36 / 44
本編
愚かな男
しおりを挟む
「侯爵!!!これは一体どういう事だ!!!」
ディー様達が怒っている横で私は・・・
お父様元気そうでよかった~。そう言えばリリーはどうしてるかしら・・・と別の事を考えていた。
「・・・ち、違いますぞ!この娘が!!!」
「言い訳するな!!
衛兵から言われて来てみれば・・・
サリアベル嬢と先程踊らせようとしたのもそなたの策略か!!!」
「あ、あれは娘の気持ちを思いやっただけです。」
「・・・聞かせてもらえないでしょうか。侯爵殿。12年前の時の子供とは一体なんの話しですか?」
お父様は怒りを抑え、絞り出すような声で問いかける・・・
「な、なんの話しだ。」
侯爵は自分の悪事が暴かれようとしているのを感じ動揺している・・・。
「・・・衛兵がすべてを聞いていたと言っているだろう。さっさと説明せよ!」
「ヴッ・・・・・・。」
「私の娘は12年前に出先で誘拐事件に巻き込まれました。なぜその事を侯爵殿が知っておられるのだ!!!!」
今にも掴みかかりそうな雰囲気で怒鳴り声をあげる・・・。
お父様・・・。
「さあ、答えよ!!!侯爵ッ!!!!!」
ディー様が侯爵に最後の追い込みをかける。
「・・・知らん!!!私は何も知らんぞ!!
ロイディラン殿といえど、少し無礼がすぎるのではないか!!!これで失礼する!!!」
侯爵はそういうと会場内に戻って行った・・・
うわあ・・・。
ディー様にあの態度・・・終わったな・・・。
「・・・大丈夫か?ティア???」
ディー様が心配そうに私を見つめる。
「はい。大丈夫ですわ・・・侯爵様はどうしますの?」
「問題ないぞ!お前が自白を引き出したからな。ここにいる全員が聞いていた!!!
今も会場内から出ないように見張っている。夜会が終わりしだい捕縛する。
・・・よく頑張ったな。ティアナ・・・。」
「・・・お兄様・・・。」
「・・・ティアナ」
お父様は声を震わせながら私に声をかける。
「お父様!!!」
互いの瞳に涙が浮かぶ・・・
「体の調子は大丈夫ですの?」
「問題ないよ・・・心配かけたね・・・。
・・・ティアナこんな危険な事をさせてしまって、本当にすまない。王都での生活も大変だったろう。」
お父様は不甲斐ない自分を恥じるように目を反らす・・・
「大変でしたわ・・・。
初めて王都までお忍びで出かけ、騎士団でお世話になる事になり、仕事をこなす日々。
怖かったですわ。男の人に囲まれるのも・・・いつかバレるのではないかと心配するのも。
でも、騎士団の方々は皆立派な人達ばかりでディー様やジュリアス様、ラインハルト様にも沢山助けて頂いたのです。
それに、不安以上にワクワクもしていたのです。新しい事をするのも、自由な時間にも・・・凄く素敵な時間でしたわ。
アスベル家の方々にも大変お世話になりましたの。私がずっと逃げ続けていた物を取り戻してくれましたの。
お父様。私少しは貴族らしくなったでしょう?」
「・・・プッ。そうだったな・・・。
お前が大きくなるにつれて、ネックレスで守れる期間の終わりがどんどん迫ってきていて、お前をきちんと見れていなかった。
すっかり忘れていたよ・・・
お前は兄妹の中でも一番お転婆で自由な事が大好きな女の子だった。
ああ・・・素敵な令嬢に成長したな。
ドレスもよく似合っているよ・・・ティアナ」
「・・・ふふふ。」
「ほら親父も話しはそれくらいにしろ。
ティアナとロイは会場に戻って楽しんでこい
後は俺達に任せろ・・・。」
「行こうか。ティア・・・」
ディー様が私を愛しそうに見つめながら手を差し出す。
・・・またそんな目をして・・・でもその手をとるのは私だけがいい。
「・・・はい。」
「ロイディラン殿、娘を宜しくお願いします」
「お任せを。決して側を離れません。」
ディー様達が怒っている横で私は・・・
お父様元気そうでよかった~。そう言えばリリーはどうしてるかしら・・・と別の事を考えていた。
「・・・ち、違いますぞ!この娘が!!!」
「言い訳するな!!
衛兵から言われて来てみれば・・・
サリアベル嬢と先程踊らせようとしたのもそなたの策略か!!!」
「あ、あれは娘の気持ちを思いやっただけです。」
「・・・聞かせてもらえないでしょうか。侯爵殿。12年前の時の子供とは一体なんの話しですか?」
お父様は怒りを抑え、絞り出すような声で問いかける・・・
「な、なんの話しだ。」
侯爵は自分の悪事が暴かれようとしているのを感じ動揺している・・・。
「・・・衛兵がすべてを聞いていたと言っているだろう。さっさと説明せよ!」
「ヴッ・・・・・・。」
「私の娘は12年前に出先で誘拐事件に巻き込まれました。なぜその事を侯爵殿が知っておられるのだ!!!!」
今にも掴みかかりそうな雰囲気で怒鳴り声をあげる・・・。
お父様・・・。
「さあ、答えよ!!!侯爵ッ!!!!!」
ディー様が侯爵に最後の追い込みをかける。
「・・・知らん!!!私は何も知らんぞ!!
