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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」
~まさかそんな……!?~
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「な、な、なぁぁぁ!?!? 一体、何が起こって……!?」
「どうやらあれが剣聖さんの実力な様ですね。さすが、自分だけでやると宣言しただけの事はあります」
遥か彼方であの超重量の岩巨人が跳ね飛ばされている。
そんな常軌の逸した光景を前に、米軍兵はただただ驚愕するばかりだ。
それも当然か。
今の攻防はまるで夢の様な出来事で。
そんな物理法則さえ疑わせる現象を実際に目の当たりとしたのだから。
実際、遠くで観ていてもかなりの迫力だ。
殴り付けの激音や巨体の落ちる振動、更には突風にも晒されていて。
車両に掴まっていないと立ち続けるのも辛い。
ただ、それでも福留は撤収する気など無かった。
例え風雨に晒されようとも。
例え凄惨な戦いだろうとも。
安全圏に居るならば何があろうと最後まで見届けなければならない。
そんな義務にも足る使命感を抱いていたから。
これが戦士達を送り出した者の覚悟の形であるが故に。
しかしそんな覚悟を抱いた福留でも不安は拭えない。
何が起こるかもわからない戦場だからこそ。
常識を超えた何かがまだ控えているのではないか、とさえ思えてならなくて。
「うぅッ!?」
そんな不安を体現するかの様に、米軍兵が唸りを上げる。
遥か彼方の景色で起きた非常識をまた目の当たりとした事によって。
「まさかそんな……!?」
これには福留さえ唸らざるを得なかった。
なまじ遠くだからこそ見えてしまって。
その所為で、不安が一層強まっていく。
そう恐れずにはいられなかったのだ。
立とうとしている巨人を、その目で見てしまったのだから。
それも天を覆う程の土煙の下で、何も無かったかの様にゆっくりと。
巨人の立ち上がる様子は勇達にも辛うじて見えていた。
なら当然、剣聖にも。
それは土煙の先で黒い影が蠢いていたから。
あまりの巨大さ故に、太陽光を広く遮っているからだろう。
しかしそれが逆に恐ろしい。
その様子がまるで謎たる存在感を示しているかの様で。
何を考えているかわからない、先が読めない相手であると。
しかもその闘争本能は言葉が必要ないくらいに――執拗だった。
巨体は立ち上がるや否や、一歩を踏み出していて。
遂には土煙の中からその全容を再び曝け出す。
その歩みに一切の不調も見せないままに。
効いていない。
今の一撃が、全く。
実際はそうでもないかもしれない。
けれど、そう思わざるを得なかった。
それだけ余裕で歩いていたのだから。
それも、徐々にその速度を上げながら。
地響きの間隔が狭まっていく。
突風さえも撒き散らして。
遂には砂塵を打ち上げ、蹴り飛ばしていて。
遂には駆けて来る。
なんとあの巨体が今、走っていたのである。
こうなれば大気の層さえ激震を免れない。
巨体に押し出された空気が激しく歪み、それだけで衝撃波となる。
その巨体、その脚力によってもたらされた速度はもはや音速さえ突破しよう。
それ程までの圧力だったのだ。
あろう事か、あの剣聖から笑みが消える程の。
そして遂に、迫る巨体が左拳を――振り上げた。
剣聖の強さがわかったからだろう。
生半可な攻撃では返されるだけなのだと。
ならば次に繰り出す攻撃はもはや先までの物とは格が違う。
全身運動。
膝、腰、肘、更には手首まで。
あらゆる関節を捻り、最高最大の速度を体現する。
そうして生まれた速度は音速を遥かに超えていた。
しかもその超音速巨拳の威力ならば全てを粉砕するだろう。
それは例え剣聖だろうと例外ではないかもしれない。
たちまち巨拳が空を裂き、大地をも抉って吹き飛ばす。
低空拳を剣聖へと目掛けて振り抜いたのだ。
だが、剣聖はそれでさえも躱していた。
なんと拳に合わせてふわりと飛び退き、全ての威力を相殺して。
それだけには留まらない。
更には振り抜かれた腕上を駆け抜けていて。
瞬時にして肩をも蹴り上げ、空高く跳ね飛んでいたのである。
その軌跡に二線の傷跡をも刻み込みながら。
「うゥおおおーーーーーーッッッ!!!!」
その最中に巨人の眼が追い動く。
己を狙って迫り来る者を。
雄叫び散らして猛る戦士を。
その者の拳が、己の頭部へ打ち抜かれる時まで。
ドッガオォォォーーーーーーンッッッ!!!!
