ピクトグラム君とバーチャルヘルパーちゃん ~異世界転生した底辺絵師ですが自由気ままに世界の常識を描き直そうと思います~

日奈 うさぎ

文字の大きさ
43 / 59
第四章

第42話 ピクト来襲! (バーギュ視点)

しおりを挟む
 まさかあのピクトという流民の男が屋敷に乗り込んでくるとは。
 しかも奴を連れてきたのがあのウィーバー商会の新頭取だとはな……!
 奴め、一体どこでそのようなコネクションを得たというのだ!?

 王都で幅を利かせ、この地の開発計画でも資材提供に一役噛んでいるウィーバー商会。奴らを蔑ろにすれば私の立場も危うい。
 そうでなければ流民を町に入れること自体がおこがましいというのに!

「いやぁ~ドーモドーモお久しぶりですねぇ! 二週間ぶりくらいですかぁ?」

 今、あろうことか奴が堂々と足を組んで椅子に座っておる!
 応接間に迎え入れてやったことに感謝するどころか、図々しい限りだ!

 新頭取のシャナク殿がいなければ今すぐにでも首を刎ねてやったところだぞ!

「おおっと、そんな睨まないでくださいよぉ! 俺はね、別に追放されたことを責めに来た訳じゃないですし、恨んでいる訳でもないんですからぁ」

「フン、どうだかな」

 やはり流民は礼儀もなっておらん。
 まだ先日のプレゼンの時の方がマシであったわ。

 ……まぁいい、処断は奴の目的を把握してからで良いだろう。
 何かがあろうものならば、腰に下げたこの剣で即刻切り裂いてくれる。

「そう警戒ならさず、どうかバーギュ様もお座りになってください」

「わかった、そうさせてもらおう」

 ひとまずは話だけでも聞いてやろうと決め、対面の椅子に腰を掛ける。
 だが途端にあのピクトのニヤついた顔が目に入った。癪に障る顔付きだ。

「そういえば領主様、取り上げた俺たちの土地での商売は如何ですかねぇ?」  

「フン、どうせシャナク殿に聞いているのだろう?」

「あはは、さすが鋭い!」

「なんだ貴様、あの地を有効活用できていない私を馬鹿にしに来たのか?」

「いえいえ、滅相もございません。なにせ失敗することは最初から知っていましたからねぇ~」

「……なにィ?」

 コイツ……ッ!
 やはりあの地に何かしおったか!?

「俺はあの時、確かに言ったはずですよバーギュ様。『彼らは流民と片付けるには惜しい人材です』とね」
 
「ぬ……!」

 コイツ、途端に目つきが変わりおった!?
 な、なんなのだ、この自信に満ち溢れた眼差しは……!?

「思い知ったのではないですか? たかが流民と侮って追放した結果、自分たちでは何もできないと知った。その無力さと愚かさを」

「それは貴様が仕組んだことであろう!?」

「いやいや、そんなことはありませんよ。彼らがあの場に居続けられればこんなことにはならなかった。そう仕向けたあなたに責任があるんですよ」

「何をぉ……!」

 貴様もか! 貴様もあの連絡役と同じことを!
 流民如きが私の非を糾弾するなどとは生意気な!

「彼らは流民制度にも負けずに生きようと必死だった。それを『たかが流民』と一言で否定したのはあなたですよバーギュ・オムレス侯爵様。その事実はあなたが如何に咆えようが決して覆らない」

 怒りで頭の血管が切れてしまいそうだ!
 扉の方を向けば、兵の奴もまるで聞き入るようにピクトに視線を向けておる!
 何もかもが気に入らぬ!

「――ですがさっきも言った通り、俺はあなたを責め立てるつもりで来た訳じゃない。むしろその失敗の尻ぬぐいをして差し上げようと思った次第ですよ」

「な、なにぃ……!?」

 コイツ、何を言っている!? 私の尻ぬぐいだと!? 
 貴様は一体どこまで知っているというのだ!?
 さっきからコイツの意図がまったく読めぬ!

「幸い、あなたは王国に認められてこの領地を治めている領主だ。つまりこの地における最終決定権は全てあなたにあり、その決定には町全体が従わなければならない」

「そ、その通りだ! だから貴様に死刑を言い渡せば――」
「だからこそ!」
「――ッ!?」

「……だからこそあなたには下すことが出来る筈だ。無償で流民を市民にすることも」

「「「なッ!?」」」

 ば、馬鹿な……無償で流民を市民にする、だと!?
 なに世迷い事を言っているのだ!? シャナク殿までが驚いているではないか!
 そのような愚かなことをしては制度を決めた国王陛下に目を付けられかねんぞ!?

「そんなことが出来る訳あるまい! 流民制度は国王陛下がお決めになったこと! その制度にもない采配を下せば王命に逸するも同然であろう!!!」

「本当にそうですか?」

「何ッ!?」

「流民というのはいわば非管理団体だ。つまり誰が流民なのかを一切把握していない」

「ぬう……!?」

「つまり、仮にそんな人物にこの地特有の権利を与えても王国は把握出来ない。そうでしょう?」

「そ、それは……」

「違うと仰るのなら俺の正体を当ててみてください。まぁわかる訳も無いんですがね」

「ぐうっ!」

 そうだ、コイツはそもそもいったい何者なのだ!?
 流民制度を根幹から否定しようとしてくる貴様は、何がしたいというのだ!

 ――そう思い至った時、私の右拳が熱くなったのを感じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

処理中です...