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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~へっ、なら俺も行くぜ~
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巨岩型魔者【グリュダン】。
その巨大かつ無慈悲な特性を前に、勇達はただただ慄くばかりだった。
もし仮に戦うとしても、勇達の力が通用するとはとても思えない。
囮となって逃げ続けるにしろ、残り八日間もなど到底無理だろう。
なら、どうにかして倒すしかない。
ではどうやって?
勇とちゃなに焦りが募る。
これだけの相手を倒すビジョンが一切浮かばないからこそ。
「ま、今のお前らじゃあ到底勝てねぇ様な相手だぁよ。何人の魔剣使いが奴にやられたかもわかんねぇくらいだしなぁ。なにせ倒したって噂を一切聞いた事がねぇ」
おまけに剣聖もこう宣う始末だ。
だとすれば勇達が向かっても、何の役にも立たないかもしれない。
ならもう諦めるしかないのではないか。
そう判断せざるを得ない――と思った時だった。
この時、剣聖の顔に笑窪が浮かぶ。
黄ばんだ歯をニタリと見せつけながら。
「へっ、なら俺も行くぜ」
「け、剣聖さんが!?」
「お、おお!?」
そう、剣聖が途端にやる気を見せたのだ。
これには勇達も驚きを隠せない。
今の今まで何も手伝おうとしなかったあの大男が自ら立ったのだから。
そうして欲しくて呼んだのも確かだろう。
けれど実際に協力して貰えるとは思っていなかった様で。
だからか、あの福留でさえ驚愕しているという。
開かれた口に期待の笑みを忍ばせて。
「まぁグリュダンとは一度やり合ってみてぇと思ってたんだぁよ。ずっと昔、奴を五年くらい追ってた時期があってなぁ」
「ご、五年も……!?」
「なんせ噂を聞いても、辿り着いた時にゃ大抵消えちまった後だったりするんだよなぁ。だから運悪く、今まで会った事すら無かったぜ」
けれど、こればかりは見逃せなかったらしい。
噂を聞いても会う事が出来なかった、そんな相手にやっと出会えるとなれば。
だからか、ニヤリとした笑みが堪らず現れる。
【大地の楔】を得た勇に対峙した時と同様の。
心躍る戦いを前にした時にだけ出る、高揚収まらぬ嬉々とした表情が。
どうやら剣聖にとっては【グリュダン】との戦いでさえ楽しみとなるらしい。
強者ゆえの本能がそう仕向けたのだろう。
「久々に面白くなってきたぜぇ……! ここの所退屈してたんだ、楽しませてくれよぉ【グリュダン】……!!」
そうともあってもう既にやる気満々だ。
両拳を打ち当て、戦意を露わにしていて。
命力のもやさえ沸き上がり、部屋に輝きさえもたらす事に。
これには勇達でさえ圧倒されてならない。
それ程までに高揚しているのだ。
久しい激戦が余りにも楽しみでならなくて。
だからだ。
だからこそ、勇も微かに期待してならない。
剣聖の真の実力がこの眼で見られるかもしれない、と。
「それではそろそろ移動しましょう。医療棟屋上からヘリで米軍基地へ向かいます。その後はすぐ専用機でアメリカに発つ事となるでしょう」
アメリカへ行く為のスケジュールは既に組み立ててある。
その中に出来た猶予での状況説明だったらしい。
しかしその猶予はもう終わり。
後は実際にアメリカへ発ち、問題の相手と対峙するだけだ。
剣聖が負けるとは思えない。
けど、まだ不安は拭えない。
なら、自分達で出来る事も考えておこう。
そう考えながら、勇は本部を駆け抜けていた。
それから勇達はヘリコプターでの窮屈な移動を経て米軍基地へと辿り着く。
どうやら渡米の準備は既に整っている様で、降りれば早速案内を受ける事に。
すると、勇達の視界にあの機体がまたしても登場だ。
いつだか勇達を四国や北海道に送り届けた小型ジェット機である。
にしても今回は米軍基地からの離着陸。
そうなると若干違和感を感じずにはいられない。
「福留さん、あの飛行機よく使いますよね。もう三度目でしたっけ」
なにせ個人用の民間機だと思っていたから。
なのに米軍に出入り出来るのは普通では無いなと。
そんな疑問が、走ってる最中であろうと構わず飛び出して。
