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47.殿下は犯罪者-マユside-

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「マユ!ここに居たか!」

図書館で静かに本を呼んでいると、飛び込んでくる馬鹿。

「…毎回毎回、叫ばないと喋れないわけ?」
「そういう仕様ですね」

ウンザリするように呟いた言葉に、リスタが答える。
リスタと共に書物を調べていたので、存在を隠すようにしても気がつかれてしまう。
多分リスタも隠せるだろうが。そもそもこの城には人が少ない上にリスタの存在もそれなりに大きい為、あっさり気がつかれたのだろうと思う。

「…何故リスタがここに居る」
「調べ物のお手伝いです」
「だったら俺に声をかけろ!マユと二人きりなんて許さん!」

うーわーうざーいー
精霊や王国建設あたりの情報、獣人と人間の関係等、アズール国側の書物を少しでも読んでおきたいと思ったのだから、一番知識があるリスタにして何が悪いんだろう。
そもそもお前はまず人の気持ちを考えるって心理的な本でも読むのが先だろう。そういう書物がこの世界にあれば、だけど。

「マ…マユ…!?」
「声に出てますよ」

信じられないと言った様子で馬鹿王子は驚愕の表情をしたまま震えている。

「マ…マユがそんな事を言うはずがない…聞き間違いだな…」
「現実逃避してないで現実直視しましょう。間違いなく貴方は馬鹿です」

ハッキリと言葉を言う瞬間に、ロイドとアスタも図書館へやってきて、私の言葉を聞くと目を見開いて驚いた。

「何を言っているんだ?俺は次期国王だぞ?」
「時期国王だから知能指数が高いという確たる理論なんてないでしょう。ワガママだし、人の気持ちわからないし、てか視点が狭いし。状況把握出来てないし。」

呆然とする三人にため息をつく。
無駄な地位と名誉と固定観念は、ここまで愚かな人間を作り出すのかと。

「ど…どうしたんだ?マユ」
「そんな言葉遣い、聖女様らしくないですよ」

ロイドとアスタが焦って言うが、アスタの言葉がむしろ逆鱗に触れた感じがした。

「聖女様らしいって何?私は私らしくしちゃダメなわけ?」
「何言ってるんだ!?マユはマユのままで良いに決まっているだろう!」

私の言葉に焦ったように馬鹿王子は言う。

「リスタ。一体何を見せたんだ?何か変な知識でも入れたんではないのか」

更に検討違いな言葉をリスタに放つ。
どこまでも自分勝手で、思い通りにならないものは何かに責任を被せないと気が済まないのだろうか。

「私、人に寄り添えない人って大嫌いなんですよね。てか、私の世界で言うと、殿下は犯罪者のレベルですよ。」

ストーカー王子の目を真っ直ぐ見て、ハッキリ言った。
ストーカーは犯罪です。
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