ピクトグラム君とバーチャルヘルパーちゃん ~異世界転生した底辺絵師ですが自由気ままに世界の常識を描き直そうと思います~

日奈 うさぎ

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第四章

第50話 伝説とか古とか言われてもわからない

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 まさか国王がエルフに手を出していたなんて、バーギュたちは思いもしなかったのだろう。
 今まさに「とても信じられない」といったような雰囲気を醸し出しているしな。

「ま、まさかそんな……証拠はあるのか!?」

「ある。捕まえた実行犯に吐かせた結果、そいつらが野盗に扮した王国の刺客ってことがわかったんだ。しかも〝中央〟、首都で王国の中枢から来たってこともな」

「ええ。実はわたくしもこっそり遊――確証を得るために記憶透視魔法を使用し、彼らの過去を覗き見ました。あの光景は間違い無く、かつて見た王国城と同じでした。その光景の中にいた人物が被っていた王冠もまた然り」

 え、この人今、遊びとか言った? ねぇ言ったよね?
 待って、女王様ってこんな人だったっけ?
 お淑やかで清楚な人ってイメージだったんだけど???

「なんたることだッ! まさか国王陛下がエルフに手を出すとは……ッ!」
「なぁおい、これってどういうことになっちまうんだ!?」
「俺に聞くな! もう理解が追い付かん!」

 ゼネリさんたちも動揺で落ち着かない。
 中には頭を抱えて蹲ってしまった者まで出てしまった。

 こうなるのも当然だろうな。
 国の規範とも言える国王が古の盟約を破ろうとしてしまったのだから。

 ただ、バーギュだけは既に冷静さを取り戻しつつある。
 深呼吸を一つ、大きく息を吐くとまた俺へと視線を向けてきていて。

「なるほどな、ならば十分過ぎるほどの大義名分だ。そしておかげで合点がいった。国王陛下が妙に自信満々であったのはこういうことだったか」

「なんだ、心当たりがあるのか?」

「うむ」

 どうやらバーギュの方にも少し込み入った話題があるようだ。
 しかも俺たちみたいな存在じゃ知り得ないような裏情報が。

「実はな、近々戦争が始まるかもしれぬのだ」

「「「戦争!?」」」

「その相手は!?」

「人ならざる者、その名を邪王……!」

 おいおい、しかもなんだかとんでもない話になってきたな。
 ファンタジーらしい展開だが、いくらなんでも突拍子過ぎないか!?

「まさか……新時代の邪王が誕生したのですか!?」

「報告によれば、ですが。しかし伝説通りならばもう誕生してもおかしくはありませぬ。そして奴に抗うために異界より遣わされし勇者もまた然り」

「伝説の聖魔大戦が再び始まろうとしているのですか……!」

 ……完ッ全に置いてけぼりだ。
 伝説と言われても、この世界に来て間も無い俺にはさっぱりだとあれほど。

 だが、それにしても異界の勇者か。
 もしかしてそれって俺だったりしたりするのかなぁ~~~?

『それはないっすねー』

 だよねー。
 でもだからって気の抜けた顔で返事返すなよ。傷付くから。

「しかし国王陛下は邪王復活の報に対し、勇者以外の解決策をすでに見つけてあると仰っていた。それが何なのかまではわからなかったが」

「それは恐らくはわたくしを利用し、邪王への対抗手段としようとしたのでしょう。天変地異を操れるエルフの女王ならばそれも叶うと信じて」

「なんと愚かしいことを。百年前の窮地、他国間戦争に巻き込まれたガルテニアを救ったエルフによもや王自身が手を出すなどとは!」

 ようやく事態を飲み込めたバーギュが途端に怒りを露わにし始めた。
 この国に住む人間にとってのエルフはやっぱりそれだけ重要だったようだ。

「許し難し! いくら国王と言えど古の盟約を忘るる者に権威無し! なればこのバーギュ・オムレス、命を賭してエーフェニミス女王陛下のお力となりましょうぞ!」

「よろしい。では我が命に従い、盟友ピクト・グラムの手足となりて真に国のため働きなさい。それこそが救国の礎となりましょう」

「「「仰せのままにゼッサーラッ」」」

 バーギュたちも自分たちの成すべきことがわかったようだ。
 それなら俺もそろそろ最後の仕上げの計画を立てるとするかな。

 戦力的には俺たち側が圧倒的に不利。
 だが俺の能力ならそれを覆せる力はあるはず。

 後はどうやって首都に殴り込みをするかだが――

「ピクト様、ピクト様っ」

「――うん?」

 でもそう思考を重ねていた時、女王様がなんか俺に手招きしてきた。
 しかも頬をぷっくりと赤らめて嬉しそうにしながらに。

 またしても見たことのない、でも如何にも悪だくみをしていそうな怪しい顔だ。
 それに手招きもどこか妙にせわしないようにも見えるし。

 なんだかすご~く嫌な予感がするんだが?
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