モニカのお悩み相談室、通称「悪役令嬢更生センター」

ブリリアント・ちむすぶ

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アルバーテ家

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アルバーテ家。
その名を知らぬものはこの国では居ないだろう。
今や1つになった三大公爵家の一つであり、現在は国の実権を握っているリップランド家の分家にあたる名家で、リップランド家が1番親しくしている家のはずだ。
巷では男爵家でありながら新たは三大公爵家の一つに加える、という声もあるくらい歴史と財産が山のように積まれている。
無論、モニカもアルバーテ家のことはよく知っている。
モニカは言葉を選ぶように言う。

「まさか…、アルバーテ家の方だとは思いも寄りませんでしたわ。ご無礼を致しました」

2年ほど前は生家であるベルッチ家と良好だったアルバーテ家も身分を剥奪されたモニカにとっては眉1つで命が奪われる危険のある存在だ。
それが目の前のナッシュという男がただの執事であっても、だ。
依頼の手紙には実際の内容は会ってから、という文面で貴族の依頼だろうとは踏んでいたが、まさかアルバーテ家の人間だとは思いも寄らなかった。
「先程の貴女の発言を咎める気はありません。あれは私の個人的な疑問ですから」
バッジを再度胸にしまったナッシュは言葉を続ける。
「それに、先程の話を聞いて貴女なら任せられると確信しました」 
「仮にもアルバーテ家のご依頼、光栄ですが私なんぞに務められるか……」
「できますとも」
ナッシュは冷や汗をかいているモニカの言葉に食い入るように言った。
その圧に押されて、モニカは息を吐きながらナッシュに言った。
「1つ、伺います」
「ええ」
「このご依頼は、貴方の意思ですか? それともーー」
「詳細なお答えは控えさせていただきます。ですが、貴女が想像している方の代理で私は参りました」
「…………」
モニカの頭の中で様々な考えが浮かんだ。
やるかやらないか。『前』もひっくるめての知識を総動員し、モニカは熟考し、重い口を開いた。
「……ご依頼、内容は?」


ーーーーーーーーーーーーーーー

モニカの目の前には大きな屋敷がモニカを威圧するように建てられている。
門はアルバーテ家の家紋が大きく掲げられ、訪れるものを拒んでいるようにも思えた。
迎えの馬車もさすが貴族用の馬車である。
豪華な内装に、綿が敷き詰められた椅子。
モニカが普段乗っている市民用馬車とは大違いだ。
ほんの2年前はモニカもこちら側にいたが、2年ですっかりモニカは庶民派になってしまったのだ。
「…ついに、来てしまったのね」
モニカは馬車をおり屋敷を見上げた。

ーーこうして見上げるのはモニカの記憶では今回で2回目、その『前』はーー。

王族が住む王宮よりは小さいが、とてつもない大きさの屋敷に圧倒されながらモニカはナッシュの依頼内容を思い出していた。

ーーーーーーーーーーーー
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