その威力、もはや語るに及ばない。
たちまち、巨大な頭部が跳ね仰け反っていく。
強烈な一撃を貰ったボクサーの如く、首までも捻り伸びて軋ませて。
拍子に無数の破片までもが弾け飛び、ただそれだけで砂塵となろう。
まるで首がもげ折れんばかりだった。
それ程までに強烈だったから。
殴打部から頭部半身へ亀裂が走る程に。
もし【グリュダン】が生物なら、この時点でもう終わりだ。
こうして制御中枢たる頭部が破砕されようものなら。
如何に巨体と言えど、この事実は揺るがないだろう。
きっと誰しもがそう期待していたに違いない。
だが、現実はなお非常識を貫き続けていた。
この時、剣聖はその目を疑う事となる。
【グリュダン】に〝その次〟があった事を。
しかもその驚異的な闘争本能を目の当たりにする事によって。
なんと右肩を強引に跳ね上げ、捻られた頭部を打ち返していたのだ。
そう、【グリュダン】はまだ生きていたのである。
それどころか破砕された頭部をも利用し、攻撃に転じる。
その徹底した抗戦スタンスはもはや剣聖さえ驚愕させる事に。
「なん、だとおッ!?――」
その反転速度、まるでピンボール球の如し。
更には振り子の原理をも利用し、威力も計り知れないという。
そんな余りの即座な返しに、あの剣聖でさえ反応が叶わない。
ガッゴォォォ!!!
それを剣聖は魔剣で防ぎ、叩き出されるだけに留める。
ただその顔は苦悶に歪み、先の余裕はもう残されていない。
それ程の威力が今の反撃にあったからこそ。
しかし、今はその姿勢さえ制御する事叶わない。
となればもう、攻防は一方的となるだろう。
巨人の攻撃は全て繋がっていた。
一挙一動、歯車の如く。
なればその次にさえ挙動を力と換えよう。
故に今この時、剣聖が堪らず唸りを上げる。
迫る脅威を目の当たりにして。
「う、おおッ――!!?」
左肘が、目下より迫り上がって来ていたのだ。
頭を叩いた右肩の反発力。
その力を利用し、振り子の如く体を捻らせて。
ゴギャンッッッ!!!!
その間も無く、鈍い音と共に剣聖が空へと打ち上がる。
それも一瞬にして雲へと届かんばかりに高々と。
しかもその身体にはもはや自由が利かない。
空圧が、衝撃が、身体を動かせない程に縛ったのだ。
それ程までに速く打ち上げられたが故に。
そうきりもみする中で、剣聖は垣間見る事となる。
岩の巨人【グリュダン】、その伝説に足る力の本領を。
巨体が、天衝くばかりに跳んでいたのである。
まるでバレー選手の如く、その身体をしならせながら。
この瞬間を誰が予想しただろうか。
誰がこう出来るなどと思っていただろうか。
誰も居はしない。
丘も、山も、雲さえ越えて飛び上がれるなどとは。
そんな事があっていいなど、思う訳が無い。
それは剣聖さえ同じだろう。
まさかここまでの強さだったなどとは。
そんな空中で、巨人の眼が剣聖を捉える。
何一つ迷い無く、その右拳を振り上げる中で。
その体全てを捻り、跳躍の勢いさえ込めて。
そしてその拳は遂に解き放たれた。
剣聖という小さな存在を真芯で捉え、打ち抜きながら。
余りにも、余りにもとてつもない威力だった。
たちまち大気の層に大穴が開くほど。
それ故、幾つもの衝撃波が大気を濁して円環を生む事に。
当然、その層を貫き飛んでいたのは――剣聖。
なればその身はもはや弾丸と化そう。
直後には遥か彼方で赤山が一つ弾け飛ぶ。
するとたちまち崩落、景色から消えていくという。
しかし現場の音はもはや聴こえてこない。
それだけ遠くの話だったからこそ。
一方【グリュダン】はと言えば、しっかりと受け身を取って着地していて。
その姿は勝ち誇っているかの様だった。
それだけ堂々と立ち直っていたのだから。
まるで今まで何も無かったと言わんばかりに。
そう、剣聖は負けてしまったのだ。
伝説の存在はそれ程までに強力無比だったのである。
「どうやらあれが剣聖さんの実力な様ですね。さすが、自分だけでやると宣言しただけの事はあります」
