年下セレブのわがまま事情

ブリリアント・ちむすぶ

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遅い夕食

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 レンがそう言ってもガランは表情を変えない。仕方なく、レンは話題を変えた。
 
「そういえば、よく僕の誕生日知ってましたね?」
「前、言ってただろ」
「そうでしたっけ?」

 レンには自分の誕生日をガランに伝えた記憶はない。だが、ガランとの付き合いは半年経つし、どこかで口を滑らしたのだろうか。
 その割に、自分はガランの誕生日を知らない。過去を思い返しても自分が誕生日を言った記憶もなければガランに誕生日を聞かれた記憶もなかった。

「あなたの誕生日はいくつなんですか?」
「5月」
「じゃあ、来年ですね。おいくつ、なんですか?」

 内心、今更聞く質問ではないだろうと思ったがいい機会だ。
 レンとガラン。
 2人の出会いは突然で、それゆえに本来知るべき情報が欠けてるまま、レンはガランとここまで来てしまった。
 ガランも自分の事は積極的に明かさないタイプというのも関係しているだろう。
 しかし、もう半年。いい加減互いの年齢くらい知っておかねば。
 そう思ったのに、聞かれたガランの表情は固かった。
 口元は笑っているものの、それ以外が固い。今日のガランがエイダとカーラに出したとき以上の張り詰めた嫌な雰囲気が漂いだす。

「言う必要、あるか?」

 その言葉に厚い壁を感じた。レンは背筋が凍る気分になりつつも、平然な顔を保ちながら答える。
 
「……僕の誕生日を知っているということは、僕の年齢もきっと知っているんでしょう? それなのに僕があなたの年齢を知らないのはアンフェアです」
「年齢なんて気にすることじゃないと思うがな」
「そう言われても……、別に、今更あなたの年齢がいくらでも気にしませんよ」
「なら、言わなくても問題ないはずだろ」
「そんなに、僕に知られたくない話があるんですか?」

 ガランの拒絶にレンは呟くように言った。
 自分の年齢すらも言わないとは予想外で、つい口に出してしまったのだ。

「……」
 
 実の所、ガランのこういう秘密主義は今に始まったことではない。
 なぜこの若い見た目でこんなにも高級ホテルに住んでいるのかや仕事は何をしているのか。誰しもが気になる話題をガランは何1つレンに開かそうとしないのだ。
 それなのに、先程のようにレンが言っていなかったレン自身の事は知っている。
 それでいてレンに過剰な程に愛を囁く。
 受け入れているレンもレンだが、正直ーー、気味が悪い。
 だが、今レンがガランに何か言ってもガランからはぐらかされることは目に見えている。
 だから、レンは心に残った様々な違和感を我慢しながら、取り繕うような笑みを見せた。

「そう、でしたね。確かに、貴方の言う通り僕らには些細なことなのだと思います」
「……」
「すみませんでした。誕生日プレゼント考えておきますから、待っててください」

 レンの言葉にガランは顔を逸らしグラスに残ったワインを一口で飲んだ。
 そのガランの酒に酔った赤い首がやけに目に入った。
 それに違和感を感じたのはいつの頃だろうか。
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