福留も応える事は吝かでは無かった様で、ニッコリとした顔で頷いて見せる。
「えぇ、おかげ様で大活躍でしたね。その報告も兼ねて、今回ついでにお返ししようと思いまして」
というのも、どうやらこの機は借り物だったらしい。
勇としては福留の個人所有機かと思っていたのだが。
となるとさしずめ、貸出元は米軍か、あるいはその関係者か。
にしては子供の落書きだとかがあったので、それはそれで不自然だけれど。
「こんな飛行機借りれるなんて、福留さんどれだけ繋がり広いんですか……」
「はは。この世界に長く身を置くと色んな人との関係が出来る物なのですよ。 学校と同じです」
おまけにこう返されれば疑問も深まるばかりで。
いざ学校と同じだと言われてもいまいちパッと来ない。
〝政治家になると総理大臣が教室へ遊びに来るようになるのか〟と。
以前いきなり鷹峰総理が目前に現れた時は本当にびっくりしたから。
故に〝それはそれで面倒だなぁ〟とさえ思ってならない。
なんだか常々気を張らないといけなさそうで。
「それで、この飛行機って誰から借りたんですか?」
そしてそれはちゃなも同じ考えだったらしい。
それで気になって、こう質問してみたのだけれども。
その質問に対する答えは、二人の想像を遥かに超えたものだった。
「あぁ、それは現アメリカ大統領からです」
「「え……?」」
どうやら福留の教室には日本の総理のみならず、アメリカの大統領も在籍らしい。
なんてグローバルでハイエンドな学校なのだろうか。
そんな想像のお陰で勇とちゃなの苦笑いが止まらない。
だとすれば自然と、今回呼ばれた理由もなんとなく察しが付く。
勇達にはもう多大な借りがある様なものなのだから。
「なら、良い結果出さないとですね」
「えぇ。じゃないと個人機を貸してくれた彼に申し訳が立ちませんから」
そうも思えばやる気も上がる。
会った事が無いとはいえ、相手は勇達を知っていて協力してくれたのだから。
例え微々たる力しか出せなくとも、何とかしたいのだと。
こうして勇達はジェット機に乗り込み、アメリカへと発った。
荷物の大半を置き去りにされた事で不満げな剣聖と共に。
初の海外渡航はまさかの戦いから。
目指すはアメリカ中腹部、赤の大地グランドキャニオンへ。
果たして、その先で待つ暴君巨人に討ち勝つ事は出来るのだろうか……。
その巨大かつ無慈悲な特性を前に、勇達はただただ慄くばかりだった。
もし仮に戦うとしても、勇達の力が通用するとはとても思えない。
囮となって逃げ続けるにしろ、残り八日間もなど到底無理だろう。
なら、どうにかして倒すしかない。
ではどうやって?
勇とちゃなに焦りが募る。
これだけの相手を倒すビジョンが一切浮かばないからこそ。
「ま、今のお前らじゃあ到底勝てねぇ様な相手だぁよ。何人の魔剣使いが奴にやられたかもわかんねぇくらいだしなぁ。なにせ倒したって噂を一切聞いた事がねぇ」
おまけに剣聖もこう宣う始末だ。
だとすれば勇達が向かっても、何の役にも立たないかもしれない。
ならもう諦めるしかないのではないか。
そう判断せざるを得ない――と思った時だった。
この時、剣聖の顔に笑窪が浮かぶ。
黄ばんだ歯をニタリと見せつけながら。
「へっ、なら俺も行くぜ」
「け、剣聖さんが!?」
「お、おお!?」
そう、剣聖が途端にやる気を見せたのだ。
これには勇達も驚きを隠せない。
今の今まで何も手伝おうとしなかったあの大男が自ら立ったのだから。
そうして欲しくて呼んだのも確かだろう。
けれど実際に協力して貰えるとは思っていなかった様で。
だからか、あの福留でさえ驚愕しているという。
開かれた口に期待の笑みを忍ばせて。
「まぁグリュダンとは一度やり合ってみてぇと思ってたんだぁよ。ずっと昔、奴を五年くらい追ってた時期があってなぁ」
「ご、五年も……!?」
「なんせ噂を聞いても、辿り着いた時にゃ大抵消えちまった後だったりするんだよなぁ。だから運悪く、今まで会った事すら無かったぜ」
けれど、こればかりは見逃せなかったらしい。
噂を聞いても会う事が出来なかった、そんな相手にやっと出会えるとなれば。
だからか、ニヤリとした笑みが堪らず現れる。
【大地の楔】を得た勇に対峙した時と同様の。
心躍る戦いを前にした時にだけ出る、高揚収まらぬ嬉々とした表情が。
