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第三十二節「熱き地の再会 真実は今ここに 目覚めよ創世」
~激闘を制せし者の唄~
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その後、勇達は色々な出来事を間に挟みながらも……十数日間を掛けて、暇を見つけてはモンランを幾度と無く続けた。
当然彼等は目標を棄てる事無く、きちんと打ち込み続けたのだ。
だが超常種達の猛攻は激しく、彼等を存分に苦しめた。
「やっべ……すまねぇ勇!!」
「勇さんごめんなさいっ!! 私もうダメです!!」
勇は仲間達の意図を読む事が出来る様になったのだが……敵が強すぎてとうとう仲間達自体に余裕が無くなり、指示が出せずに詰むといった事が増えて来た。
ここでまさかの心輝達や茶奈の再起不能が目立つ様になり、指示さえ出せればなんとかなりそうでも一歩届かずといった状況が幾度と無く繰り返された。
「え、ちょ、えええええ!? 待って!! いや、俺一人とか無理!!!!」
これにはさすがに誰も突っ込めない。
勇一人だけが残され、モンスターに追いかけ回され続けるというハプニングに見舞われたのだ。
当然、その後勇も再起不能に。
そこで初めて彼等は敗北を喫し、モンランの真の厳しさを思う存分味わうのだった。
いつも冷静沈着なイシュライトはゲームともなればもはや目を血走らせて奇声を上げる様になっていた。
「うああああああ!!! クソがああああああ!!!!! 死ィねええええええ!!!!!」
とあるゲーム名人すら真っ青になる速度で必要以上にボタンを連打し、画面の中の敵へと殺意をぶつけまくる。
そんな彼の足元にあるゴミ箱には、幾つも壊れたコントローラーが積み重ねられていた。
彼の怒りの残滓は己の命力で強化されたコントローラーすら打ち砕く。
でも残念ながら、命力でゲームは上手くならない。
怒りが極限に達すると力の加減が出来ないという彼の弱点が浮き彫りと成り、彼自身の新しい課題がこうして生まれたのであった。
「無理だ……俺には出来ねぇ……【ベストルドン】ちゃん……!!」
マヴォはあろう事か、ゲーム内のモンスターに好意を抱いてしまっていた。
お相手は嵐美熊獣【ベストルドン】……雌熊型の超巨大モンスターだ。
人間にとって恐ろしい怪物として造られたこのモンスターも、魔者であるマヴォにとっては愛くるしい存在に見えるのだろう。
攻撃を躊躇してしまう程に入れ込んでしまい、溜息が幾度と無く漏れ出る。
ようやく倒しそうになるも、マヴォが躊躇してしまい……全員一斉攻撃がトドメとなるのにそれが出来ない。
「やれ!! やるんだマヴォ!! 相手はデータの塊に過ぎないんだあッ!!」
「うわあああああああああああ!!! ベストルドォーーーーーーン!!!」
事後、悟りを開いた様な安らかな顔で天井を仰ぎながら気を失ったマヴォの姿があったという。
その後、勇達は順調に強敵モンスター達を穿ち続けた。
ようやく残り五種類……最強の四神獣と呼ばれるモンスターと、最終ボスモンスターを残すのみに。
だがそこで勇達に絶望の現実が襲い掛かる。
アバター達にはいわゆる役割があり、プレイヤーはその役割を効率よく果たす事で戦いを有利に進める必要がある。
攻撃の要である特攻型、敵の弱点を浮彫にする偵察型、敵の攻撃を阻止する斥候型、罠を張って隙を作る妨害型。
その中でも最も重要と言われるのが支援型。
……それを操れる者が勇達の中には居なかったのである。
支援型は熟練者が使えばプレイヤー三人分にも匹敵する力が発揮出来る重要な役割だ。
怪我を負った仲間の治療や、全体的な攻撃力や防御力の強化、移動の支援など、役目は多い。
では何故そんな便利な役割のアバターが勇達に居ないのか。
それは簡単だ……ひたすらに地味なのである。
特攻型の様に派手では無く、ただ走り回るだけの様な役目ばかり。
