モニカのお悩み相談室、通称「悪役令嬢更生センター」

ブリリアント・ちむすぶ

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久しぶりの

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2週間前のナッシュとのやり取りを思い出し終えたモニカが呼び鈴を鳴らすと、出てきたのはナッシュだった。
モニカの所に依頼人来たのと同じ、ネイビーの髪を後ろでまとめ、男性らしい切れ長の瞳がモニカを出迎えた。
時間通り訪れたモニカにナッシュは部屋を案内するといい、モニカはナッシュの後ろを歩く。
大屋敷ということもあり、すれ違うメイドの数も部屋数もとてつもなく多い。
モニカは歩きながら周囲を目だけで見渡した。

ーー『前』と同じね。豪華な調度品、質のいい使用人。中身はどうあれ、見るだけなら素晴らしい屋敷だわ。

 だが、その外側の素晴らしさが内側もそうかと言われれば必ずしもそうでは無い。
モニカは身をもってそれは知っていた。
今でもメイドたちの視線に混ざり、好奇心ではない、モニカの心の内を探るような、そんな粘ついた視線を感じた。
息苦しさの中、ようやくモニカが一息ついたのは部屋に通された後だった。
「…ふう」
「お疲れのようですね」
「あの視線、とても懐かしいです」
「視線?」
「あの訪れた者に対して自分に利があるか見定める視線のことです。私が何者なのかを探ろうとしている」
「……ええ」
ナッシュは複雑な表情で頷いた。
「ほんの2年前は私もその視線の中にいたというのに。離れてみると分かるものですね。大海を知りたければまず大海から上がらないと行けない、とはよく言ったものです」
「大海を知りたければーー、母親がよく読んでいた詩集の中のフレーズです。よくご存知で」
モニカの言葉にナッシュは感慨深げに言った。
確かにこのフレーズはモニカの母親達が少女時代に流行った詩集のフレーズだ。
今や知る人ぞ知る、という形で、モニカくらいの歳だと余程の読書家でなければ知る人間は居ないだろう。
「以前、依頼人に薦められたのを読んだだけです」
「貴女は本当に不思議な人だ。洞察力もさることながら、時折、年齢以上の大人びた言葉や表情をなさる。それに違和感がないのもさらに不思議です」
「褒められたとでも思っておきますわ」
苦笑したナッシュにモニカは微笑み返す。
そのまま、モニカはカバンから紙の束を出した。
「これは?」
「レベッカ様が上手く相手の方と恋愛ができるか、ということですから、私の方でも計画書を作成しました」
「こんなに沢山、ありがとうこざいます」
「でしたら、まずこちらをご覧ください」
モニカは1枚の紙をナッシュに手渡した。
ナッシュが調度受け取った時、閉めてあるはずのドアが勢いよく開いた。


 ーーーーーー

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