇ったままだ。
だがそんな彼の口が開き、勇も聞き耳を立てた。
「本来はその方法は隠れ里の者達だけの秘密じゃからの……古えの時代より引き継がれし創世の女神の残せし遺産よ」
創世の女神の遺産……その言葉を受け、ラクアンツェが教えてくれた彼等の創世伝説を思い出す。
物理的にそのような物が残っているとなると、天士という存在が空想上のモノでは無く実在していたのだろうと実感させる。
「実際に見せる事は出来んでな、それはわかっとくれ」
「……わかりました、じゃあもう一つ聞きます。 ズーダーから聞きました……ジヨヨ村長は俺の事を注意人物だと伝えていたと……それは一体どういう意図だったんですか?」
その事を耳にした途端、隣に座るズーダーが頭を押さえ顔を俯かせていた。
「……勇殿よ、おぬには言ったハズやのぉ……いつまでも澄んだ心であり続けて欲しいと……ワシらはそのおぬの持つ心の色に惹かれ心を許したのも事実。 じゃがのぉ……カプロを連れて行ったあの日のおぬの心は……とても黒く濁っていたというではないか」
「それは……」
ジヨヨ村長が顎を上げ、天井を見つめんばかりに視線を上に移し虚空を見つめた。
「あの時、ワシらは来るべき時が来たと思ったよぉ……人は変わるものなのだと悟ってのぉ……」
「……あの時は、本当に自分では必死だったんだと思います。 失いたくなくても失った物が多くて……自分の力の無さと思い切りの弱さがこんな結末を生んでしまったと……だから俺は変わってでも守らなきゃいけないと……そう思ってたんです」
膝の上に乗せた拳をギュッと握り締め、想いを馳せる。
あの時、魔剣の力によって偶然叶った別の世界の統也との邂逅……それによって彼は気付いた。
ただ必死になって戦うだけでは、真に望む未来などやって来る訳は無いのだと。
心を見失う事の怖さを知ったからこそ……今の彼の瞳は真っ直ぐに見据えていた。
「でも、先程の戦いで知りましたよ……それは間違っていたのだとね。 とある奴が教えてくれたんです……だから俺は……」
「そうじゃな……バノから聞いたわ、おぬの心の色……再び澄んだ色を取り戻したのだとのぉ……だからこそワシはこうやっておぬと面と向かって話す事が出来ているのだと思って欲しい」
「ありがとうございます……ジヨヨ村長」
ジヨヨはそう言い、そっと勇の顔を見つめ……お互いの目が合う。
互いの瞳が、真っ直ぐ見つめ合い互いの心を映す。
「心の色が見えんワシでもしっかりおぬの心が手に取るようにわかるわ……敢えてもう一度言わせてもらおう……その心、いつまでもそのままであって欲しい」
「はい、この心……俺は大事にしていこうと思います」
パチパチパチ……
途端聞こえる拍手の音……彼等の横に立つニャラが涙を流し感動の余り拍手を上げていた。
「素敵ですぅ~勇さんの悩みや苦しみをひしひしと感じてきましたよぉ~」
「あ、ありがとうニャラさん……」
彼女の突然の介入に場が和んだのか、部屋の中に居る者達に笑みを呼び込む。
「ねぇ~勇さん、そちらのグーヌー族さん方も勇さんのお仲間になったのでしょう~?」
「えぇ、断る理由も無いですし……皆さん頑張って働いてくれてるので助かってますよ」
そう言われズーダー達も照れ臭そうに笑みを浮かべ体をくねらせる。
それに合わせる様にニャラも嬉しそうに体をくねらせた。
「ウフフ~じゃあ勇さん、折角だから私も連れてってくれませんかぁ~?」
「なっ、なんじゃとぉ!? ダッダメじゃニャラちゃんはワシのマッサージという大切な仕事がぁ~!!」
突然のニャラの申し出に慌てる様にジヨヨ村長が立ち上がり大声を張り上げた。
だが、途端ニャラの目を瞑っている様な細い眼が……「ギュンッ」と見開かせた。
「えぇ~……だってぇ村長さん、そう言っていつも私を引き留めるじゃないですかぁ~私だって外に出たいですよぉ~?」
遂にニャラの不満が爆発したのか……いつものおっとりした口調でありながらも大勢の前でそう暴露すると、寝台に置いてあったマッサージ器具を手に取り……笑顔のまま地面に投げ捨てる。
投げ捨てられた器具が床や壁に跳ね返り、「ガンガン」と音を鳴らして跳ね飛んでいく。
そんな様を見て……笑顔だった者達の顔が途端に強張っていった。
それ以上言葉を発する事無く……ニャラは笑顔のまま「るんるん」と家を退出していく。
彼女の足取りをじっと追う様に見つめながら……彼女が去るのを全員が見送った。
「あ、えっと……本人が行くって言うのを止める事は俺には出来なくて……えっと、すいません……」
「あ、我々もこれで失礼致します!!」
何か気まずくなったのか……勇とズーダー達もそう言い残すと素早く立ち上がりそそくさと家から出て行く。
バノも何か声を掛けるのも憚れたのか……無言のまま勇達の後に付いて行く様に立ち上がり去っていった。
後に残されたのはジヨヨ村長のみ……。
彼は唖然としたまま固まり、彼等が去っていくのを見つめ続けていた。
「ワシのマッサージ、誰がしてくれるんじゃあ……」
静かになった村長宅に、直後響き渡った大声は……村の中でも暫くの間話題となり、色んな形に成り代わり流行った模様。
『おのれ藤咲勇めぇーーーーーー!! ニャラちゃんカムバーーーーック!!』
村長の桃色の心が黒く染まった瞬間であった。
風の噂では、その後新しいマッサージ係が付き、それなりに満足しているという話が舞い込む。
それで事態は収拾するが……それはまた別のお話。
新たな仲間達を加え、青年は再び一歩を踏み出す。
かつて自身が歩もうとした道のりを歩む為に。
例えその先に大きな障害が待ち構えようと―――
青年は行く。
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第十九節 完
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