遥か彼方であの超重量の岩巨人が跳ね飛ばされている。
そんな常軌の逸した光景を前に、米軍兵はただただ驚愕するばかりだ。
それも当然か。
今の攻防はまるで夢の様な出来事で。
そんな物理法則さえ疑わせる現象を実際に目の当たりとしたのだから。
実際、遠くで観ていてもかなりの迫力だ。
殴り付けの激音や巨体の落ちる振動、更には突風にも晒されていて。
車両に掴まっていないと立ち続けるのも辛い。
ただ、それでも福留は撤収する気など無かった。
例え風雨に晒されようとも。
例え凄惨な戦いだろうとも。
安全圏に居るならば何があろうと最後まで見届けなければならない。
そんな義務にも足る使命感を抱いていたから。
これが戦士達を送り出した者の覚悟の形であるが故に。
しかしそんな覚悟を抱いた福留でも不安は拭えない。
何が起こるかもわからない戦場だからこそ。
常識を超えた何かがまだ控えているのではないか、とさえ思えてならなくて。
「うぅッ!?」
そんな不安を体現するかの様に、米軍兵が唸りを上げる。
遥か彼方の景色で起きた非常識をまた目の当たりとした事によって。
「まさかそんな……!?」
これには福留さえ唸らざるを得なかった。
なまじ遠くだからこそ見えてしまって。
その所為で、不安が一層強まっていく。
そう恐れずにはいられなかったのだ。
立とうとしている巨人を、その目で見てしまったのだから。
それも天を覆う程の土煙の下で、何も無かったかの様にゆっくりと。
巨人の立ち上がる様子は勇達にも辛うじて見えていた。
なら当然、剣聖にも。
それは土煙の先で黒い影が蠢いていたから。
あまりの巨大さ故に、太陽光を広く遮っているからだろう。
しかしそれが逆に恐ろしい。
その様子がまるで謎たる存在感を示しているかの様で。
何を考えているかわからない、先が読めない相手であると。
しかもその闘争本能は言葉が必要ないくらいに――執拗だった。
巨体は立ち上がるや否や、一歩を踏み出していて。
遂には土煙の中からその全容を再び曝け出す。
その歩みに一切の不調も見せないままに。
効いていない。
今の一撃が、全く。
実際はそうでもないかもしれない。
けれど、そう思わざるを得なかった。
それだけ余裕で歩いていたのだから。
それも、徐々にその速度を上げながら。
地響きの間隔が狭まっていく。
突風さえも撒き散らして。
遂には砂塵を打ち上げ、蹴り飛ばしていて。
遂には駆けて来る。
なんとあの巨体が今、走っていたのである。
こうなれば大気の層さえ激震を免れない。
巨体に押し出された空気が激しく歪み、それだけで衝撃波となる。
その巨体、その脚力によってもたらされた速度はもはや音速さえ突破しよう。
それ程までの圧力だったのだ。
あろう事か、あの剣聖から笑みが消える程の。
そして遂に、迫る巨体が左拳を――振り上げた。
剣聖の強さがわかったからだろう。
生半可な攻撃では返されるだけなのだと。
ならば次に繰り出す攻撃はもはや先までの物とは格が違う。
全身運動。
膝、腰、肘、更には手首まで。
あらゆる関節を捻り、最高最大の速度を体現する。
そうして生まれた速度は音速を遥かに超えていた。
しかもその超音速巨拳の威力ならば全てを粉砕するだろう。
それは例え剣聖だろうと例外ではないかもしれない。
たちまち巨拳が空を裂き、大地をも抉って吹き飛ばす。
低空拳を剣聖へと目掛けて振り抜いたのだ。
だが、剣聖はそれでさえも躱していた。
なんと拳に合わせてふわりと飛び退き、全ての威力を相殺して。
それだけには留まらない。
更には振り抜かれた腕上を駆け抜けていて。
瞬時にして肩をも蹴り上げ、空高く跳ね飛んでいたのである。
その軌跡に二線の傷跡をも刻み込みながら。
「うゥおおおーーーーーーッッッ!!!!」
その最中に巨人の眼が追い動く。
己を狙って迫り来る者を。
雄叫び散らして猛る戦士を。
その者の拳が、己の頭部へ打ち抜かれる時まで。
ドッガオォォォーーーーーーンッッッ!!!!
