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第三十二節「熱き地の再会 真実は今ここに 目覚めよ創世」
~心を繋げる戯れの唄~
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所変わり、同多目的スペースの一角に存在する個室スペース。
そこには二畳程のスペースしかない部屋が幾つも並んでいる。
簡単に言えば、アルクトゥ―ン内に設置されたネットカフェだと思えばいいだろう。
部屋の中にはパソコンや最新ゲーム機など、一通りの電子機器が揃っている。
使用許可は個人に与えられた在籍カードを専用カードリーダーに通すだけというお手軽さが売りだ。
旗艦に乗り合わせた者には個々または家族の部屋が割り当てられている訳だが、PCなどが用意できない者の為にそういったスペースが造られているという訳だ。
そこに勇を始め、先程会議に参加していた者達がこぞって訪れていた。
彼等を前にするのは……心輝、そして彼の友人二人。
一人は前田 博幸、もう一人は渡部 光。
どちらも勇や瀬玲も知る、昔からの馴染みだ。
「なンでお前等がいんだよ……」
「開幕からそれはねーだろ藤咲」
予想だにもしなかった二人の登場に、勇の地が思わず漏れ出る。
福留ももはや予測不可能の状況に苦笑いしか浮かばない。
「ゲームと聞いて、俺はピンッと来たね。 どうせ福留さんの事だ、きっとポーカーとかそういった辺りの古いゲームをやらせようと思ってたんじゃないですかね?」
「ウッ……」
その一言を前に、福留の声が詰まる。
どうやら図星だった様だ。
もっとも、彼の用意した方法も間違いではないとは言える。
なにせポーカーフェイスという語源が生まれたポーカーは、表情の駆け引き。
勇の感覚を養うにはもってこいと言えるだろう。
だが……心輝がそれを許すはずなど無かったのだ。
もはやそんな古風なゲームなど、彼には退屈以外の何物でもないのだから。
「現代ッコにゃあ、現代らしいゲームっつうもんがあるんですよ……そう、コイツの様なッ!!」
「「で、でた~~~!!」」
わざとらしい二人の驚きを受けて勇達の前に差し出されたのは……一つのディスクケース。
それは仰々しい絵柄が刻まれた、とあるゲームタイトルのものだった。
「その名も『モンスターランサー エクストリームワールドゥッ!!』」
満を持して登場したのは……ゲームをする者なら誰でも知る有名タイトルの最新作であった。
そう、日本を発つ直前に購入したゲームの一つである。
「出たわぁー……あーやだやだ、もう勘弁してホント……」
そのタイトルの名が出た途端、瀬玲が煙たがる様な仕草を見せる。
彼女には苦い思い出でもあるのだろうか……たちまち頭を抱え、イシュライトに肩を支えられるのだった。
「そいつァ無理な話だな……これは勇の為なんだ、お前にも付き合わなければならない理由があンだよ」
心輝に至っては極真面目な雰囲気での語りだったのだが……それが逆に瀬玲の癪に障ったのか、彼女の口から舌打ちが飛び出る。
それほどまでに嫌なのだろう……そのタイトルが。
「知らない人に念の為教えておくとだな……コイツは簡単に言えばハンティングゲームだ。 だが、そんじょそこらのゲームとは訳が違う。 これでもかッッッてくらい難易度がオカシイんだ」
「そうそう。 でもどこかやめられないんですよね」
その時、聴き慣れた声が心輝に続き、思わず皆の視線が声の元へと向けられる。
視線が集まった先に居るのは……茶奈だった。
「え……茶奈、やった事あるの……?」
「ええ、魔特隊時代に暇な時間があった時、心輝さん達とやってましたよ」
「そうだぜ……俺と茶奈は前作のプレイヤーレベル200越えだ。 相当な腕前とプレイ時間がねぇとここまで達せないレベルだぜ」
茶奈と心輝から伝えられた驚愕の事実に、勇が衝撃を隠せない。
暗黒の二年間、彼女が暇な時何をしていたのか……つまりこのゲームだ。
ただキッピーと戯れていただけでは無かったのだ。
