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第二十八節「疑念の都 真実を求め空へ 崩日凋落」
~SIDE瀬玲-02 駆け抜ける赤~
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現在時刻 日本時間16:19......
一台の深紅の車が東北へ向けて爆走していく。
進路は既に円を描く首都高の外縁ルートを乗り越え、東北道を北上中……後は真っ直ぐ行くだけの道へと辿り着いていた。
車の合間を縫う様に、それでいて寸分の狂いも無くスマートに切り返していく様はまるでレースさながら。
さすがの超高級スポーツカー……いや、もはやスーパーカーと名状した方が良いだろうか。
日本の狭い道路では普段出す事など適わない、尋常ではない速度で並み居る車をぶち抜いていく。
抜かれた方が驚いてしまう程に……ただただ凄まじい勢いであった。
だが運転する当の本人……瀬玲は至って冷静だった。
命力を一度滾らせれば、そこから生まれる集中力と反射神経は普通の人間よりも格段に向上する。
特に彼女の場合、魔剣の特殊能力とも言える遠視能力と感覚鋭敏化が備わっているのも大きい。
そんな事もあり、この様な速度の運転であっても彼女にとっては普通の車を運転しているのとなんら変わらないのである。
ただ一つ困った事があると言えば……夕日だろうか。
既に日は落ち始め、傾きを持って射し込む日差しが彼女達の視界を奪う。
運転自体に支障は無いものの……嫌だと言えば嫌なもので。
光を遮る為に片手を翳し、もう片手で超速度を出す車を運転する様は見るからに危なっかしいものだ。
そんな時、隣に座るイシュライトがそっと、瀬玲に何かを差し出した。
「セリ、これを掛けてください」
差し出されたのは……派手な紋様がフレームに刻まれた鋭い形のサングラス。
一体どこから取り出したのか。
おあつらえ向きに渡されたサングラスを見た瀬玲が思わず吹き出し、堪らず大笑いを上げた。
「アッハハッ!! ……ちょっとイシュぅ? 一体こんなのどこから取り出したのよぉ……」
折り畳まれたサングラスを片手で器用に弾き、耳掛けを立てさせる。
瀬玲がチラリと隣を覗き込むと、これ見よがしにイシュライトが揃えた二本の指で相槌を返した。
「ここに置いてあったのですよ。 きっとシンの趣味でしょう」
その指が瀬玲の操るシフトレバーの少し前へと向けられる。
どうやらそこにあるポケット型の収納に仕舞ってあった様だ。
「アイツらしいわ……ま、ありがたいけどね」
瀬玲が自身の顔にサングラスをスッと掛け、再び巡り巡る道路を見据える。
一切のストレスを排する事に成功し、そのまま日が落ち始めた空の下でひたすらに車を走らせたのだった。
そんな爆走する車を、覆面パトカーに乗る警官が目撃し、思わず驚きの声を上げる。
彼等の目に一瞬留まったのはナンバープレートでは無く……車の後部に描かれた模様。
それは茶奈達魔特隊だけに使う事を許された、魔特隊のエンブレムだった。
魔特隊のエンブレムは民間では如何なる使用をも禁止されている。
いざという時にナンバープレート以上に魔特隊の行動をアピールする目的がある為だ。
例え遊びであっても、付けて公道を走ろうものなら逮捕される事すらある程に厳しい。
それを備え付け、しかも普通の人間では触る事すら許されない程の高級車が大急ぎで突き抜けていったのだ。
それがどうにも緊急性を感じさせ、警官達を戸惑わせていた。
「赤のロンバルディーニ……すぐ照合出来そうか?」
「待ってくれ……出た。 園部心輝の所有車両だそうだ……魔特隊、本物だな……」
見てくれでわかった警官も相当な車マニアだったのだろう。
彼等は警官でも一端に過ぎない。
今日本で起きている事などわかる訳も無く。
