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第三十四節「鬼影去りて 空に神の憂鬱 自由の旗の下に」
~空域、轟く~
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マヴォと剣聖が海上艦隊を、ディックと獅堂が潜水艦を次々と沈黙させ。
最前線のアメリカ軍戦力は徐々にその数を減らしつつあった。
しかしそれはあくまでも最前線戦力。
マヴォ達が制したのはまだ前線艦隊の一割にも満たない戦力に過ぎなかったのだ。
後方からはなお後続艦隊がアルクトゥーンを追う様に前進し、包囲しようと速度を上げる。
例え仲間達が犠牲になろうとも、本丸を落とせばその時点でこの戦争が終わるのだから。
時間が過ぎれば過ぎる程、艦隊によるアルクトゥーンの包囲は広がっていくばかりだ。
もし広がりきってしまえば、いくらマヴォと剣聖であろうと全てを処理する事は困難を極めるだろう。
だからこそ、二人は二手に分かれて迫る艦隊を迎え撃つ。
全てはアルクトゥーンを防衛しきるために。
一方その頃、戦域上空。
周囲全域を白と灰の濃い雲が覆い、海を包み隠すかのよう。
そんなアルクトゥーンを取り巻く空域では、海上を超えた激しい戦闘が繰り広げられていた。
「これもう私達の方が肝なんじゃないのッッッ!!!」
瀬玲がそう咆えるのも無理は無い。
既に無数の戦闘機が到来し、アルクトゥーンへと攻撃を開始していたのだ。
だがその攻撃の殆どは対象へ到達する前に撃ち落とされる。
周囲を瀬玲が打ち放ったこれでもかという程の無数の矢弾が、覆い尽くさんとばかりに飛び交っているのだから。
音速で到来する戦闘機も紙一重で躱し、追撃を掛けて撃墜する。
追撃の矢弾も速度こそ全速力の戦闘機には敵わないものの追尾性は非常に高く、旋回が必要なこの戦域では瀬玲側がの方が断然有利だ。
次々と鉄の塊たる戦闘機が無数の破片を撒き散らしながら爆散し、空を煙で黒染め上げていた。
その間も当然、防御の要である瀬玲達への攻撃も行われている。
それをナターシャが高速機動によって回避し、反撃に繋げているのだ。
ミサイルや戦闘機の追跡は音速の領域、並みの人間では何する間も無く対処は出来ない。
しかしナターシャの航空能力もそれらに対して負けるとも劣らない能力を誇っている。
速度こそ戦闘機には敵わないが、小回りは戦闘機の比では無い。
空中急転回や滞空、逆行―――並みの戦闘機では成し得ない行動力を駆使すれば回り込むのは容易なのだ。
そんな攻防が繰り返される最中、瀬玲が気付く。
攻撃が更に激化している事に。
しかし、攻撃そのものが激化しているのではない。
後からやってきた戦闘機や戦闘ヘリ攻撃は彼女達に向けられていて。
そう、航空戦力の標的がアルクトゥーンから彼女達に変わっていたのだ。
そうする様に指令があったのか、それとも別の意図があるのかは知れない。
だが少なくとも瀬玲を倒せばアルクトゥーンの防御は半減し、追撃で堕とす事も可能だろう。
まるでそんな意図が垣間見えるかの様に、航空戦力が突如として瀬玲達へと向けて総攻撃を開始したのである。
アメリカ軍はもはや必死だ。
海上ではマヴォと剣聖が艦隊を沈黙させ続けており、艦隊からのミサイル攻撃には期待出来ない。
だからこそ航空戦力だけで堕とさんと決死の特攻を掛ける。
相手は魔剣使いであろうと人間であり、音速で鉄の塊がぶつかればダメージは免れないだろう。
そう思った戦闘機のパイロットがあろうことか機体をぶつけんばかりの特攻を幾度と無く仕掛け始めたのだ。
それにはナターシャも必死で回避せねばならない。
機銃掃射とミサイルの雨。
戦闘機の特攻。
それがありとあらゆる方向から繰り出され、息つく暇も無い。
それすらも彼女達を疲弊させる為の罠だと思えんばかりに。
それでも二人は諦めない。
迫りくる攻撃を冷静に躱し、反撃し、撃ち落す。
戦いともなればナターシャからは普段の緩さも消え、誰にも負けない集中力を見せつけていて。
瀬玲もまた冷静に徹する事が出来るからこそ、ナターシャの動きに同調させて隙を逃さずにあらゆる姿勢からであろうと反撃を繰り出し続けていた。
そんな中で、とうとうアルクトゥーンが巨大な雲の中へとその姿を埋め始める。
アルクトゥーン自体も巨大であるのにも拘らず、それすらをもちっぽけに見せる程に大きな雲影。
それは勇達が予想にしなかった物でありながらも、絶好の機会とも言える天賜。
そして遂に巨大龍がとうとうその中へと身を隠したのだった。
「アルクトゥーンが行ったッ!!」
「見えてるッ!! こンのォ!!」
その時彼女達は急上昇を掛け、相手の視線を一挙に引き受けて。
一瞬でもいい、アルクトゥーンから視線を外せるならば。
そんな想いのままに瀬玲が魔剣の光を引き絞り、空へと向けて力を解き放つ。
その時、雲の無い青の空に無数の閃光が撃ち上がり。
それが瞬く間に進路を急転させ、海上目掛けて落下していく。
戦闘機も、ミサイルも、砲撃も、雲も、全てを巻き込み、貫いていく。