おまけに散り散りになって戦う仲間の所に効率的に向かわねばならず、少しでも遅れればその分だけ仲間の命が危険に晒される責任まで付きまとう。
故に誰もやりたがらず、数ある中から不動の不人気No.1という不名誉な称号すら持つ役割なのである。
しかしこの辺りに来ると支援型が必須となる程に途端と強くなるため……遂に勇達は先に進めず詰んでしまうのだった。
彼等はそれでもどうにかしようと試行錯誤を繰り返した。
武器を変え、役割を試し、立回りを工夫して。
だがどれも無為に消え……全ては絶望に消えゆく。
あまりの凶悪さに……ここまでは諦めずに来た勇達も、攻略法の兆しすら見えぬ現状に困り果てていた。
そんな時、彼等の下に突如として異質が舞い込む。
幾度目かの挑戦で敗北し、アバター達が集まる集会場というエリアへと戻って来た勇達。
すると彼等の目の前に見た事も無いアバターが一人立っていたのだ。
そしてそのアバターを見掛けた途端……勇達は絶句する。
アバターの頭上に浮かぶのは個々の名称。
そこに浮いていたのは……「あるでい」という文字だったのである。
変わりアバターと言えば、アフリカ系を想像させる褐色の肌の女性キャラクター。
「なんで……」「まさか……?」などという声が個室エリアで囁かれる。
目の前に居るキャラクターが何者かなど、その時点でわかる訳も無かったのだから。
そう、何を隠そう……本人の登場である。
例え重犯罪人と言えど、何も無い場所に閉じ込めておくのは人道に反する。
という訳で彼にも最新ゲーム機である【ワンダーアクトZ】とモンランが与えられた。
もちろん、ネットワークは艦内のみの対応で、外部とは連絡が取れない様に細工済み。
そこで彼は自力でプレイ方法を模索し、操作し、今こうして勇達の目の前に現れたのだ。
とはいえ、彼も初心者であり初期アバター。
暇潰しに現れただけだろうと納得し、戯れで一緒にプレイを始めた。
だが……アルディの成長は恐ろしく速かった。
あっという間に心輝達の腕前を見てその技術を会得し、瞬く間に熟練者並の動きを見せつける様になったのだ。
しかも彼の選んだ役割は、痒い所に手が行き届く……支援型。
彼の動きはまさに勇達が欲していた動きそのもの。
あれよあれよという間に彼の腕前や装備は勇達が敗北を繰り返していた相手へ届いたのである。
そして遂に彼等は運命の再戦へと一歩を踏み出した。
敵意も悪意も反意も無い。
ただ神の如き超常モンスターを倒すという目的一つの為に一致団結し、血みどろと成りながら彼等は戦い続けた。
今まで倒せなかった相手が一つ、また一つと地に堕ちていく。
手ごたえを感じながら、勇達はとうとう最後のボス……龍脈超神獣【アポカリュスドン】との最終決戦に挑む。
心輝が、茶奈が、叫びを上げながら蒸発していく。
前田が、渡部が、頭を抱えて己の無力さを嘆き、頭を机に打ち付ける。
ナターシャが、竜星が、力不足故に抱き合い涙を流す。
マヴォが、イシュライトが、発狂する程に打ちのめされて。
画面の向こうで一言も喋らないアルディと、黙々と罠を張る勇。
連戦敗北の末の一戦で二人だけが残り、ただひたすら地道に敵の体力を削り続けた。
仲間達が目を血走らせながら見守る中、何分も何時間もその一戦だけを丁寧に丁寧に。
その戦いはもはやエンドレス……一戦にも拘らず十七時間にも及んだ。
地味だが、凄まじい激戦だった。
そして激戦の末、とうとう【アポカリュスドン】が悲鳴をを上げ……大地へと堕ちたのである。
その瞬間……勇達は揃って両腕を天に突き上げ、雄叫びを上げたのであった。
こうして勇達訓練組のノルマは達成された。
これのお陰か、勇は以前よりもずっと人の意図を読み取る様になり……会話などはともかく、仲間達への配慮が人の望む形で成される様になったのだった。
また、彼はこれを機に苦手なゲームでも努力すればどうにかなるという事を知る。
そういう事もあって、訓練や戦いの合間に暇があったらコミュニケーションも兼ねてモンランのプレイを続けた。