爆走していった車が魔特隊の物とわかるや否や、彼等は追跡を諦めた。
逆に、その車が魔特隊の作戦行動中だという事を付近の仲間へ伝えるのだった……。
一台の深紅の車が東北へ向けて爆走していく。
進路は既に円を描く首都高の外縁ルートを乗り越え、東北道を北上中……後は真っ直ぐ行くだけの道へと辿り着いていた。
車の合間を縫う様に、それでいて寸分の狂いも無くスマートに切り返していく様はまるでレースさながら。
さすがの超高級スポーツカー……いや、もはやスーパーカーと名状した方が良いだろうか。
日本の狭い道路では普段出す事など適わない、尋常ではない速度で並み居る車をぶち抜いていく。
抜かれた方が驚いてしまう程に……ただただ凄まじい勢いであった。
だが運転する当の本人……瀬玲は至って冷静だった。
命力を一度滾らせれば、そこから生まれる集中力と反射神経は普通の人間よりも格段に向上する。
特に彼女の場合、魔剣の特殊能力とも言える遠視能力と感覚鋭敏化が備わっているのも大きい。
そんな事もあり、この様な速度の運転であっても彼女にとっては普通の車を運転しているのとなんら変わらないのである。
ただ一つ困った事があると言えば……夕日だろうか。
既に日は落ち始め、傾きを持って射し込む日差しが彼女達の視界を奪う。
運転自体に支障は無いものの……嫌だと言えば嫌なもので。
光を遮る為に片手を翳し、もう片手で超速度を出す車を運転する様は見るからに危なっかしいものだ。
そんな時、隣に座るイシュライトがそっと、瀬玲に何かを差し出した。
「セリ、これを掛けてください」
差し出されたのは……派手な紋様がフレームに刻まれた鋭い形のサングラス。
一体どこから取り出したのか。
おあつらえ向きに渡されたサングラスを見た瀬玲が思わず吹き出し、堪らず大笑いを上げた。
「アッハハッ!! ……ちょっとイシュぅ? 一体こんなのどこから取り出したのよぉ……」
折り畳まれたサングラスを片手で器用に弾き、耳掛けを立てさせる。
瀬玲がチラリと隣を覗き込むと、これ見よがしにイシュライトが揃えた二本の指で相槌を返した。
「ここに置いてあったのですよ。 きっとシンの趣味でしょう」
その指が瀬玲の操るシフトレバーの少し前へと向けられる。
どうやらそこにあるポケット型の収納に仕舞ってあった様だ。
「アイツらしいわ……ま、ありがたいけどね」
瀬玲が自身の顔にサングラスをスッと掛け、再び巡り巡る道路を見据える。
一切のストレスを排する事に成功し、そのまま日が落ち始めた空の下でひたすらに車を走らせたのだった。
そんな爆走する車を、覆面パトカーに乗る警官が目撃し、思わず驚きの声を上げる。
彼等の目に一瞬留まったのはナンバープレートでは無く……車の後部に描かれた模様。
それは茶奈達魔特隊だけに使う事を許された、魔特隊のエンブレムだった。
魔特隊のエンブレムは民間では如何なる使用をも禁止されている。
いざという時にナンバープレート以上に魔特隊の行動をアピールする目的がある為だ。
例え遊びであっても、付けて公道を走ろうものなら逮捕される事すらある程に厳しい。
それを備え付け、しかも普通の人間では触る事すら許されない程の高級車が大急ぎで突き抜けていったのだ。
それがどうにも緊急性を感じさせ、警官達を戸惑わせていた。
「赤のロンバルディーニ……すぐ照合出来そうか?」
「待ってくれ……出た。 園部心輝の所有車両だそうだ……魔特隊、本物だな……」
見てくれでわかった警官も相当な車マニアだったのだろう。
彼等は警官でも一端に過ぎない。
今日本で起きている事などわかる訳も無く。
爆走していった車が魔特隊の物とわかるや否や、彼等は追跡を諦めた。
逆に、その車が魔特隊の作戦行動中だという事を付近の仲間へ伝えるのだった……。
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