そして何より彼女が既に提示されたゲームの達人であるという事実……それが何よりも衝撃的だったのである。
「セリの奴は途中でギブったけどな」
「そんなん好き好んでやる奴の気が知れないわ」
瀬玲がここまでに忌避するのがこのゲーム、『モンスターランサー』なのだ。
「話を戻すと……こいつは基本、八人同時プレイが推奨……いや、必須と言われてる。 多人数で超巨大なモンスターを倒すのが目的なんだが、そう簡単にはいかねぇ」
「ああ、こいつはヤバイんだぜ……ちょっと痛い攻撃を食らえば、あっという間にアバターは動きが鈍っちまう。 特に必殺攻撃……こいつを食らえば最初から一気に死ぬ事だって有り得る。 一度死ねば終わり、戦いが終わるまで再参戦は出来ない」
「そんなきっつい状況でな、八人が協力して戦わねーと、マジ勝てねっつうの」
心輝ら三人が手馴れた様なコンビネーションでの説明を見せつける。
そう、彼等も昔このゲームで共に戦い、育ってきたからこそ……この様な連携を取れる程までに絆が深まっているのだ。
……全てがそれのお陰とは限らないが。
「コイツをだな、訓練したい奴だけ隔離して、アバターの挙動だけで何がしたいかを伝えるんだ。 そして求めた通りに動ける様になるまで……プレイし続けるって訳だ」
「なるほど……確かにそれなら……」
福留も半分は理解していないだろう。
だが目的を達せられれば何でもいい……今の福留の心内にあるのはそんな想いだけ。
そしてそれに至れるゲームだという事は理解出来たからこそ、頷き認めるのだった。
「まぁ最初は感覚掴む為に声くらいは聴こえる様にしといた方がいいですがね」
「っつう訳で許可も出たし……早速やろうぜ!!」
心輝と前田と渡部……三人のコンビネーションで説明が終わると、途端準備が始まる。
終始振り回されっぱなしの勇達は……なし崩し的に心輝の提案通り、『モンスターランサー』のプレイを始める事となったのであった。
こうして、三人の暇潰し 兼 勇の訓練が始まりを告げる。
果たして勇は福留の思惑通りに客観的思考能力を得る事が出来るのだろうか。
勇も福留も……今はまだ、強い不安に苛まれていた……。
そこには二畳程のスペースしかない部屋が幾つも並んでいる。
簡単に言えば、アルクトゥ―ン内に設置されたネットカフェだと思えばいいだろう。
部屋の中にはパソコンや最新ゲーム機など、一通りの電子機器が揃っている。
使用許可は個人に与えられた在籍カードを専用カードリーダーに通すだけというお手軽さが売りだ。
旗艦に乗り合わせた者には個々または家族の部屋が割り当てられている訳だが、PCなどが用意できない者の為にそういったスペースが造られているという訳だ。
そこに勇を始め、先程会議に参加していた者達がこぞって訪れていた。
彼等を前にするのは……心輝、そして彼の友人二人。
一人は前田 博幸、もう一人は渡部 光。
どちらも勇や瀬玲も知る、昔からの馴染みだ。
「なンでお前等がいんだよ……」
「開幕からそれはねーだろ藤咲」
予想だにもしなかった二人の登場に、勇の地が思わず漏れ出る。
福留ももはや予測不可能の状況に苦笑いしか浮かばない。
「ゲームと聞いて、俺はピンッと来たね。 どうせ福留さんの事だ、きっとポーカーとかそういった辺りの古いゲームをやらせようと思ってたんじゃないですかね?」
「ウッ……」
その一言を前に、福留の声が詰まる。
どうやら図星だった様だ。
もっとも、彼の用意した方法も間違いではないとは言える。
なにせポーカーフェイスという語源が生まれたポーカーは、表情の駆け引き。
勇の感覚を養うにはもってこいと言えるだろう。
だが……心輝がそれを許すはずなど無かったのだ。
もはやそんな古風なゲームなど、彼には退屈以外の何物でもないのだから。
「現代ッコにゃあ、現代らしいゲームっつうもんがあるんですよ……そう、コイツの様なッ!!」
「「で、でた~~~!!」」
わざとらしい二人の驚きを受けて勇達の前に差し出されたのは……一つのディスクケース。