そんなこんなで彼等は再び集まり、『グランディーヴァ モンラン部』が設立される事となったのである。
その席の末端にはしっかりとアルディの名前も刻まれていたのは言うまでもないだろう。
当然彼等は目標を棄てる事無く、きちんと打ち込み続けたのだ。
だが超常種達の猛攻は激しく、彼等を存分に苦しめた。
「やっべ……すまねぇ勇!!」
「勇さんごめんなさいっ!! 私もうダメです!!」
勇は仲間達の意図を読む事が出来る様になったのだが……敵が強すぎてとうとう仲間達自体に余裕が無くなり、指示が出せずに詰むといった事が増えて来た。
ここでまさかの心輝達や茶奈の再起不能が目立つ様になり、指示さえ出せればなんとかなりそうでも一歩届かずといった状況が幾度と無く繰り返された。
「え、ちょ、えええええ!? 待って!! いや、俺一人とか無理!!!!」
これにはさすがに誰も突っ込めない。
勇一人だけが残され、モンスターに追いかけ回され続けるというハプニングに見舞われたのだ。
当然、その後勇も再起不能に。
そこで初めて彼等は敗北を喫し、モンランの真の厳しさを思う存分味わうのだった。
いつも冷静沈着なイシュライトはゲームともなればもはや目を血走らせて奇声を上げる様になっていた。
「うああああああ!!! クソがああああああ!!!!! 死ィねええええええ!!!!!」
とあるゲーム名人すら真っ青になる速度で必要以上にボタンを連打し、画面の中の敵へと殺意をぶつけまくる。
そんな彼の足元にあるゴミ箱には、幾つも壊れたコントローラーが積み重ねられていた。
彼の怒りの残滓は己の命力で強化されたコントローラーすら打ち砕く。
でも残念ながら、命力でゲームは上手くならない。
怒りが極限に達すると力の加減が出来ないという彼の弱点が浮き彫りと成り、彼自身の新しい課題がこうして生まれたのであった。
「無理だ……俺には出来ねぇ……【ベストルドン】ちゃん……!!」
マヴォはあろう事か、ゲーム内のモンスターに好意を抱いてしまっていた。
お相手は嵐美熊獣【ベストルドン】……雌熊型の超巨大モンスターだ。
人間にとって恐ろしい怪物として造られたこのモンスターも、魔者であるマヴォにとっては愛くるしい存在に見えるのだろう。
攻撃を躊躇してしまう程に入れ込んでしまい、溜息が幾度と無く漏れ出る。
ようやく倒しそうになるも、マヴォが躊躇してしまい……全員一斉攻撃がトドメとなるのにそれが出来ない。
「やれ!! やるんだマヴォ!! 相手はデータの塊に過ぎないんだあッ!!」
「うわあああああああああああ!!! ベストルドォーーーーーーン!!!」
事後、悟りを開いた様な安らかな顔で天井を仰ぎながら気を失ったマヴォの姿があったという。
その後、勇達は順調に強敵モンスター達を穿ち続けた。
ようやく残り五種類……最強の四神獣と呼ばれるモンスターと、最終ボスモンスターを残すのみに。
だがそこで勇達に絶望の現実が襲い掛かる。
アバター達にはいわゆる役割があり、プレイヤーはその役割を効率よく果たす事で戦いを有利に進める必要がある。
攻撃の要である特攻型、敵の弱点を浮彫にする偵察型、敵の攻撃を阻止する斥候型、罠を張って隙を作る妨害型。
その中でも最も重要と言われるのが支援型。
……それを操れる者が勇達の中には居なかったのである。
支援型は熟練者が使えばプレイヤー三人分にも匹敵する力が発揮出来る重要な役割だ。
怪我を負った仲間の治療や、全体的な攻撃力や防御力の強化、移動の支援など、役目は多い。
では何故そんな便利な役割のアバターが勇達に居ないのか。
それは簡単だ……ひたすらに地味なのである。
特攻型の様に派手では無く、ただ走り回るだけの様な役目ばかり。
おまけに散り散りになって戦う仲間の所に効率的に向かわねばならず、少しでも遅れればその分だけ仲間の命が危険に晒される責任まで付きまとう。
故に誰もやりたがらず、数ある中から不動の不人気No.1という不名誉な称号すら持つ役割なのである。
