赤い花を手折る

６

呼ぶ名は R１８

「あぁっ！　うあ…、バ、グダス…！」

カイラスの中はずいぶん柔らかくなった。
バグダスの思ったとおりに動き、その通りに喘ぐカイラスをバグダスは満足そうに見つめていた。
　カイラスの孔内が卑猥な水音をたて地下室を充満した。
　
「うっ…はぁ…あっ」
「口をあけなさい」
「ふっ…、あ…、あっ！」
「ほら」

奥の一点をバグダスは突いた。
カイラスは噛んでいた唇が離れ、声が昂る。

「あっ…！　ああぁ…！」
「カイラス様、あなたは誰のものですか？」
「んあっ…あぁ…！　あっ」
「ほら、言わないとこのままですよ」

　バグダスの指はカイラスの体内を泳ぐように動かした。
　体内は柔らかく動いている。
　しかし、指を締め付ける体内は確実にバグダスの昂りをカイラスは求めているはずだ。
　カイラスはか細い声で口を開いた。

「バグ、ダス…」
「ほら、もっと言いなさい」

　バグダスはカイラスの身体の奥を突く。
　跳ねるような衝撃がカイラスの身体に走る。

「んあっ…！　バグダス…、バグダス…！」

　カイラスはバグダスの名前を何度も呼んだ。
　カイラスが快楽に溺れる頻度はさらに高くなってきた。　
　最近では自ら進んで腰を振ることも多くなり、バグダスに染め上げられていくようだっった。

「カイラス。舌を出しなさい」

　素直に出したカイラスの舌をバグダスは絡めるように吸い上げる。
　激しい水音を表すようにカイラスの顔はさまざまな体液ですっかり汚れ切っていた。
　行為の度にバグダスが清めてはいるが限界はある。
　そろそろ風呂に入らせてもいいかもしれない。

「ん…ふっ…あぁ…」

　口づけすらもカイラスの快楽の材料になる。
　口枷をつけてしていたころが嘘のようだった。

「バグダス…、もっと、もっと……あっ」
「…ずいぶん素直になりましたね」

　ねだるように舌を出すカイラスはとても愛おしい。
　心地よいカイラスの皮膚を撫ぜるだけでカイラスの身体は紅く紅潮し、声は昂る。
　何度も達しているカイラスの陰茎からは雫が出続けていた。

「もっと、もっとですカイラス様。貴方はもっと私の手に堕ちるべきだ。身も心も、すべて」
「バグ、ダス……」

　バグダスの手を頬擦りするカイラスをバグダスは満足げに見つめた。
　カイラスは今バグダスの手の中に堕ちていく。
　何年も追い求めたあの瞳の中にバグダスをいれることが出来たのだ。

「堕としてくれ、もっと…、俺を…、バグダス…」
「ええ。望み行くままに」

　そういってバグダスはカイラスの孔内から指を抜き、カイラスの足を持ち上げた。
　カイラスの孔内は赤く腫れ、もはや排泄器官のそれではない。
　再度媚薬を指に絡ませカイラスの中に入れる。
　それをいれただけでもカイラスは声をあげ、腰が動く。

「ここもずいぶん柔らかくなりましたね」
「あっ…ふっ…あぁ…！」
「すぐに私を受け入れてくれそうです」

　一本、二本と指を増やしていく。
　何度も行為はしているはずなのに、カイラスの体内はバグダスの指を絞めつける。　
　奥まで媚薬を刷り込んだ。

「ねえ、ハクギンはどこまで貴方としていたのですか？」
「そんなの、関係な――あっ！」
「正直に言いなさい」

　カイラスの奥の一点を突くとカイラスは簡単に嬌声を出す。
　いじるようにそこに媚薬でさらに滑りよくなった指を摺り上げる。カイラスはもどかしさでさらに声をあげた。

「なにも、していない…」
「嘘。あなたの身体は最初から快楽を拾っていましたよ」
「本当に…、していないから…ああっ！」
「私は寛大な男ですが、嘘は嫌いです。正直に言いなさい」
「あっ…！　い、や…！　してな…っ！」
「本当に？」
　
　快楽を抗いながら必死に頷くカイラスを指で孔内を広げながら聞いた。
　バグダスは空いた手でカイラスの胸を触る。
　女のそれのように膨らんだ乳首をつまむ。
カイラスはそれすらも快楽にしてしまうようだった。
どんどん淫らな体になっていくカイラス。
バグダスがしたてあげた宝石だ。

「していないなら、このまま我慢できますよね？」
　
　ぐちゅり、と媚薬とカイラスの体内が混ざる音がする。
　媚薬でカイラスの身体はさらに敏感になる。
　胸をいじる行為すらカイラスは女のように喘ぐのだ。

「あっ…！　む、り…バグダス…、バグダス…！」

　誘うようにカイラスの腰は揺れる。　
　媚薬がなじむまでもう少しだろう。
　何度も使っている媚薬だ。カイラスも我慢できないというようにバグダスの名を呼び続ける。

「バグダス…、バグダス…！」
「ダメですよ。今日は貴方の乱れる姿を眺める日なのですから。」
「い、やだ…！　あぁっ！」

いつもはこのまま挿入するところだ。カイラス自体気持ちいいものの、達する決め手に欠けているようで、バグダスにねだるように足を絡ませた。

「お願いだ…、射れて…、射れてくれ…」
「ダメですよ」
「バグダス…、バグダス…、バグダス…」

　バグダスの名を連呼するカイラスにバグダスは深い口づけをした。
　バグダスの名しか呼ばない状態ということはもうそろそろカイラス自体限界が近いのだろう。
　達するときにはバグダスの名を呼ぶ事と教えたおかげで、カイラスの限界がわかるようになった。そしてなにもわからず快楽に溺れている状態でバグダスの名を呼ぶカイラスに愛おしさが芽生えてくる。

「ほら、もうすぐですよ」
「…んっ…ふっ…あっ…――――！！」
「ほら」

　口づけをしながらカイラスの体内を突いた。
　そのままカイラスは言葉もなく叫び、ビクビクと体を震わせる。
　陰茎からはあふれ出んばかりの雫がカイラスの体内からとめどもなく出た。

「気持ちよかったですか？　カイラス様」
「んっ―、ふっ―、うっ―」

　素直に口づけをされるカイラスの目は焦点が合っていない。
　おそらく意識をほとんど手放してしまったようだ。
　しかし、残り僅かに残った意識でバグダスの口づけを一心不乱に受ける。

「…汚れてしまいましたね」

　カイラスの身体で汚れていない場所などもはやなかった。
　体内からはバグダスが刷り込んだ媚薬が体液とともにあふれ出し、カイラス自身が出した液もバグダスの体液もすべてカイラスの身体を汚していた。
　この状態で仮に外に出しても意識が戻るまで時間がかかるだろう。
　バグダスは鎖を外し、意識を失いつつあるカイラスを横抱きにした。

「洗ってあげますよ。カイラス様」

　軽い口づけをし、バグダスはカイラスと共に地下室から出た。
　カイラスにとって地上にでるのは地下室に監禁されてから初めてのことだった。