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番外編
番外.後継問題は安心?
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王都に住む人々が騒めく。教会が祝い事かのように鐘を鳴らす。
その音に、アレス国王陛下を始め、宰相についたピーターまでもが慌てて外へ駆け出した。
国王が変わって、五年。つまり、スワとフェスが旅に出て五年。五年でようやく国政を安定させてきたところに、懐かしい聖獣が王都へ戻ってきたのだ。
「スワ……様?」
「お?おお??」
聖獣が王城の中庭へ降り立ち、背から降りてきた人物達を見て、思わず唖然としてしまう私とは反対に、興味津々と言った感じで声を上げたのはオトだった。
「久しぶり~」
そんな様子など気にしないと言わんばかりに、スワ様は笑顔で手を振るが、集まってきている皆の視線は、スワのお腹と……フェスの腕に居る子どもに向けられていた。
「母親はスワさんよね?父親は?」
「私です」
「自分達だけズルくない!?」
オトの問いに間髪入れず叔父が答えるのを見て、思わず叫んでしまった僕は悪くないと思う。婚約者も居ないまま即位し、今やっと国政が安定してきたところで、ずっと駆け回っていて相手を見つける暇すらなかったのだ。
もう……良いや……王族の血筋を引く者は此処に居るわけだし……心安らぐ相手を見つけて癒されていたいなぁ、なんて思っていたら、若干スワ様の目が泳いでいるのが気になった。あえて無視したいという思いも出てきていたけれど、それはオトによって阻まれ、詳しく!!という勢いのまま皆でサロンに集まる事となった……。
「剣聖と……聖女?」
「ははっ」
スワ様から乾いた笑いが漏れる。思わず現実逃避したくなったのは僕も同じだ。
何と五年前二人で旅に出てから、シロとクロの協力で周囲を固められ、いつの間にか叔父上はスワ様が逃げられない状態に囲い込み……生まれたのが双子の女児だったそうで、名前はアイとサクラだと言う。
「藍に桜ね~」
「故郷の響き、良いっすね」
オトとアキがそんな事を言っているので、元の世界から取ってきた名前なのだろうという事は理解できる……出来るが、鑑定で見ると四歳の子どもが剣聖と聖女の職業についている……だと?
「それで……今スワ様は……妊娠中……ですよね?」
「そうだね……そろそろ……産まれるかな?」
「里帰り出産ね!」
オトが何か言っているが、スワ様の目が物凄く泳いでいる。
少なくとも異世界から召喚すべき聖女が、この世界で誕生しているのだ。お腹の子が男児で……勇者なんて称号を得ているとしたら……
「叔父上?」
「頼んだ」
つい恨みがましく叔父上を睨むも、サラっと返されてしまう。ピーターも視線を合わせようとしない。
「なんでこうなるんだぁあああ!!!」
頭を抱えたくなる案件に、思わず叫んだが、何とでもなるよというオトの声で雑談へ切り替わっていった。
先の事は……もう考えたくない……もう良い、称号が何でも良い。とりあえず僕は後継の事で悩む事はなくなったんだという事だけを脳にいれ、少し肩の荷を降ろした。
その音に、アレス国王陛下を始め、宰相についたピーターまでもが慌てて外へ駆け出した。
国王が変わって、五年。つまり、スワとフェスが旅に出て五年。五年でようやく国政を安定させてきたところに、懐かしい聖獣が王都へ戻ってきたのだ。
「スワ……様?」
「お?おお??」
聖獣が王城の中庭へ降り立ち、背から降りてきた人物達を見て、思わず唖然としてしまう私とは反対に、興味津々と言った感じで声を上げたのはオトだった。
「久しぶり~」
そんな様子など気にしないと言わんばかりに、スワ様は笑顔で手を振るが、集まってきている皆の視線は、スワのお腹と……フェスの腕に居る子どもに向けられていた。
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「自分達だけズルくない!?」
オトの問いに間髪入れず叔父が答えるのを見て、思わず叫んでしまった僕は悪くないと思う。婚約者も居ないまま即位し、今やっと国政が安定してきたところで、ずっと駆け回っていて相手を見つける暇すらなかったのだ。
もう……良いや……王族の血筋を引く者は此処に居るわけだし……心安らぐ相手を見つけて癒されていたいなぁ、なんて思っていたら、若干スワ様の目が泳いでいるのが気になった。あえて無視したいという思いも出てきていたけれど、それはオトによって阻まれ、詳しく!!という勢いのまま皆でサロンに集まる事となった……。
「剣聖と……聖女?」
「ははっ」
スワ様から乾いた笑いが漏れる。思わず現実逃避したくなったのは僕も同じだ。
何と五年前二人で旅に出てから、シロとクロの協力で周囲を固められ、いつの間にか叔父上はスワ様が逃げられない状態に囲い込み……生まれたのが双子の女児だったそうで、名前はアイとサクラだと言う。
「藍に桜ね~」
「故郷の響き、良いっすね」
オトとアキがそんな事を言っているので、元の世界から取ってきた名前なのだろうという事は理解できる……出来るが、鑑定で見ると四歳の子どもが剣聖と聖女の職業についている……だと?
「それで……今スワ様は……妊娠中……ですよね?」
「そうだね……そろそろ……産まれるかな?」
「里帰り出産ね!」
オトが何か言っているが、スワ様の目が物凄く泳いでいる。
少なくとも異世界から召喚すべき聖女が、この世界で誕生しているのだ。お腹の子が男児で……勇者なんて称号を得ているとしたら……
「叔父上?」
「頼んだ」
つい恨みがましく叔父上を睨むも、サラっと返されてしまう。ピーターも視線を合わせようとしない。
「なんでこうなるんだぁあああ!!!」
頭を抱えたくなる案件に、思わず叫んだが、何とでもなるよというオトの声で雑談へ切り替わっていった。
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