しかしこの辺りに来ると支援型が必須となる程に途端と強くなるため……遂に勇達は先に進めず詰んでしまうのだった。
彼等はそれでもどうにかしようと試行錯誤を繰り返した。
武器を変え、役割を試し、立回りを工夫して。
だがどれも無為に消え……全ては絶望に消えゆく。
あまりの凶悪さに……ここまでは諦めずに来た勇達も、攻略法の兆しすら見えぬ現状に困り果てていた。
そんな時、彼等の下に突如として異質が舞い込む。
幾度目かの挑戦で敗北し、アバター達が集まる集会場というエリアへと戻って来た勇達。
すると彼等の目の前に見た事も無いアバターが一人立っていたのだ。
そしてそのアバターを見掛けた途端……勇達は絶句する。
アバターの頭上に浮かぶのは個々の名称。
そこに浮いていたのは……「あるでい」という文字だったのである。
変わりアバターと言えば、アフリカ系を想像させる褐色の肌の女性キャラクター。
「なんで……」「まさか……?」などという声が個室エリアで囁かれる。
目の前に居るキャラクターが何者かなど、その時点でわかる訳も無かったのだから。
そう、何を隠そう……本人の登場である。
例え重犯罪人と言えど、何も無い場所に閉じ込めておくのは人道に反する。
という訳で彼にも最新ゲーム機である【ワンダーアクトZ】とモンランが与えられた。
もちろん、ネットワークは艦内のみの対応で、外部とは連絡が取れない様に細工済み。
そこで彼は自力でプレイ方法を模索し、操作し、今こうして勇達の目の前に現れたのだ。
とはいえ、彼も初心者であり初期アバター。
暇潰しに現れただけだろうと納得し、戯れで一緒にプレイを始めた。
だが……アルディの成長は恐ろしく速かった。
あっという間に心輝達の腕前を見てその技術を会得し、瞬く間に熟練者並の動きを見せつける様になったのだ。
しかも彼の選んだ役割は、痒い所に手が行き届く……支援型。
彼の動きはまさに勇達が欲していた動きそのもの。
あれよあれよという間に彼の腕前や装備は勇達が敗北を繰り返していた相手へ届いたのである。
そして遂に彼等は運命の再戦へと一歩を踏み出した。
敵意も悪意も反意も無い。
ただ神の如き超常モンスターを倒すという目的一つの為に一致団結し、血みどろと成りながら彼等は戦い続けた。
今まで倒せなかった相手が一つ、また一つと地に堕ちていく。
手ごたえを感じながら、勇達はとうとう最後のボス……龍脈超神獣【アポカリュスドン】との最終決戦に挑む。
心輝が、茶奈が、叫びを上げながら蒸発していく。
前田が、渡部が、頭を抱えて己の無力さを嘆き、頭を机に打ち付ける。
ナターシャが、竜星が、力不足故に抱き合い涙を流す。
マヴォが、イシュライトが、発狂する程に打ちのめされて。
画面の向こうで一言も喋らないアルディと、黙々と罠を張る勇。
連戦敗北の末の一戦で二人だけが残り、ただひたすら地道に敵の体力を削り続けた。
仲間達が目を血走らせながら見守る中、何分も何時間もその一戦だけを丁寧に丁寧に。
その戦いはもはやエンドレス……一戦にも拘らず十七時間にも及んだ。
地味だが、凄まじい激戦だった。
そして激戦の末、とうとう【アポカリュスドン】が悲鳴をを上げ……大地へと堕ちたのである。
その瞬間……勇達は揃って両腕を天に突き上げ、雄叫びを上げたのであった。
こうして勇達訓練組のノルマは達成された。
これのお陰か、勇は以前よりもずっと人の意図を読み取る様になり……会話などはともかく、仲間達への配慮が人の望む形で成される様になったのだった。
また、彼はこれを機に苦手なゲームでも努力すればどうにかなるという事を知る。
そういう事もあって、訓練や戦いの合間に暇があったらコミュニケーションも兼ねてモンランのプレイを続けた。
そんなこんなで彼等は再び集まり、『グランディーヴァ モンラン部』が設立される事となったのである。
その席の末端にはしっかりとアルディの名前も刻まれていたのは言うまでもないだろう。
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