それを仲間が、アメリカ軍人が、空を仰いで眺め観た。
数えきれないほど無数の虹雨が、雲座る空を貫いて降りしきる瞬間を。
最前線のアメリカ軍戦力は徐々にその数を減らしつつあった。
しかしそれはあくまでも最前線戦力。
マヴォ達が制したのはまだ前線艦隊の一割にも満たない戦力に過ぎなかったのだ。
後方からはなお後続艦隊がアルクトゥーンを追う様に前進し、包囲しようと速度を上げる。
例え仲間達が犠牲になろうとも、本丸を落とせばその時点でこの戦争が終わるのだから。
時間が過ぎれば過ぎる程、艦隊によるアルクトゥーンの包囲は広がっていくばかりだ。
もし広がりきってしまえば、いくらマヴォと剣聖であろうと全てを処理する事は困難を極めるだろう。
だからこそ、二人は二手に分かれて迫る艦隊を迎え撃つ。
全てはアルクトゥーンを防衛しきるために。
一方その頃、戦域上空。
周囲全域を白と灰の濃い雲が覆い、海を包み隠すかのよう。
そんなアルクトゥーンを取り巻く空域では、海上を超えた激しい戦闘が繰り広げられていた。
「これもう私達の方が肝なんじゃないのッッッ!!!」
瀬玲がそう咆えるのも無理は無い。
既に無数の戦闘機が到来し、アルクトゥーンへと攻撃を開始していたのだ。
だがその攻撃の殆どは対象へ到達する前に撃ち落とされる。
周囲を瀬玲が打ち放ったこれでもかという程の無数の矢弾が、覆い尽くさんとばかりに飛び交っているのだから。
音速で到来する戦闘機も紙一重で躱し、追撃を掛けて撃墜する。
追撃の矢弾も速度こそ全速力の戦闘機には敵わないものの追尾性は非常に高く、旋回が必要なこの戦域では瀬玲側がの方が断然有利だ。
次々と鉄の塊たる戦闘機が無数の破片を撒き散らしながら爆散し、空を煙で黒染め上げていた。
その間も当然、防御の要である瀬玲達への攻撃も行われている。
それをナターシャが高速機動によって回避し、反撃に繋げているのだ。
ミサイルや戦闘機の追跡は音速の領域、並みの人間では何する間も無く対処は出来ない。
しかしナターシャの航空能力もそれらに対して負けるとも劣らない能力を誇っている。
速度こそ戦闘機には敵わないが、小回りは戦闘機の比では無い。
空中急転回や滞空、逆行―――並みの戦闘機では成し得ない行動力を駆使すれば回り込むのは容易なのだ。
そんな攻防が繰り返される最中、瀬玲が気付く。
攻撃が更に激化している事に。
しかし、攻撃そのものが激化しているのではない。
後からやってきた戦闘機や戦闘ヘリ攻撃は彼女達に向けられていて。
そう、航空戦力の標的がアルクトゥーンから彼女達に変わっていたのだ。
そうする様に指令があったのか、それとも別の意図があるのかは知れない。
だが少なくとも瀬玲を倒せばアルクトゥーンの防御は半減し、追撃で堕とす事も可能だろう。
まるでそんな意図が垣間見えるかの様に、航空戦力が突如として瀬玲達へと向けて総攻撃を開始したのである。
アメリカ軍はもはや必死だ。
海上ではマヴォと剣聖が艦隊を沈黙させ続けており、艦隊からのミサイル攻撃には期待出来ない。
だからこそ航空戦力だけで堕とさんと決死の特攻を掛ける。
相手は魔剣使いであろうと人間であり、音速で鉄の塊がぶつかればダメージは免れないだろう。
そう思った戦闘機のパイロットがあろうことか機体をぶつけんばかりの特攻を幾度と無く仕掛け始めたのだ。
それにはナターシャも必死で回避せねばならない。
機銃掃射とミサイルの雨。
戦闘機の特攻。
それがありとあらゆる方向から繰り出され、息つく暇も無い。
それすらも彼女達を疲弊させる為の罠だと思えんばかりに。
それでも二人は諦めない。
迫りくる攻撃を冷静に躱し、反撃し、撃ち落す。
戦いともなればナターシャからは普段の緩さも消え、誰にも負けない集中力を見せつけていて。
瀬玲もまた冷静に徹する事が出来るからこそ、ナターシャの動きに同調させて隙を逃さずにあらゆる姿勢からであろうと反撃を繰り出し続けていた。
そんな中で、とうとうアルクトゥーンが巨大な雲の中へとその姿を埋め始める。
アルクトゥーン自体も巨大であるのにも拘らず、それすらをもちっぽけに見せる程に大きな雲影。
それは勇達が予想にしなかった物でありながらも、絶好の機会とも言える天賜。
そして遂に巨大龍がとうとうその中へと身を隠したのだった。
「アルクトゥーンが行ったッ!!」
「見えてるッ!! こンのォ!!」
その時彼女達は急上昇を掛け、相手の視線を一挙に引き受けて。
一瞬でもいい、アルクトゥーンから視線を外せるならば。
そんな想いのままに瀬玲が魔剣の光を引き絞り、空へと向けて力を解き放つ。
その時、雲の無い青の空に無数の閃光が撃ち上がり。
それが瞬く間に進路を急転させ、海上目掛けて落下していく。
戦闘機も、ミサイルも、砲撃も、雲も、全てを巻き込み、貫いていく。
それを仲間が、アメリカ軍人が、空を仰いで眺め観た。
数えきれないほど無数の虹雨が、雲座る空を貫いて降りしきる瞬間を。
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