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「どうせ俺はもう用なしなんじゃねぇのかよ。時任の御曹司はどうした」
「あれ? 嫉妬? そりゃ大地よりイケメンでお金持ちだから当たり前か~」
「美和っ!!」
「甲斐性をつけてからものを言ってよね」
苛立っている大地の声とは反対に、美和はどこか挑発的に答えている。
そりゃ時任と杉本を比べてしまえば、会社の歴史、規模、従業員の数など、天と地ほどの差はある。
それこそ、資産だって。
挙句の果てには、容姿まで確実に隼人の方が上だし、センスも違う。
「俺を裏切った奴が何言ってんだよ」
「裏切った覚えもないけどね。ウダウダ言うなら大地こそ梨花を何とかしなさいよ」
「だから今こうやってんだろ! でもテメェは時任の方へ行きやがって!」
イライラした大地が、足を踏み鳴らす振動がこちらにも伝わり、痛む身体に響く。
それにしても二人は、私がこうやって聞いている事に気が付いていないのだろうか。
大声で怒鳴り合うように話していたら、こんなボロい壁や扉なんて聞こえて当たり前だと思うのだけれど。
「そりゃお金あるし。何より梨花ごときが何で時任と婚約なんて出来るのよ。ありえないでしょ」
「まぁな。あんな奴がどう取り入ったのかと思うけどよ」
「絶対私の方が良いのに! まぁ、出会った順番が違っただけよ」
「出会った順番? 梨花のが早いのか? 俺等ずっと一緒だったんだぜ? ありえねぇだろ」
……え?
何?
何の話……?
まさかの隼人と私の話に、心臓がドクンと高鳴り、心拍数が早くなる。
聞きたい……でも、聞きたくない。
幼い頃。大地や美和と出会う前。
私と隼人の出会い……?
「私達と出会う前に、家同士の付き合いでよく遊んでいたらしいわよ。そこで隼人さんは梨花の事を気に入ったんだって」
「ガキのおままごとかよ」
ドクンっと、更に大きく心臓が鳴る。
なんで……なんで、なんで! 美和の口からそれが出るの!?
美和が言ってるって事は本当なのだろう。だけれど、どうして美和が知っているのか。
どこまで……隼人は美和に言ったのだろう。
「プロポーズまでしたってさ。まぁ、梨花は覚えてないって言うから、うけるよね」
「あいつ鈍感だからなぁ~。所詮マセガキの遊びか」
言って二人は笑い合っているけれど、私は身体の奥から血の気が引いたような感じで、身体が冷たくなっていくようだった。
プロポーズ……?
何の事……?
呆然としていれば、バンッと扉が大きく開き、美和が私を冷たく見下ろしていた。
「聞こえてたでしょ?」
嘲笑うような美和の言葉に、私は言い返す事も出来ず、呆然と美和を見上げていた。
「あれ? 嫉妬? そりゃ大地よりイケメンでお金持ちだから当たり前か~」
「美和っ!!」
「甲斐性をつけてからものを言ってよね」
苛立っている大地の声とは反対に、美和はどこか挑発的に答えている。
そりゃ時任と杉本を比べてしまえば、会社の歴史、規模、従業員の数など、天と地ほどの差はある。
それこそ、資産だって。
挙句の果てには、容姿まで確実に隼人の方が上だし、センスも違う。
「俺を裏切った奴が何言ってんだよ」
「裏切った覚えもないけどね。ウダウダ言うなら大地こそ梨花を何とかしなさいよ」
「だから今こうやってんだろ! でもテメェは時任の方へ行きやがって!」
イライラした大地が、足を踏み鳴らす振動がこちらにも伝わり、痛む身体に響く。
それにしても二人は、私がこうやって聞いている事に気が付いていないのだろうか。
大声で怒鳴り合うように話していたら、こんなボロい壁や扉なんて聞こえて当たり前だと思うのだけれど。
「そりゃお金あるし。何より梨花ごときが何で時任と婚約なんて出来るのよ。ありえないでしょ」
「まぁな。あんな奴がどう取り入ったのかと思うけどよ」
「絶対私の方が良いのに! まぁ、出会った順番が違っただけよ」
「出会った順番? 梨花のが早いのか? 俺等ずっと一緒だったんだぜ? ありえねぇだろ」
……え?
何?
何の話……?
まさかの隼人と私の話に、心臓がドクンと高鳴り、心拍数が早くなる。
聞きたい……でも、聞きたくない。
幼い頃。大地や美和と出会う前。
私と隼人の出会い……?
「私達と出会う前に、家同士の付き合いでよく遊んでいたらしいわよ。そこで隼人さんは梨花の事を気に入ったんだって」
「ガキのおままごとかよ」
ドクンっと、更に大きく心臓が鳴る。
なんで……なんで、なんで! 美和の口からそれが出るの!?
美和が言ってるって事は本当なのだろう。だけれど、どうして美和が知っているのか。
どこまで……隼人は美和に言ったのだろう。
「プロポーズまでしたってさ。まぁ、梨花は覚えてないって言うから、うけるよね」
「あいつ鈍感だからなぁ~。所詮マセガキの遊びか」
言って二人は笑い合っているけれど、私は身体の奥から血の気が引いたような感じで、身体が冷たくなっていくようだった。
プロポーズ……?
何の事……?
呆然としていれば、バンッと扉が大きく開き、美和が私を冷たく見下ろしていた。
「聞こえてたでしょ?」
嘲笑うような美和の言葉に、私は言い返す事も出来ず、呆然と美和を見上げていた。
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