断罪された悪役令嬢はそれでも自分勝手に生きていきたい

たかはし はしたか

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ナナーシュの場合6

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夫とわたしの関係が変わったのは、息子を産んでしばらくした頃だった。
いや、変わったのではなくわたしが気づいただけで、夫は元々そういう人だったのだろう。
夫は、自分さえ良ければそれでいい人だった。
公爵家の嫡男であること、家族、財産全てが自分のためにあるとしか思っていない人だった。
公爵家の人間となってすこしずついろいろなことを任される中、たくさんのことを理解できるようになったのは皮肉なことだった。
学圏で学ばなければ気づくことはできなかったかもしれない。
まず夫の幅広くたくさんの女性のつまみ食い。
時にはわたしに夫との関係を匂わせたりする人もいました。
夫に訴えてもけんもほろろ。
「お前は妻だろう」
「妻として」
息子を産んで体調が戻らない時期に療養しているわたしに、夫は自分の仕事を回してくるようになった。
わたしはベットの上で書類を捌いた。
そこで公爵家の絶大な権力を内側から見ていて、最初の疑問が浮かんだ。
公爵家の仕事の一つには人の斡旋がある。
仕事を欲しがる貴族の子弟に仕事を斡旋したり、商人を役人に紹介したりまたはその逆もある。
人脈が財産であり、力である。
斡旋の分野も多岐に渡る。
公爵家から斡旋できる仕事には、実家に近くて父向きの仕事がいくらでもあった。
なのにどうして王都の外れまで通わないといけない仕事をあてがわれているのだろうか。
その疑問はすぐに解消した。
とある親族が仕事の斡旋を頼みにきた。
どこか夫に似ているその人は夫の祖父の愛人の子だった。
叔父といえなくもないが、貴族にありがちな認知もされていない人であり、公的には他人だった。
明らかに夫によく似ているその人は、給金がいいけれども危険な仕事をあてがわれ、大怪我をして杖なしでは歩けなくなった。
そして夫はその人を修道院に放り込んだ。
不都合な人間が逆らえないようにするために、人を動かすこともあるのだということに気がついた時は震えがきた。
父は人質だった。
生活はできても自由にはなれない。
わたしは夫に逆らえないのだ。
子を産んだ今になって、かつての夫の従姉妹の言葉の意味を本当に理解できたのだ。
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