どうやら剣聖にとっては【グリュダン】との戦いでさえ楽しみとなるらしい。
強者ゆえの本能がそう仕向けたのだろう。
「久々に面白くなってきたぜぇ……! ここの所退屈してたんだ、楽しませてくれよぉ【グリュダン】……!!」
そうともあってもう既にやる気満々だ。
両拳を打ち当て、戦意を露わにしていて。
命力のもやさえ沸き上がり、部屋に輝きさえもたらす事に。
これには勇達でさえ圧倒されてならない。
それ程までに高揚しているのだ。
久しい激戦が余りにも楽しみでならなくて。
だからだ。
だからこそ、勇も微かに期待してならない。
剣聖の真の実力がこの眼で見られるかもしれない、と。
「それではそろそろ移動しましょう。医療棟屋上からヘリで米軍基地へ向かいます。その後はすぐ専用機でアメリカに発つ事となるでしょう」
アメリカへ行く為のスケジュールは既に組み立ててある。
その中に出来た猶予での状況説明だったらしい。
しかしその猶予はもう終わり。
後は実際にアメリカへ発ち、問題の相手と対峙するだけだ。
剣聖が負けるとは思えない。
けど、まだ不安は拭えない。
なら、自分達で出来る事も考えておこう。
そう考えながら、勇は本部を駆け抜けていた。
それから勇達はヘリコプターでの窮屈な移動を経て米軍基地へと辿り着く。
どうやら渡米の準備は既に整っている様で、降りれば早速案内を受ける事に。
すると、勇達の視界にあの機体がまたしても登場だ。
いつだか勇達を四国や北海道に送り届けた小型ジェット機である。
にしても今回は米軍基地からの離着陸。
そうなると若干違和感を感じずにはいられない。
「福留さん、あの飛行機よく使いますよね。もう三度目でしたっけ」
なにせ個人用の民間機だと思っていたから。
なのに米軍に出入り出来るのは普通では無いなと。
そんな疑問が、走ってる最中であろうと構わず飛び出して。
福留も応える事は吝かでは無かった様で、ニッコリとした顔で頷いて見せる。
「えぇ、おかげ様で大活躍でしたね。その報告も兼ねて、今回ついでにお返ししようと思いまして」
というのも、どうやらこの機は借り物だったらしい。
勇としては福留の個人所有機かと思っていたのだが。
となるとさしずめ、貸出元は米軍か、あるいはその関係者か。
にしては子供の落書きだとかがあったので、それはそれで不自然だけれど。
「こんな飛行機借りれるなんて、福留さんどれだけ繋がり広いんですか……」
「はは。この世界に長く身を置くと色んな人との関係が出来る物なのですよ。 学校と同じです」
おまけにこう返されれば疑問も深まるばかりで。
いざ学校と同じだと言われてもいまいちパッと来ない。
〝政治家になると総理大臣が教室へ遊びに来るようになるのか〟と。
以前いきなり鷹峰総理が目前に現れた時は本当にびっくりしたから。
故に〝それはそれで面倒だなぁ〟とさえ思ってならない。
なんだか常々気を張らないといけなさそうで。
「それで、この飛行機って誰から借りたんですか?」
そしてそれはちゃなも同じ考えだったらしい。
それで気になって、こう質問してみたのだけれども。
その質問に対する答えは、二人の想像を遥かに超えたものだった。
「あぁ、それは現アメリカ大統領からです」
「「え……?」」
どうやら福留の教室には日本の総理のみならず、アメリカの大統領も在籍らしい。
なんてグローバルでハイエンドな学校なのだろうか。
そんな想像のお陰で勇とちゃなの苦笑いが止まらない。
だとすれば自然と、今回呼ばれた理由もなんとなく察しが付く。
勇達にはもう多大な借りがある様なものなのだから。
「なら、良い結果出さないとですね」
「えぇ。じゃないと個人機を貸してくれた彼に申し訳が立ちませんから」
そうも思えばやる気も上がる。
会った事が無いとはいえ、相手は勇達を知っていて協力してくれたのだから。
例え微々たる力しか出せなくとも、何とかしたいのだと。
こうして勇達はジェット機に乗り込み、アメリカへと発った。
荷物の大半を置き去りにされた事で不満げな剣聖と共に。
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目指すはアメリカ中腹部、赤の大地グランドキャニオンへ。
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