ロイディラン殿といえど、少し無礼がすぎるのではないか!!!これで失礼する!!!」
侯爵はそういうと会場内に戻って行った・・・
うわあ・・・。
ディー様にあの態度・・・終わったな・・・。
「・・・大丈夫か?ティア???」
ディー様が心配そうに私を見つめる。
「はい。大丈夫ですわ・・・侯爵様はどうしますの?」
「問題ないぞ!お前が自白を引き出したからな。ここにいる全員が聞いていた!!!
今も会場内から出ないように見張っている。夜会が終わりしだい捕縛する。
・・・よく頑張ったな。ティアナ・・・。」
「・・・お兄様・・・。」
「・・・ティアナ」
お父様は声を震わせながら私に声をかける。
「お父様!!!」
互いの瞳に涙が浮かぶ・・・
「体の調子は大丈夫ですの?」
「問題ないよ・・・心配かけたね・・・。
・・・ティアナこんな危険な事をさせてしまって、本当にすまない。王都での生活も大変だったろう。」
お父様は不甲斐ない自分を恥じるように目を反らす・・・
「大変でしたわ・・・。
初めて王都までお忍びで出かけ、騎士団でお世話になる事になり、仕事をこなす日々。
怖かったですわ。男の人に囲まれるのも・・・いつかバレるのではないかと心配するのも。
でも、騎士団の方々は皆立派な人達ばかりでディー様やジュリアス様、ラインハルト様にも沢山助けて頂いたのです。
それに、不安以上にワクワクもしていたのです。新しい事をするのも、自由な時間にも・・・凄く素敵な時間でしたわ。
アスベル家の方々にも大変お世話になりましたの。私がずっと逃げ続けていた物を取り戻してくれましたの。
お父様。私少しは貴族らしくなったでしょう?」
「・・・プッ。そうだったな・・・。
お前が大きくなるにつれて、ネックレスで守れる期間の終わりがどんどん迫ってきていて、お前をきちんと見れていなかった。
すっかり忘れていたよ・・・
お前は兄妹の中でも一番お転婆で自由な事が大好きな女の子だった。
ああ・・・素敵な令嬢に成長したな。
ドレスもよく似合っているよ・・・ティアナ」
「・・・ふふふ。」
「ほら親父も話しはそれくらいにしろ。
ティアナとロイは会場に戻って楽しんでこい
後は俺達に任せろ・・・。」
「行こうか。ティア・・・」
ディー様が私を愛しそうに見つめながら手を差し出す。
・・・またそんな目をして・・・でもその手をとるのは私だけがいい。
「・・・はい。」
「ロイディラン殿、娘を宜しくお願いします」
「お任せを。決して側を離れません。」
37
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『番』という存在
彗
恋愛
義母とその娘に虐げられているリアリーと狼獣人のカインが番として結ばれる物語。
*基本的に1日1話ずつの投稿です。
(カイン視点だけ2話投稿となります。)
書き終えているお話なのでブクマやしおりなどつけていただければ幸いです。
***2022.7.9 HOTランキング11位!!はじめての投稿でこんなにたくさんの方に読んでいただけてとても嬉しいです!ありがとうございます!
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
番(つがい)はいりません
にいるず
恋愛
私の世界には、番(つがい)という厄介なものがあります。私は番というものが大嫌いです。なぜなら私フェロメナ・パーソンズは、番が理由で婚約解消されたからです。私の母も私が幼い頃、番に父をとられ私たちは捨てられました。でもものすごく番を嫌っている私には、特殊な番の体質があったようです。もうかんべんしてください。静かに生きていきたいのですから。そう思っていたのに外見はキラキラの王子様、でも中身は口を開けば毒舌を吐くどうしようもない正真正銘の王太子様が私の周りをうろつき始めました。
本編、王太子視点、元婚約者視点と続きます。約3万字程度です。よろしくお願いします。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
私のことが大好きな守護竜様は、どうやら私をあきらめたらしい
鷹凪きら
恋愛
不本意だけど、竜族の男を拾った。
家の前に倒れていたので、本当に仕方なく。
そしたらなんと、わたしは前世からその人のつがいとやらで、生まれ変わる度に探されていたらしい。
いきなり連れて帰りたいなんて言われても、無理ですから。
そんなふうに優しくしたってダメですよ?
ほんの少しだけ、心が揺らいだりなんて――
……あれ? 本当に私をおいて、ひとりで帰ったんですか?
※タイトル変更しました。
旧題「家の前で倒れていた竜を拾ったら、わたしのつがいだと言いだしたので、全力で拒否してみた」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる