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第二話
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しおりを挟む皆さまこんにちは、司会天使のパプリエルです。
本日も異世界転行で起きた失敗談を取り上げ、皆様にお伝えしようと思います。
と、その前に。
ワタクシについて知りたいというご要望がありましたので、簡単に説明したいと思います。
ワタクシ、パプリエル=アレ=プラエッチャは創世界行政府、興行促進委員会広報課に務める一般事務天使です。
それがこのたび元締めである総理大神より勅命を頂き、本番組の司会を務めさせて頂く事となりました。
年齢は地球暦で言う所の永遠の一八歳。(真の意味で)
寸借は現在等倍です。(倍率変更可)
二等天使の資格を有し、生後二歳より創世界に奉仕させて頂いております。
子役として人間の子供と犬を天に召す役目を担った事と、とある銀河系で赤と銀の巨人との対戦役を演じた経歴あり。
以上から、いたって普通の天使です。
では紹介が終わった所で早速、次の失敗ケースを紹介したいと思います。
今回の題材は異世界転生。
例を挙げますと「記憶の知識を残した魂が異世界の生命に宿って新たな人生を歩む」といった所でしょうか。
この転行の場合、前世の知識で異世界文化に一石を投じたり。
あるいはそれ故の成長力で無双したり。
中には逆に異世界技術を取り込んでロボットを造るという方もいらっしゃいましたね。
いずれも転生のメリットを生かした成功記として多く語られたものです。
しかし、やはりそれも数ある失敗の中にあった一部に過ぎません。
転移と比べて馴染みやすくはあるのですが、それ故の落とし穴があるのです。
今回はその落とし穴に見事ハマってしまったという方を紹介したいと思います。
現在もその異世界で生活中のファルマさんです。
「やぁどうもどうも、ファルマ=シカルトレッドです。あ、転生前は安居 雄孝って名前でした」
本日はお越し頂き、誠にありがとうございます。
それにしても、何とか間に合いましたね。名前思い出すの。
「そう! そうなんですよ! いやぁもう昔の名前、四〇年以上思考から消してたもんで。ここまで来るとさすがに苦労しますねぇ。お声が掛かった時は自分が転生者だったって事さえ忘れかけてたもんで。創世界でリハビリ受けさせてもらってようやく思い出せました」
新たな人生に入ってからだいぶ経っていますからね、仕方ありません。
ファルマさんは現在、地球暦で言う所の六三歳となかなかのご高齢です。
既に一線を退いて久しく、今は温和な生活を営んでいるそうですよ。
といっても前世の世代は現代の地球ですが。
ちなみに前世では中年のゲームプログラマーだったそうです。
なので人生設計のやり直しもゲームの様に色々と理想を張り巡らせていたのだとか。
「はは、あまりカッコ良さげな説明しないでくださいな。ただのしがないサラリーマンで、一介のデバッカーに過ぎませんよ。それに今の世界では一線を退くも何も、私はその一線に全く参加してないんですから。今も昔も変わらず、慎ましやかに生きているだけですわ」
失礼しました。
ではここからは少し正直に語りたいと思いますね。
実はファルマさん、転生先でも一線――すなわち目立つ成果を上げておりません。
人生全てにおいて平凡以下の生活を強いられる事になったからです。
もちろんスローライフを送っていた訳でもありません。
そうならざるを得ない状況へと陥ってしまったから、仕方なくそんな生活をしているのです。
「いやぁホントあれには参りましたわ。まぁ自分自身のせいでもあるんで諦めちゃいるんですけどね。とはいえ最初は夢が無かった訳じゃないんです。前世では人生やり直したいなぁなんて願う事もあったんで。けどまさかそのやり直しがこんな事になるなんて思わなくて……」
人生のやり直し、異世界転生。
それは今の人生に疲れた者が抱く理想の成就と言えるでしょう。
ですが、新たな世界での生活は皆さまが思う以上に大変なのかもしれません。
それでは語って頂きましょう。
異世界転生、その夢に隠れた恐ろしさの一端を。
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