733 / 1,197
『第三部 真界編』プロローグ
~かりそめのうた~
しおりを挟む『―――先日起きた【救世】を名乗る団体による都庁占拠事件の続報です。 事態の終息後、事件に直接関わった【救世】の残るメンバーの行方は以前不明。 また、間接的に関わったとして現在二人の容疑者が警察によって確保された模様です―――』
『―――【東京事変】以降【救世】の活動は見られず、世界各国では次々と事態の完全収束を発表しています。 日本政府も続き安全宣言の声明を発表するとして―――』
『―――先日、【魔特隊】解散を訴えるデモが魔特隊本部前にて行われました。 このデモは一日のみの予定でしたが勢いは収まらず、今なお訴える声は留まる所を知りません―――』
『―――どうやらネット上では【救世】の思想に感化された人もいるようです。 彼等が言っていた事が真実なのか虚偽なのかはわかりませんが……正直な所、世界が滅ぶなどと言われても実感ありませんね―――』
『―――先日未明、【救世同盟】を名乗る団体が【東京事変】を起こした【救世】の思想を受け継いだ事を宣言しました。 彼等の最終的な目的は世界を救う事とのことですが、その手段が闘争という所もあり、各国では慎重な対応を見せています―――』
『―――速報です。 国連決議の結果、【救世同盟】はテロリストには認定されないとの発表が先程行われ、この結果を受けた政府関係者には動揺の声が上がっている様です―――』
『―――本日のピックアップ記事です。 どうやら【魔者】を殺傷可能な武器の開発に成功したとの事。 これで【魔特隊】に頼らなくても魔者問題の解決が計れそうですね―――』
『―――【救世同盟】の思想はどうやら正義感が強い方ほど感化されやすいといった統計が出ているようですね。 世界を救うといった理想がそういった人々を引き付けるのでしょう。 実際、各国の軍隊にすら彼等に同調する声を上げる者も少なくはなく―――』
『―――見てください、あれが【魔特隊】の戦いです!! 【魔者】に立ち向かうあの姿は未だ健在と言えるでしょう。 しかし、【魔者】と戦うあの姿はどうにも【救世同盟】と重なる雰囲気があるのは否めません―――』
『―――この度、日本政府は正式に【救世同盟】をテロリスト団体と認定し、今後一切の関わりを法的に禁じられるよう法整備を行う予定です。 これは【東京事変】が起きた当事国として当然のスタンスであり、各国にも同意を求めていく所存です―――』
『―――【東京事変】から二年が経とうとしています。 あの事件での被害者はおりませんが、以降【救世同盟】メンバーによる事件は今なお海外では起き続けており、これに伴う被害者は日に日に増加の一途をたどっています―――』
『―――ご覧ください、【魔特隊】隊員達による子供達とのふれあいイベントの様子ですよー! 不思議な力もこうして平和的に使えば便利なものですね!―――』
『―――今日は一日晴れ間が続き、洗濯物を干すには最適な一日と言えるでしょう。 それでは週間の天気の予想図です―――』
―
――
――――
――――――
薄っすらとした雲のちらつく青い空が閑静な住宅街を包み、僅かな影を屋根に映す。
そんな空から覗けば、道路を走る車の騒音など微風の囁きにすら届きはしない。
いつもながらの光景。
歩き、車を走らせ、電車に揺られ、いつも通りの道を行き交う。
学校で学び、仕事に従事し、遊びを嗜み、会話に華を咲かせ、食に舌鼓を打つ。
外で起きている争いなど気にする事なく……人々は今ある恩恵にあやかり、生活を十二分に満喫していた。
二年前に起きた【東京事変】など、日本にはもはや過去の出来事に過ぎなかった。
厳密に言えば水面下では燻っているのだろう。
でも実社会においてはそんな事など全く何の影響も無い。
襲撃のあった都庁は別に移され、事件の現場は【東京事変の傷跡】として一種の観光名所となりつつあった。
人は過去を忘れ、今に生きる。
だがそれは、思えば忘却ではなく……安寧への依存だったのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜
加瀬 一葉
ファンタジー
王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。
実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?
過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
