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第四章
第49話 バーギュ君たちにここでネタバレです
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「わたくしは言ったはずです。畏まる必要はないと」
「はっ、大変申し訳ありませぬ!」
先ほど交渉した応接間で女王エーフェニミスさんが座り、彼女の前に関係者一同が立つ。
しかしあいかわらず跪こうとするバーギュにとうとう彼女も痺れを切らしたようだ。
もっとも、そのキッツい視線は俺にまで向けてきた訳だが。
その理由がわからないので今はとぼける他ない。
「わたくしたちエルフが住む聖域ウェヌアレムはピクト様方によって救われ、窮地を脱することが出来ました。おかげで今も我が同胞たちはあの森で平穏に暮らすことが出来ております」
「そ、そのようなことが……」
「ええ。ですのでピクト様方はわたくしたちにとっての盟友。この関係の強さは百年前の盟約にも匹敵すると言えましょう」
彼女が軽く説明を終えると、今度はバーギュの視線もが俺に突き刺さった。
なんだかこっちも怒りを感じてとても目のやり場に困る。
「なぜそのことを先に言わなかった……!? そうすれば私とて容易く受け入れたであろうに!?」
「アンタがそう簡単に信じるタマかよぉ」
「ぐっ……!?」
「エルフなんてこうして実際に本人が来ないと証拠になりゃしないんだから、交渉材料にするにはリスキー過ぎるだろ?」
さすがのバーギュもエルフを前には冷静さを保てなかったようだ。
自分の矛盾に気付かされ、天井を見上げては口を歪めて悶々とさせてしまった。
結果的に騙した形となったのは悪いと思うけども。
「ま、俺としてもエルフの皆を交渉材料にはしたくなかったんだ。俺自身を認めさせないと意味がないと思ってね」
この計画は半分は云わば俺の我儘みたいなもんだ。
この国のことだからと放っておくことも出来たのを、超個人的都合で覆そうとしているのだから。
それに俺自身を売り込めなきゃ結局この後もやっていけるかどうか。
そういう交渉力を鍛えるためにも必要なことだったんだ。
『さすがピクトですねぇ、わかってるぅ~~~!」
『――そうです。この世界においてのあなたは決して特別な存在ではありません。故に時には理不尽にも抗わなければならない。そのために必要な力は、あなた自身が育まなければならないのです』
だろうな。へるぱならそう言うと思っていたよ。
やはり俺の専属バーチャルヘルパーは現実に厳しいらしい。
……とはいえ、力を得るだけでここまで思い切り動けるようになれるとは。
自信を持つことがより効果的だったってのがよーく実感できた気がする。
「はぁ、これだからピクト様はもう」
「えっ?」
――などとヘルパと交信していると、また女王様が俺を睨んできていた。
しかも今度はご立腹だってことがわかるくらいにぷくぅと頬を膨らませて。
「そうやって自分勝手に動かずとも、少しは相談に乗ってくれても良いのですよ!」
「あ、いや、だからこれは俺のためでもあってね――」
「それで皆を心配させてどうするのです!? そんなことではいつか予期せぬ出来事に足元を掬われますよ!? あなたは何でも早急過ぎるのですっ!」
「う……すんません」
彼女がさっきから怒っている理由はさしずめこれかな。
本気で心配してくれてのことだろうし、何も言い返せない。
今回は戦いに勝って勝負に負けた、って感じだ。
どうしてここまで心配してくれているのかはわからないけども。
「さて、それでは本題に戻りましょう」
「今のが本題じゃなかったんだ!?」
「それもありますけどぉ~~~!」
でもそんな健気な女王様、今は慌てるように両手を振り回してとても可愛い。
里では見られなかった意外な一面が見られて、これもちょっとした役得である。
「どうせピクト様のことだからまだ核心まで語っていらっしゃらないのでしょう?」
「はは、正解です」
「な、なんだ核心とは!?」
「あ~本当はエルフとの関係隠すつもりだったから言わないことにしてたんだけどね。パニックにさせちゃうのも悪いし」
「ここまできて古の盟約など気にする必要もないでしょう。なればこのように堂々と姿を現せばいいだけの話です」
「ごもっともで……」
しかし伊達に長い年月を生きている訳ではないか。
もう何でもお見通しって感じだ。
それに彼らがここまで来た以上、もう隠し通す必要もないな。
「核心ってのはさっき言った大義名分って奴だよ。俺たちが国を変えるに足る理由は、もう既に手元にあるんだ」
「なに……っ!?」
「これを聞いたら多分、それこそアンタも無条件で俺たちに協力せざるを得なくなるだろうさ。アンタたちが古の盟約って奴を今でも頑なに守ろうとしてくれているならな」
こう前ぶってしまえばバーギュやゼネリら護衛も、事情だけを知らないシャナクさえも顔を強張らせずにはいられなかったようだ。
いいね、ディスカッションってのはこうでなきゃ。
「先日に聖地ウェヌアレムに火が放たれ、女王様が攫われそうになった。その首謀者は十中八九、この国ガルテニアの国王だ」
きっとこの一言は彼らにとってすぐには受け入れがたい話に違いない。
それだけバーギュたちが狼狽しているのが目に見えて明らかだったのだ。
