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第三十二節「熱き地の再会 真実は今ここに 目覚めよ創世」
~弱者に送る洗礼の唄~
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『ハンティングスタート!!』
途端、画面が切り替わり、軽快な声が響き渡る。
ゲーム本番の始まりを告げる一声だ。
たちまち画面に彩りが生まれ……周囲一面を緑が覆い尽くした。
「森ステージだ!!」
突如渡部の声が響き渡る。
そう、このモンランというゲーム……モンスターの種類は選べるが、ステージはランダム。
つまり、始まるまでどこで戦うかわからないという仕様なのである。
しかし、始まった途端の心輝達の行動は凄まじく速かった。
全員のスタート地点は同じだ。
だが突然、声一つ上がる事無く……心輝、茶奈、前田、渡部のアバターはスタート地点から一瞬にして姿を消したのだった。
「え、あれ……皆どこ行ったんだ!?」
周囲は木々が立ち並ぶ、視界の悪い森の中。
画面を前に勇達がキョロキョロと視線を動かすが……もはや彼等の姿は影も形も残ってはいなかった。
「勇君、このゲームはまずモンスターを探すのが基本なのさ。 こんな森の中だと特にね」
勇の背後から聞こえるのは獅堂の声。
彼もまた経験者なのだろう……こんな時だけは例え彼であっても頼もしいに尽きる。
画面操作もおぼつかない勇ではあるが……コントローラーに備えられたジョイコンレバーを操作し、辛うじてアバターを動かし始めた。
「お、おお……」
簡単な操作ではあるが、滅多にゲームをしない勇にとっては驚きの連続だ。
想像以上に滑らかな動き、微操作を受け付ける操作性……彼の経験した事の無いゲーム性に、思わず感心の声が漏れ出ていた。
それは当然、マヴォやイシュライトも同じだ。
ナターシャに関しては当ゲームをやった事が無いだけで、手馴れた様に動かしてはいるが。
敵が居なくても攻撃動作は出来るし、一通りの操作は可能だ。
勇が選んだのは初心者向けの武器である片手剣。
攻撃力は低いが小盾もセットで付いてガードも出来る万能装備だ。
彼にとっても使い慣れている馴染みのタイプだからこそ、選ぶに至ったのだろう。
ガチャガチャと不慣れに操作を行いつつ、コントローラーの配置を確かめる。
気付けばコントローラー自体を眺める様に……ボタンの配置を確認し始めていた。
だがその時突然……心輝の声が響き渡る。
「勇ッ!! 後ろだあッ!!!!!」
その瞬間……勇は電光石火の如き反応を示した。
客観的思考に乏しくとも、戦いにおける反応速度は常人のそれを超えている。
例え相手がゲームの敵だろうと、その力はなんら変わる事は……無い。
「ちいッ!?」
そして勇はまさに雷光が如き反応速度で……自身の背後へと振り向いたのだった。
『デッドエーンド!!』
途端、虚しい音声が響き渡る。
それに気付いた勇が振り返り、画面を見ると……既に自分用の画面は暗転し、『DEAD END』の文字だけが表示されていた。
「いや、無理だろ……」
「「「無理じゃねぇよ!!!!!」」」
叫びとも足る心輝達の総ツッコミが個室スペース中に響き渡る。
開幕おおよそ二分程度。
勇の初プレイ生存時間は……たったそれだけだった。
数多とも言えるモンラン経験者達の中にすら滅多に遭った者はいない程の悲惨な数字である。
何が起きたかというと……簡単に言えば、勇のアバターの背後から討伐対象モンスターが現れた、それだけだ。
ただ前進し、その足を踏み出した先に勇のアバターが居ただけに過ぎない。
つまり、戦闘すら始まっていなかったという訳だ。
これにはさすがの福留も頭を抱えずにはいられない。
「勇君……君は御老人なんですか……?」
「え、ええ……!?」
真に老人の福留がそう口に出してしまうのも無理は無い。
勇が示した反応こそ、時代に順応出来ていない年寄りが初めてゲームやパソコン操作を行うのと同じだったのだから。
それはまさに、自分が知らない事に対する反応そのもの。
そして心輝の言った事に対する誤認も合わせれば……彼の欠点がこうして浮き彫りとなる。
そう……勇はゲームが大の苦手なのである。
これは彼が小さい頃から認識している事。
実は彼が人生で初めてゲームをした時から、この症状は存在していた。
元々、彼は直動的動作に対しては凄く強いのだが……対して流動型動作には疎い。
簡単に言うと、ゲーム内の物体やボールなど、自分の意思とは無関係に動く物の操作がとても苦手なのだ。
直感的に動かせるゲームなら出来るのだが……例えば敵や障害物といったものが絡むとその時点で詰む。
なんせ敵は単調なNPC……動きが読めず、誤操作を誘発してしまう事に。
それが元で……子供の頃にゲームを買ってもらって友人と一緒にプレイした時も散々たる結果となり、それ以来ゲームをほとんどやらなくなってしまったという訳だ。
いわゆるトラウマである。
ちなみにそのゲーム機が……フララジカ開始直後、暇潰しとして剣聖にあげた【ジョイステージ】だ。
そんな事もあり、勇はスマートフォンを得た後もソーシャルゲームすら触る事が無かった。
その様な彼が今、最新ゲームを触っても……こんな結果になるのは目に見えてわかっていた事だったのかもしれない。
こんなゲーム音痴な勇は果たして……熟練者すら唸る難易度のモンランことモンスターランサーを無事攻略する事が出来るのであろうか。
