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第三十九節「神冀詩 命が生を識りて そして至る世界に感謝と祝福を」
~双 界 剣~
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いつか誰かが望んだものだ。
世界が元に戻る日の事を。
魔剣だとか機械だとか、そんな非現実的なモノが消え去る事を願って。
でも気付けば、人はそれさえも受け入れていて。
新たな摂理として認識し、共に歩む事を選んだ。
そうして手を取り、今までに見えもしなかった別の明日を共に描こうとしている。
それが非現実性を帯びて歪でも、今の彼等にとっては何より正しくて。
例えいつか元に戻って泡沫の夢となろうとも、可能性があるから築かずにはいられない。
それは人が欲したのがモノではないから。
モノを創る上で掴めるキッカケを欲したからだ。
閃きと、革新と、発展という次世代への可能性を。
新たなる世界の形と、進むべき未来の形を想像して。
その意味は今だけを生きる者にはわからないかもしれない。
これからを生きる者でも知り得ないかもしれない。
でも、過去に生きた者達には見えていたのかもしれない。
いつかこの様な戦いが訪れる日の事を。
だから可能性へのキッカケを幾つも残し、来たるべき時に備えた。
それは単に願ったからだ。
尾を引く自らの罪がいつか断ち切れる事を。
更にその先の未来にて不幸が続かない事を。
そう、人々はもうその時から未来に目を向けている。
なら今を生きる者も、これからを生きる者も、いつかきっと未来に目を向け始めるだろう。
誰かが示すその時を待ち焦がれて。
いつか、そのキッカケを更なる形へと昇華させる為に。
それを出来るのが人という生き物なのだから。
だからこそここまで来た。
未来を示す為の、絶対に乗り越えるべき戦いへと。
故に今、勇が空を睨み付ける。
顕現した邪神へ叛意を示す為に。
この戦いの勝敗に全宇宙の命運が掛かっている。
【セカイ輪廻】という継承の系譜さえもが。
負けられない。
負ける訳にはいかない。
その想いが光と成って迸る。
右手に輝き伸びる虹光と共に。
『この姿を晒させた今、お前に勝つ道理は存在し得ない。 なればいっそ嘆け。 愛する者ごと貫いてしまえば良かったと。 自らの手でかの首を刎ね、磨り潰した方がずっとマシだったのだと』
「それはどうかな? 貴様の論理はもう破綻している。 俺が今無事に立っていて、貴様自身がこうして出て来た時点でな!!」
その身を包む力が波動さえ打ち放つ。
辺り一帯を浸す海水でさえ大海へと返す程に。
触れた飛沫が弾け、蒸発する程に激しく強く。
一語一句に気迫さえ乗せ、鬼気混じる悪声を押し返しながら。
「つまりそれは、貴様も所詮世界の摂理の一つに過ぎないって事だ! なら俺がその歪んで狂った摂理を今、断ち切ってみせるッ!!」
その一声は邪神の怒りを煽るには十分だった。
これだけの強い希望が当てられたのならば。
『やれるものかあッ!! この屑肉如きがあーーーーーーッッ!!!』
故に焚き付けられた怒りや憎しみはもはやとめどない。
無限の力を際限無く、何一つ躊躇い無く放ててしまう程に。
突如として、四手上に黒光球が形成されていく。
それも、二~三人分は有ろうかという大きさの。
破滅の輝きを轟々と放ち、棘の如き閃光を尖らせ震えながら。
その黒光球が直後にはアルトラン・アネメンシーの手より解き放たれる事に。
しかも瞬時にして勇へと着弾する程に速く。
ドッガァァァーーーッッッ!!!