その威力、もはや語るに及ばない。
たちまち、巨大な頭部が跳ね仰け反っていく。
強烈な一撃を貰ったボクサーの如く、首までも捻り伸びて軋ませて。
拍子に無数の破片までもが弾け飛び、ただそれだけで砂塵となろう。
まるで首がもげ折れんばかりだった。
それ程までに強烈だったから。
殴打部から頭部半身へ亀裂が走る程に。
もし【グリュダン】が生物なら、この時点でもう終わりだ。
こうして制御中枢たる頭部が破砕されようものなら。
如何に巨体と言えど、この事実は揺るがないだろう。
きっと誰しもがそう期待していたに違いない。
だが、現実はなお非常識を貫き続けていた。
この時、剣聖はその目を疑う事となる。
【グリュダン】に〝その次〟があった事を。
しかもその驚異的な闘争本能を目の当たりにする事によって。
なんと右肩を強引に跳ね上げ、捻られた頭部を打ち返していたのだ。
そう、【グリュダン】はまだ生きていたのである。
それどころか破砕された頭部をも利用し、攻撃に転じる。
その徹底した抗戦スタンスはもはや剣聖さえ驚愕させる事に。
「なん、だとおッ!?――」
その反転速度、まるでピンボール球の如し。
更には振り子の原理をも利用し、威力も計り知れないという。
そんな余りの即座な返しに、あの剣聖でさえ反応が叶わない。
ガッゴォォォ!!!
それを剣聖は魔剣で防ぎ、叩き出されるだけに留める。
ただその顔は苦悶に歪み、先の余裕はもう残されていない。
それ程の威力が今の反撃にあったからこそ。
しかし、今はその姿勢さえ制御する事叶わない。
となればもう、攻防は一方的となるだろう。
巨人の攻撃は全て繋がっていた。
一挙一動、歯車の如く。
なればその次にさえ挙動を力と換えよう。
故に今この時、剣聖が堪らず唸りを上げる。
迫る脅威を目の当たりにして。
「う、おおッ――!!?」
左肘が、目下より迫り上がって来ていたのだ。
頭を叩いた右肩の反発力。
その力を利用し、振り子の如く体を捻らせて。
ゴギャンッッッ!!!!
その間も無く、鈍い音と共に剣聖が空へと打ち上がる。
それも一瞬にして雲へと届かんばかりに高々と。
しかもその身体にはもはや自由が利かない。
空圧が、衝撃が、身体を動かせない程に縛ったのだ。
それ程までに速く打ち上げられたが故に。
そうきりもみする中で、剣聖は垣間見る事となる。
岩の巨人【グリュダン】、その伝説に足る力の本領を。
巨体が、天衝くばかりに跳んでいたのである。
まるでバレー選手の如く、その身体をしならせながら。
この瞬間を誰が予想しただろうか。
誰がこう出来るなどと思っていただろうか。
誰も居はしない。
丘も、山も、雲さえ越えて飛び上がれるなどとは。
そんな事があっていいなど、思う訳が無い。
それは剣聖さえ同じだろう。
まさかここまでの強さだったなどとは。
そんな空中で、巨人の眼が剣聖を捉える。
何一つ迷い無く、その右拳を振り上げる中で。
その体全てを捻り、跳躍の勢いさえ込めて。
そしてその拳は遂に解き放たれた。
剣聖という小さな存在を真芯で捉え、打ち抜きながら。
余りにも、余りにもとてつもない威力だった。
たちまち大気の層に大穴が開くほど。
それ故、幾つもの衝撃波が大気を濁して円環を生む事に。
当然、その層を貫き飛んでいたのは――剣聖。
なればその身はもはや弾丸と化そう。
直後には遥か彼方で赤山が一つ弾け飛ぶ。
するとたちまち崩落、景色から消えていくという。
しかし現場の音はもはや聴こえてこない。
それだけ遠くの話だったからこそ。
一方【グリュダン】はと言えば、しっかりと受け身を取って着地していて。
その姿は勝ち誇っているかの様だった。
それだけ堂々と立ち直っていたのだから。
まるで今まで何も無かったと言わんばかりに。
そう、剣聖は負けてしまったのだ。
伝説の存在はそれ程までに強力無比だったのである。
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