どう考えても無事では済まないこの企画に……一つ陰りが生まれた瞬間であった。
途端、画面が切り替わり、軽快な声が響き渡る。
ゲーム本番の始まりを告げる一声だ。
たちまち画面に彩りが生まれ……周囲一面を緑が覆い尽くした。
「森ステージだ!!」
突如渡部の声が響き渡る。
そう、このモンランというゲーム……モンスターの種類は選べるが、ステージはランダム。
つまり、始まるまでどこで戦うかわからないという仕様なのである。
しかし、始まった途端の心輝達の行動は凄まじく速かった。
全員のスタート地点は同じだ。
だが突然、声一つ上がる事無く……心輝、茶奈、前田、渡部のアバターはスタート地点から一瞬にして姿を消したのだった。
「え、あれ……皆どこ行ったんだ!?」
周囲は木々が立ち並ぶ、視界の悪い森の中。
画面を前に勇達がキョロキョロと視線を動かすが……もはや彼等の姿は影も形も残ってはいなかった。
「勇君、このゲームはまずモンスターを探すのが基本なのさ。 こんな森の中だと特にね」
勇の背後から聞こえるのは獅堂の声。
彼もまた経験者なのだろう……こんな時だけは例え彼であっても頼もしいに尽きる。
画面操作もおぼつかない勇ではあるが……コントローラーに備えられたジョイコンレバーを操作し、辛うじてアバターを動かし始めた。
「お、おお……」
簡単な操作ではあるが、滅多にゲームをしない勇にとっては驚きの連続だ。
想像以上に滑らかな動き、微操作を受け付ける操作性……彼の経験した事の無いゲーム性に、思わず感心の声が漏れ出ていた。
それは当然、マヴォやイシュライトも同じだ。
ナターシャに関しては当ゲームをやった事が無いだけで、手馴れた様に動かしてはいるが。
敵が居なくても攻撃動作は出来るし、一通りの操作は可能だ。
勇が選んだのは初心者向けの武器である片手剣。
攻撃力は低いが小盾もセットで付いてガードも出来る万能装備だ。
彼にとっても使い慣れている馴染みのタイプだからこそ、選ぶに至ったのだろう。
ガチャガチャと不慣れに操作を行いつつ、コントローラーの配置を確かめる。
気付けばコントローラー自体を眺める様に……ボタンの配置を確認し始めていた。
だがその時突然……心輝の声が響き渡る。
「勇ッ!! 後ろだあッ!!!!!」
その瞬間……勇は電光石火の如き反応を示した。
客観的思考に乏しくとも、戦いにおける反応速度は常人のそれを超えている。
例え相手がゲームの敵だろうと、その力はなんら変わる事は……無い。
「ちいッ!?」
そして勇はまさに雷光が如き反応速度で……自身の背後へと振り向いたのだった。
『デッドエーンド!!』
途端、虚しい音声が響き渡る。
それに気付いた勇が振り返り、画面を見ると……既に自分用の画面は暗転し、『DEAD END』の文字だけが表示されていた。
「いや、無理だろ……」
「「「無理じゃねぇよ!!!!!」」」
叫びとも足る心輝達の総ツッコミが個室スペース中に響き渡る。
開幕おおよそ二分程度。
勇の初プレイ生存時間は……たったそれだけだった。
数多とも言えるモンラン経験者達の中にすら滅多に遭った者はいない程の悲惨な数字である。
何が起きたかというと……簡単に言えば、勇のアバターの背後から討伐対象モンスターが現れた、それだけだ。
ただ前進し、その足を踏み出した先に勇のアバターが居ただけに過ぎない。
つまり、戦闘すら始まっていなかったという訳だ。
これにはさすがの福留も頭を抱えずにはいられない。
「勇君……君は御老人なんですか……?」
「え、ええ……!?」
真に老人の福留がそう口に出してしまうのも無理は無い。
勇が示した反応こそ、時代に順応出来ていない年寄りが初めてゲームやパソコン操作を行うのと同じだったのだから。
それはまさに、自分が知らない事に対する反応そのもの。
そして心輝の言った事に対する誤認も合わせれば……彼の欠点がこうして浮き彫りとなる。
そう……勇はゲームが大の苦手なのである。
これは彼が小さい頃から認識している事。
実は彼が人生で初めてゲームをした時から、この症状は存在していた。
元々、彼は直動的動作に対しては凄く強いのだが……対して流動型動作には疎い。
簡単に言うと、ゲーム内の物体やボールなど、自分の意思とは無関係に動く物の操作がとても苦手なのだ。
直感的に動かせるゲームなら出来るのだが……例えば敵や障害物といったものが絡むとその時点で詰む。
なんせ敵は単調なNPC……動きが読めず、誤操作を誘発してしまう事に。
それが元で……子供の頃にゲームを買ってもらって友人と一緒にプレイした時も散々たる結果となり、それ以来ゲームをほとんどやらなくなってしまったという訳だ。
いわゆるトラウマである。
ちなみにそのゲーム機が……フララジカ開始直後、暇潰しとして剣聖にあげた【ジョイステージ】だ。
そんな事もあり、勇はスマートフォンを得た後もソーシャルゲームすら触る事が無かった。
その様な彼が今、最新ゲームを触っても……こんな結果になるのは目に見えてわかっていた事だったのかもしれない。
こんなゲーム音痴な勇は果たして……熟練者すら唸る難易度のモンランことモンスターランサーを無事攻略する事が出来るのであろうか。
どう考えても無事では済まないこの企画に……一つ陰りが生まれた瞬間であった。
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