ヒロインはモブの父親を攻略したみたいですけど認められません。

haru.

文字の大きさ
8 / 38
ー本編ー

最後の修羅場②

しおりを挟む
「謝罪など必要ない。
私達が望む事はもう伝えた筈だが?・・・」

謝罪をしようとしないルーチェ様を更に怒鳴りつけようとしていたルーチェ様のお父様に冷たい声で告げたお祖父様。

「・・ッ・・・承知致しました。
今後、皆様には関わらせません・・・」

「お父様ッッッ!!!」

納得いかないと声を荒げるルーチェ様

「お前の1番の望みは何だ。」

低い声でルーチェ様へと問うルーチェ様のお父様・・・。
余りの低さにビクッと怯えながらもルーチェ様は未だに事態の深刻さに気づけていない様子・・

「え?・・・ジオル様と幸せになる事です。」

「お前達の婚姻は陛下の御墨付きだ。
スペンサー侯爵を幸せにしたいのなら婚姻後にお前がすればいい・・・子供も2人の間でどうにかすればいい問題だ。これ以上ヴィオレット嬢をお前の都合に巻き込むな。」

思っていた以上の厳しい視線と言葉にルーチェ様は動揺して反論しようとしていたが、そんな娘の態度をわかっていたのか、
「それにヴィオレット嬢が居なければスペンサー侯爵を幸せに出来ないとお前が言うのであればお前達の愛とやらも大したことはなさそうだな・・・」と発破をかけていた。

「なっ・・・いくらお父様でも許せないわ!ジオル様には私がついています!必ずや2人で幸せになってみせます!!」

(流石、父親・・・娘の扱い方がわかってる。)

私達はルーチェ様親子のやり取りを聞きながらお父様へと視線を移した・・・

愛するルーチェ様がお父様と幸せになると宣言したにも関わらず、相変わらず薄暗い目をして言葉を口にしない・・・

「はぁぁぁぁぁぁ。
情けない奴だ・・・このように腑抜けてしまいおって・・・。貴族として、侯爵家としての誇りはどこに捨てて来たのだ・・・」

お祖父様は溜め息をつきながら軽蔑の視線をお父様へと向けた。
だがそんな視線も感じない程、意識が飛んでいるのか・・・目の焦点が合わずどこか恐ろしく感じた。

(・・・・・・・・・そんなになるくらいならどうして、あの女を選んだのよ・・・)

あの日から私の中で不快感→悲壮感→怒り等の心の変化があったが現在の気持ちとしては、不貞腐れてるというのが当てはまるのかも・・・

(だってこれだけ反省して後悔してる姿を見たら怒りよりも何で?って思っちゃうよ・・・
まぁ怒りもまだまだあるけどね・・・。)

私の表情がほんの少し柔らかくなったのがわかったのか側にいてくれていたお祖母様が動いた・・・

「いつまで情けない姿を晒すつもりですか。今、貴方がここで落ちぶれたら本当に私達との縁は切れるでしょうね・・・
それとも貴方はもうヴィオレットを忘れてしまったのかしら?」

お父様の目にうっすらと光が映った・・・

「貴方はあの娘と婚姻します。それは決定事項でしょう。そして私達はこの国を出ます。ヴィオレットの事は新たな地で必ずや幸せにしてみせます。」

「ですが・・・いつの日か・・・ヴィオレットの心の傷が癒える日が訪れ、あの子が貴方に会う事を望むのであれば・・・私達が貴方とヴィオレットを再び会わせましょう。」

「訪れるかわからない日を希望に貴方は立ち続けなさい。それが貴方に対する罰であり、餞別です。」

「・・・・・・・・・・・・」

お父様の瞳には光が戻り涙が溢れていた・・

(お祖母様ッ・・・ありがとう・・・)

お祖母様の優しさや厳しさに私は胸に込み上げてくる物を感じながらグッとこらえ顔を無にしてわざと冷たい声を出してお父様の瞳を睨み付けた。

「私は隣国へ行きます。
そこで貴方より素敵な男性を見つけて必ず貴方達より幸せになってみせます。・・・・・もしこの先お会いする機会があるのであれば、これ以上私を落胆させないでもらいたいですわ。」

そう言いお父様に背を向けた・・・

「あ、あぁ・・・これ以上無様な姿は晒さない。ヴィオにもう1度会ってもいいと思ってもらえるように・・・お父様と呼んでもらえるように・・・この国で私は生きていくよ。」

「ヴィオレット・・・・・・・・私はあの日からまだ1度も伝えていなかった・・・
私は自分の欲望を優先させ、ヴィオの信頼を裏切り、傷つけた・・・そしてその事にすら気付かず更に深い傷をヴィオに与えてしまった。
許されるとは思ってはいない・・・だが言わせてほしい。本当にすまなかった・・・ヴィオレット・・・。
ヴィオが幸せになれるように祈っている・・」