たちまち着弾地点が黒光の爆発に包まれる。
しかしそれでも攻撃は止まない。
二波・三波と黒光球が放られ続け、なお爆発が激しさを増させていて。
岩礁が砕け、抉られて。
石片が弾かれ、消し飛んでいく。
海水さえも吹き飛び、海さえ押し潰すまでに。
なれば空に暗雲さえ呼び、うねるが如く荒れ狂おう。
圧倒的な破壊力だった。
島そのものが跡形も無くなる程に。
余波だけで地盤そのものが吹き飛んでしまったのだ。
『ハ ハ ハ!! 潰れろ! 消し飛べ! 天力子の欠片一つ残さずにィ!!』
これ全てが【崩力】である。
それも炸裂した途端に周囲を包む程に濃い。
これでは天力転送さえままならないだろう。
つまり、勇は逃げられないという事だ。
この爆発を受けた今となってはもう。
『これが神の慈悲だ!! 苦しみも悲しみも残さず消えよ!! ハ ハ ハ―――ッ!?』
いや、逃げるつもりなど無かった。
例えどれだけの強大な力で撃たれようとも。
己の力が【崩力】の反性質を有している限り。
その力を信じ抜けば、崩力領域と同様に弾く事が出来るのだと。
故にこの時、アルトラン・アネメンシーは目の当たりにする事となる。
黒の粉塵舞う爆発の中にて輝く虹光を。
全てを押し退け掲げ立つ、閃緑光放ちし輝剣の姿を。
その姿は【創世剣】では無い。
だがそれでいて天力を纏う姿は同様に神々しい。
まるでかつての【翠星剣】を模したかの如く、刃は翡翠色に輝き放ち。
リフジェクトライトを彷彿とさせる緑水晶が刀芯を構築しているという。
そんな刀身から流れる様に鍔が象られ、中心には十二の輝石が煌めき魅せよう。
羅針盤、そう彷彿とさせる意匠と共に、まさしく時を刻むかの様に輝きて。
『そ、そんな馬鹿な!? 有り得るはずが無い!? 【創世の鍵】が二つあるなどおッ!?』
アルトラン・アネメンシーにはこの剣がそう見えていたのだろう。
視覚ではなく感覚的に見ているからこそ。
唯一無二のはずだった【創世の鍵】が―――二つ、あるのだと。
これがカプロの託した最後の希望だった。
勇が茶奈を救う手段に迷っていた時に預けられた、信じられもしない可能性。
その名も【双界剣グランディーヴァ】。
気高き魂を犠牲に創り上げた、この世界に産まれし天士の為の一振りである。
いや、犠牲と言うのは少し違うか。
何故なら、カプロは今も生き続けているから。
この剣の中で己の力を吹き出し続けながら。
カプロはその命を【双界剣】へと注いだのだ。
かつてア・リーヴェが世界を分断しようとして、【創世の鍵】と一体化したのと同様に。
それがつまりどういう事かわかるだろうか?
そう、カプロは天士となっていたのである。
しかもア・リーヴェ達さえも想定していない、魔者からの天士に。
魔者は只の礎のはずだった。
人間が天士に成る為の指標で、そのものに天士へ至る可能性は無いのだと。
しかしその可能性さえ千切り、己を信じ抜き、そして進化を果たした。
その上で力を全てこの【双界剣グランディーヴァ】へと注ぎ、託したのだ。
茶奈を救う為に。
世界を救う為に。
そして未来に生きる者達の為に。
自分がここまでに置いて来たキッカケを誰かに継いでもらう為に。
その事を勇も知った。
剣を通して教えて貰った。
だからこそ、悲しくとも辛くは無い。
今、二人は共に居るのだから。
共に戦ってくれているのだから。
故に翳そう。
右手に【双界剣】を。
左手に【創世剣】を。
今こそ刃を重ね、世界の希望とならんと。
かつてより手を取り合って来た親友の心と共に。
ならばもう、恐れる事など何も無い。
今こそ二対の神剣を存分に奮ってみせよう。
世界が元に戻る日の事を。
魔剣だとか機械だとか、そんな非現実的なモノが消え去る事を願って。
でも気付けば、人はそれさえも受け入れていて。
新たな摂理として認識し、共に歩む事を選んだ。
そうして手を取り、今までに見えもしなかった別の明日を共に描こうとしている。
それが非現実性を帯びて歪でも、今の彼等にとっては何より正しくて。
例えいつか元に戻って泡沫の夢となろうとも、可能性があるから築かずにはいられない。
それは人が欲したのがモノではないから。
モノを創る上で掴めるキッカケを欲したからだ。
閃きと、革新と、発展という次世代への可能性を。
新たなる世界の形と、進むべき未来の形を想像して。
その意味は今だけを生きる者にはわからないかもしれない。
これからを生きる者でも知り得ないかもしれない。
でも、過去に生きた者達には見えていたのかもしれない。
いつかこの様な戦いが訪れる日の事を。
だから可能性へのキッカケを幾つも残し、来たるべき時に備えた。
それは単に願ったからだ。
尾を引く自らの罪がいつか断ち切れる事を。
更にその先の未来にて不幸が続かない事を。
そう、人々はもうその時から未来に目を向けている。
なら今を生きる者も、これからを生きる者も、いつかきっと未来に目を向け始めるだろう。
誰かが示すその時を待ち焦がれて。
いつか、そのキッカケを更なる形へと昇華させる為に。
それを出来るのが人という生き物なのだから。
だからこそここまで来た。
未来を示す為の、絶対に乗り越えるべき戦いへと。
故に今、勇が空を睨み付ける。
顕現した邪神へ叛意を示す為に。
この戦いの勝敗に全宇宙の命運が掛かっている。
【セカイ輪廻】という継承の系譜さえもが。
負けられない。
負ける訳にはいかない。
その想いが光と成って迸る。
右手に輝き伸びる虹光と共に。
『この姿を晒させた今、お前に勝つ道理は存在し得ない。 なればいっそ嘆け。 愛する者ごと貫いてしまえば良かったと。 自らの手でかの首を刎ね、磨り潰した方がずっとマシだったのだと』
「それはどうかな? 貴様の論理はもう破綻している。 俺が今無事に立っていて、貴様自身がこうして出て来た時点でな!!」
その身を包む力が波動さえ打ち放つ。
辺り一帯を浸す海水でさえ大海へと返す程に。
触れた飛沫が弾け、蒸発する程に激しく強く。
一語一句に気迫さえ乗せ、鬼気混じる悪声を押し返しながら。
「つまりそれは、貴様も所詮世界の摂理の一つに過ぎないって事だ! なら俺がその歪んで狂った摂理を今、断ち切ってみせるッ!!」
その一声は邪神の怒りを煽るには十分だった。
これだけの強い希望が当てられたのならば。
『やれるものかあッ!! この屑肉如きがあーーーーーーッッ!!!』
故に焚き付けられた怒りや憎しみはもはやとめどない。
無限の力を際限無く、何一つ躊躇い無く放ててしまう程に。
突如として、四手上に黒光球が形成されていく。
それも、二~三人分は有ろうかという大きさの。
破滅の輝きを轟々と放ち、棘の如き閃光を尖らせ震えながら。
その黒光球が直後にはアルトラン・アネメンシーの手より解き放たれる事に。
しかも瞬時にして勇へと着弾する程に速く。
ドッガァァァーーーッッッ!!!