「はっ、大変申し訳ありませぬ!」
先ほど交渉した応接間で女王エーフェニミスさんが座り、彼女の前に関係者一同が立つ。
しかしあいかわらず跪こうとするバーギュにとうとう彼女も痺れを切らしたようだ。
もっとも、そのキッツい視線は俺にまで向けてきた訳だが。
その理由がわからないので今はとぼける他ない。
「わたくしたちエルフが住む聖域ウェヌアレムはピクト様方によって救われ、窮地を脱することが出来ました。おかげで今も我が同胞たちはあの森で平穏に暮らすことが出来ております」
「そ、そのようなことが……」
「ええ。ですのでピクト様方はわたくしたちにとっての盟友。この関係の強さは百年前の盟約にも匹敵すると言えましょう」
彼女が軽く説明を終えると、今度はバーギュの視線もが俺に突き刺さった。
なんだかこっちも怒りを感じてとても目のやり場に困る。
「なぜそのことを先に言わなかった……!? そうすれば私とて容易く受け入れたであろうに!?」
「アンタがそう簡単に信じるタマかよぉ」
「ぐっ……!?」
「エルフなんてこうして実際に本人が来ないと証拠になりゃしないんだから、交渉材料にするにはリスキー過ぎるだろ?」
さすがのバーギュもエルフを前には冷静さを保てなかったようだ。
自分の矛盾に気付かされ、天井を見上げては口を歪めて悶々とさせてしまった。
結果的に騙した形となったのは悪いと思うけども。
「ま、俺としてもエルフの皆を交渉材料にはしたくなかったんだ。俺自身を認めさせないと意味がないと思ってね」
この計画は半分は云わば俺の我儘みたいなもんだ。
この国のことだからと放っておくことも出来たのを、超個人的都合で覆そうとしているのだから。
それに俺自身を売り込めなきゃ結局この後もやっていけるかどうか。
そういう交渉力を鍛えるためにも必要なことだったんだ。
『さすがピクトですねぇ、わかってるぅ~~~!」
『――そうです。この世界においてのあなたは決して特別な存在ではありません。故に時には理不尽にも抗わなければならない。そのために必要な力は、あなた自身が育まなければならないのです』
だろうな。へるぱならそう言うと思っていたよ。
やはり俺の専属バーチャルヘルパーは現実に厳しいらしい。
……とはいえ、力を得るだけでここまで思い切り動けるようになれるとは。
自信を持つことがより効果的だったってのがよーく実感できた気がする。
「はぁ、これだからピクト様はもう」
「えっ?」
――などとヘルパと交信していると、また女王様が俺を睨んできていた。
しかも今度はご立腹だってことがわかるくらいにぷくぅと頬を膨らませて。
「そうやって自分勝手に動かずとも、少しは相談に乗ってくれても良いのですよ!」
「あ、いや、だからこれは俺のためでもあってね――」
「それで皆を心配させてどうするのです!? そんなことではいつか予期せぬ出来事に足元を掬われますよ!? あなたは何でも早急過ぎるのですっ!」
「う……すんません」
彼女がさっきから怒っている理由はさしずめこれかな。
本気で心配してくれてのことだろうし、何も言い返せない。
今回は戦いに勝って勝負に負けた、って感じだ。
どうしてここまで心配してくれているのかはわからないけども。
「さて、それでは本題に戻りましょう」
「今のが本題じゃなかったんだ!?」
「それもありますけどぉ~~~!」
でもそんな健気な女王様、今は慌てるように両手を振り回してとても可愛い。
里では見られなかった意外な一面が見られて、これもちょっとした役得である。
「どうせピクト様のことだからまだ核心まで語っていらっしゃらないのでしょう?」
「はは、正解です」
「な、なんだ核心とは!?」
「あ~本当はエルフとの関係隠すつもりだったから言わないことにしてたんだけどね。パニックにさせちゃうのも悪いし」
「ここまできて古の盟約など気にする必要もないでしょう。なればこのように堂々と姿を現せばいいだけの話です」
「ごもっともで……」
しかし伊達に長い年月を生きている訳ではないか。
もう何でもお見通しって感じだ。
それに彼らがここまで来た以上、もう隠し通す必要もないな。
「核心ってのはさっき言った大義名分って奴だよ。俺たちが国を変えるに足る理由は、もう既に手元にあるんだ」
「なに……っ!?」
「これを聞いたら多分、それこそアンタも無条件で俺たちに協力せざるを得なくなるだろうさ。アンタたちが古の盟約って奴を今でも頑なに守ろうとしてくれているならな」
こう前ぶってしまえばバーギュやゼネリら護衛も、事情だけを知らないシャナクさえも顔を強張らせずにはいられなかったようだ。
いいね、ディスカッションってのはこうでなきゃ。
「先日に聖地ウェヌアレムに火が放たれ、女王様が攫われそうになった。その首謀者は十中八九、この国ガルテニアの国王だ」
きっとこの一言は彼らにとってすぐには受け入れがたい話に違いない。
それだけバーギュたちが狼狽しているのが目に見えて明らかだったのだ。
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表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
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