(狡いんだから・・・本当・・・今になって謝るなんて・・・)

私は溢れそうな涙をグッとこらえ、目蓋をきつく閉じた・・・・・・

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その後、陛下との話し合いでお父様とルーチェ様の婚姻は確定し、私達の身分返上、そして隣国移住の件を話し合った・・・

だが予想に反して揉める事はなくすんなりと陛下は引き下がり私達は貴族ではなくなった。


しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした

基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。 その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。 身分の低い者を見下すこともしない。 母国では国民に人気のあった王女だった。 しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。 小国からやってきた王女を見下していた。 極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。 ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。 いや、侍女は『そこにある』のだという。 なにもかけられていないハンガーを指差して。 ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。 「へぇ、あぁそう」 夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。 今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【完結】悪役令嬢の断罪から始まるモブ令嬢の復讐劇

夜桜 舞
恋愛
「私がどんなに頑張っても……やっぱり駄目だった」 その日、乙女ゲームの悪役令嬢、「レイナ・ファリアム」は絶望した。転生者である彼女は、前世の記憶を駆使して、なんとか自身の断罪を回避しようとしたが、全て無駄だった。しょせんは悪役令嬢。ゲームの絶対的勝者であるはずのヒロインに勝てるはずがない。自身が断罪する運命は変えられず、婚約者……いや、”元”婚約者である「デイファン・テリアム」に婚約破棄と国外追放を命じられる。みんな、誰一人としてレイナを庇ってはくれず、レイナに冷たい視線を向けていた。そして、国外追放のための馬車に乗り込むと、馬車の中に隠れていた何者かによって……レイナは殺害されてしまった。 「なぜ、レイナが……あの子は何も悪くないのに!!」 彼女の死に唯一嘆いたものは、家族以上にレイナを知る存在……レイナの親友であり、幼馴染でもある、侯爵令嬢、「ヴィル・テイラン」であった。ヴィルは親友のレイナにすら教えていなかったが、自身も前世の記憶を所持しており、自身がゲームのモブであるということも知っていた。 「これまでは物語のモブで、でしゃばるのはよくないと思い、見て見ぬふりをしていましたが……こればかりは見過ごせません!!」 そして、彼女は決意した。レイナの死は、見て見ぬふりをしてきた自身もにも非がある。だからこそ、彼女の代わりに、彼女への罪滅ぼしのために、彼女を虐げてきた者たちに復讐するのだ、と。これは、悪役令嬢の断罪から始まる、モブ令嬢の復讐劇である。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)

ラララキヲ
恋愛
 平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。  そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。  メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。  しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。  そして学園の卒業式。  第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。  そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……── ※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑) ※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。 ※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません) ※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。  ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。

【完結】王太子に婚約破棄され、父親に修道院行きを命じられた公爵令嬢、もふもふ聖獣に溺愛される〜王太子が謝罪したいと思ったときには手遅れでした

まほりろ
恋愛
【完結済み】 公爵令嬢のアリーゼ・バイスは一学年の終わりの進級パーティーで、六年間婚約していた王太子から婚約破棄される。 壇上に立つ王太子の腕の中には桃色の髪と瞳の|庇護《ひご》欲をそそる愛らしい少女、男爵令嬢のレニ・ミュルべがいた。 アリーゼは男爵令嬢をいじめた|冤罪《えんざい》を着せられ、男爵令嬢の取り巻きの令息たちにののしられ、卵やジュースを投げつけられ、屈辱を味わいながらパーティー会場をあとにした。 家に帰ったアリーゼは父親から、貴族社会に向いてないと言われ修道院行きを命じられる。 修道院には人懐っこい仔猫がいて……アリーゼは仔猫の愛らしさにメロメロになる。 しかし仔猫の正体は聖獣で……。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 ・ざまぁ有り(死ネタ有り)・ざまぁ回には「ざまぁ」と明記します。 ・婚約破棄、アホ王子、モフモフ、猫耳、聖獣、溺愛。 2021/11/27HOTランキング3位、28日HOTランキング2位に入りました! 読んで下さった皆様、ありがとうございます! 誤字報告ありがとうございます! 大変助かっております!! アルファポリスに先行投稿しています。他サイトにもアップしています。

【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!

As-me.com
恋愛
 完結しました。 説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。  気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。  原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。  えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!  腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!  私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!  眼鏡は顔の一部です! ※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。 基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。 途中まで恋愛タグは迷子です。

「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。【短編集】

長岡更紗
恋愛
異世界恋愛短編詰め合わせです。 気になったものだけでもおつまみください! 『君を買いたいと言われましたが、私は売り物ではありません』 『悪役令嬢は、友の多幸を望むのか』 『わたくしでは、お姉様の身代わりになりませんか?』 『婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。 』 『婚約破棄された悪役令嬢だけど、騎士団長に溺愛されるルートは可能ですか?』 他多数。 他サイトにも重複投稿しています。

処理中です...