たちまち着弾地点が黒光の爆発に包まれる。
しかしそれでも攻撃は止まない。
二波・三波と黒光球が放られ続け、なお爆発が激しさを増させていて。
岩礁が砕け、抉られて。
石片が弾かれ、消し飛んでいく。
海水さえも吹き飛び、海さえ押し潰すまでに。
なれば空に暗雲さえ呼び、うねるが如く荒れ狂おう。
圧倒的な破壊力だった。
島そのものが跡形も無くなる程に。
余波だけで地盤そのものが吹き飛んでしまったのだ。
『ハ ハ ハ!! 潰れろ! 消し飛べ! 天力子の欠片一つ残さずにィ!!』
これ全てが【崩力】である。
それも炸裂した途端に周囲を包む程に濃い。
これでは天力転送さえままならないだろう。
つまり、勇は逃げられないという事だ。
この爆発を受けた今となってはもう。
『これが神の慈悲だ!! 苦しみも悲しみも残さず消えよ!! ハ ハ ハ―――ッ!?』
いや、逃げるつもりなど無かった。
例えどれだけの強大な力で撃たれようとも。
己の力が【崩力】の反性質を有している限り。
その力を信じ抜けば、崩力領域と同様に弾く事が出来るのだと。
故にこの時、アルトラン・アネメンシーは目の当たりにする事となる。
黒の粉塵舞う爆発の中にて輝く虹光を。
全てを押し退け掲げ立つ、閃緑光放ちし輝剣の姿を。
その姿は【創世剣】では無い。
だがそれでいて天力を纏う姿は同様に神々しい。
まるでかつての【翠星剣】を模したかの如く、刃は翡翠色に輝き放ち。
リフジェクトライトを彷彿とさせる緑水晶が刀芯を構築しているという。
そんな刀身から流れる様に鍔が象られ、中心には十二の輝石が煌めき魅せよう。
羅針盤、そう彷彿とさせる意匠と共に、まさしく時を刻むかの様に輝きて。
『そ、そんな馬鹿な!? 有り得るはずが無い!? 【創世の鍵】が二つあるなどおッ!?』
アルトラン・アネメンシーにはこの剣がそう見えていたのだろう。
視覚ではなく感覚的に見ているからこそ。
唯一無二のはずだった【創世の鍵】が―――二つ、あるのだと。
これがカプロの託した最後の希望だった。
勇が茶奈を救う手段に迷っていた時に預けられた、信じられもしない可能性。
その名も【双界剣グランディーヴァ】。
気高き魂を犠牲に創り上げた、この世界に産まれし天士の為の一振りである。
いや、犠牲と言うのは少し違うか。
何故なら、カプロは今も生き続けているから。
この剣の中で己の力を吹き出し続けながら。
カプロはその命を【双界剣】へと注いだのだ。
かつてア・リーヴェが世界を分断しようとして、【創世の鍵】と一体化したのと同様に。
それがつまりどういう事かわかるだろうか?
そう、カプロは天士となっていたのである。
しかもア・リーヴェ達さえも想定していない、魔者からの天士に。
魔者は只の礎のはずだった。
人間が天士に成る為の指標で、そのものに天士へ至る可能性は無いのだと。
しかしその可能性さえ千切り、己を信じ抜き、そして進化を果たした。
その上で力を全てこの【双界剣グランディーヴァ】へと注ぎ、託したのだ。
茶奈を救う為に。
世界を救う為に。
そして未来に生きる者達の為に。
自分がここまでに置いて来たキッカケを誰かに継いでもらう為に。
その事を勇も知った。
剣を通して教えて貰った。
だからこそ、悲しくとも辛くは無い。
今、二人は共に居るのだから。
共に戦ってくれているのだから。
故に翳そう。
右手に【双界剣】を。
左手に【創世剣】を。
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