それは仰々しい絵柄が刻まれた、とあるゲームタイトルのものだった。
「その名も『モンスターランサー エクストリームワールドゥッ!!』」
満を持して登場したのは……ゲームをする者なら誰でも知る有名タイトルの最新作であった。
そう、日本を発つ直前に購入したゲームの一つである。
「出たわぁー……あーやだやだ、もう勘弁してホント……」
そのタイトルの名が出た途端、瀬玲が煙たがる様な仕草を見せる。
彼女には苦い思い出でもあるのだろうか……たちまち頭を抱え、イシュライトに肩を支えられるのだった。
「そいつァ無理な話だな……これは勇の為なんだ、お前にも付き合わなければならない理由があンだよ」
心輝に至っては極真面目な雰囲気での語りだったのだが……それが逆に瀬玲の癪に障ったのか、彼女の口から舌打ちが飛び出る。
それほどまでに嫌なのだろう……そのタイトルが。
「知らない人に念の為教えておくとだな……コイツは簡単に言えばハンティングゲームだ。 だが、そんじょそこらのゲームとは訳が違う。 これでもかッッッてくらい難易度がオカシイんだ」
「そうそう。 でもどこかやめられないんですよね」
その時、聴き慣れた声が心輝に続き、思わず皆の視線が声の元へと向けられる。
視線が集まった先に居るのは……茶奈だった。
「え……茶奈、やった事あるの……?」
「ええ、魔特隊時代に暇な時間があった時、心輝さん達とやってましたよ」
「そうだぜ……俺と茶奈は前作のプレイヤーレベル200越えだ。 相当な腕前とプレイ時間がねぇとここまで達せないレベルだぜ」
茶奈と心輝から伝えられた驚愕の事実に、勇が衝撃を隠せない。
暗黒の二年間、彼女が暇な時何をしていたのか……つまりこのゲームだ。
ただキッピーと戯れていただけでは無かったのだ。
そして何より彼女が既に提示されたゲームの達人であるという事実……それが何よりも衝撃的だったのである。
「セリの奴は途中でギブったけどな」
「そんなん好き好んでやる奴の気が知れないわ」
瀬玲がここまでに忌避するのがこのゲーム、『モンスターランサー』なのだ。
「話を戻すと……こいつは基本、八人同時プレイが推奨……いや、必須と言われてる。 多人数で超巨大なモンスターを倒すのが目的なんだが、そう簡単にはいかねぇ」
「ああ、こいつはヤバイんだぜ……ちょっと痛い攻撃を食らえば、あっという間にアバターは動きが鈍っちまう。 特に必殺攻撃……こいつを食らえば最初から一気に死ぬ事だって有り得る。 一度死ねば終わり、戦いが終わるまで再参戦は出来ない」
「そんなきっつい状況でな、八人が協力して戦わねーと、マジ勝てねっつうの」
心輝ら三人が手馴れた様なコンビネーションでの説明を見せつける。
そう、彼等も昔このゲームで共に戦い、育ってきたからこそ……この様な連携を取れる程までに絆が深まっているのだ。
……全てがそれのお陰とは限らないが。
「コイツをだな、訓練したい奴だけ隔離して、アバターの挙動だけで何がしたいかを伝えるんだ。 そして求めた通りに動ける様になるまで……プレイし続けるって訳だ」
「なるほど……確かにそれなら……」
福留も半分は理解していないだろう。
だが目的を達せられれば何でもいい……今の福留の心内にあるのはそんな想いだけ。
そしてそれに至れるゲームだという事は理解出来たからこそ、頷き認めるのだった。
「まぁ最初は感覚掴む為に声くらいは聴こえる様にしといた方がいいですがね」
「っつう訳で許可も出たし……早速やろうぜ!!」
心輝と前田と渡部……三人のコンビネーションで説明が終わると、途端準備が始まる。
終始振り回されっぱなしの勇達は……なし崩し的に心輝の提案通り、『モンスターランサー』のプレイを始める事となったのであった。
こうして、三人の暇潰し 兼 勇の訓練が始まりを告げる。
果たして勇は福留の思惑通りに客観的思考能力を得る事が出来るのだろうか。
勇も福留も……今はまだ、強い不安に苛まれていた……。
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