7 / 76
07
しおりを挟む
そうだよ、そうだよ!
色んな情報があって頭が追い付かなかったけど、私がノエル様と婚姻を結ぶんだよね!?
最推しの! ノエル様と!?
推しの幸せを遠くから眺めていられれば良いと思っていたのに! まさか近くに居られるというの!?
いやいやいや、でも向こうがどう思ってるか……しかし、このまま追放されるのは黙っていられない……。
「ソフィア」
身もだえる私を、この世の物とは思えないものを見るような目で男連中が視線を投げかけている中、お母様は少し厳しさを含んだ声で私を呼んだ。
「なら婚姻届を出しても良いという事ね?」
「なっ!?」
お母様の手にあったのは、ノエル様のサインが入った婚姻届だ。
本人がまだ来ていないというのに、王命と一緒に送られてきたという事だろう。
国王の用意が早すぎるだろ! というか、そこまでしてノエル様を僻地へ追いやりたかったという事か!?
「……ちなみに私が婚姻を拒否した場合、ノエル様は……」
「相手の心配か!?」
「ソフィア、優しすぎるだろ!」
「追放された訳あり令息ですよ……?」
外野が煩いけれど、それは放置して、私はしっかりお母様の目を見つめた。
「……色んな意味で安心や無事といった言葉とは無縁になるわね」
お母様はチラリとお父様やお兄様、エディの方を見て言った。
確かに。色んな意味で危険極まりないだろう。
あぁ、でもでも! 私がノエル様の妻だなんて、恐れ多すぎる!
けれども、後でノエル様に好きに過ごしてもらって良いという旨を伝えれば良いだろう。今はノエル様を救う為にもと、私は婚姻届をお母様から受け取ってサインをした。
「あぁあああっ! ソフィアがっ! わしのソフィアがぁああ」
「結婚したくないと言っていたソフィアが……」
お父様とお兄様は揃って膝をついて、項垂れた。
そこにエディは加わる事なく、私やお母様と一緒に冷ややかな視線を向ける。
「王都からは一週間かかるから、到着も一週間後と思っていれば良いわ」
「一週間!」
あと一週間で生のノエル様に会えるのか!
ドキドキが止まらない! あまりの鼓動に心臓が飛び出しそうだ。
もはやストーリーが違うとか、どうでも良いや。ノエル様は今を生きているのだから!
ノエル様に好きな人が出来たら別れれば良いだけ! それまでは衣食住にも困らせない!
推しの為なら頑張れる女だ、私は! 残業どんとこい! 社畜万歳!
死ぬ運命を変えられたなら良し!
そしてこれからは私が守るんだ!
「ご馳走の準備を……あ! 家が居るのか!」
覚悟を決めて、ふと思い出した。
これから平民として生きていかなくてはいけない事に。
色んな情報があって頭が追い付かなかったけど、私がノエル様と婚姻を結ぶんだよね!?
最推しの! ノエル様と!?
推しの幸せを遠くから眺めていられれば良いと思っていたのに! まさか近くに居られるというの!?
いやいやいや、でも向こうがどう思ってるか……しかし、このまま追放されるのは黙っていられない……。
「ソフィア」
身もだえる私を、この世の物とは思えないものを見るような目で男連中が視線を投げかけている中、お母様は少し厳しさを含んだ声で私を呼んだ。
「なら婚姻届を出しても良いという事ね?」
「なっ!?」
お母様の手にあったのは、ノエル様のサインが入った婚姻届だ。
本人がまだ来ていないというのに、王命と一緒に送られてきたという事だろう。
国王の用意が早すぎるだろ! というか、そこまでしてノエル様を僻地へ追いやりたかったという事か!?
「……ちなみに私が婚姻を拒否した場合、ノエル様は……」
「相手の心配か!?」
「ソフィア、優しすぎるだろ!」
「追放された訳あり令息ですよ……?」
外野が煩いけれど、それは放置して、私はしっかりお母様の目を見つめた。
「……色んな意味で安心や無事といった言葉とは無縁になるわね」
お母様はチラリとお父様やお兄様、エディの方を見て言った。
確かに。色んな意味で危険極まりないだろう。
あぁ、でもでも! 私がノエル様の妻だなんて、恐れ多すぎる!
けれども、後でノエル様に好きに過ごしてもらって良いという旨を伝えれば良いだろう。今はノエル様を救う為にもと、私は婚姻届をお母様から受け取ってサインをした。
「あぁあああっ! ソフィアがっ! わしのソフィアがぁああ」
「結婚したくないと言っていたソフィアが……」
お父様とお兄様は揃って膝をついて、項垂れた。
そこにエディは加わる事なく、私やお母様と一緒に冷ややかな視線を向ける。
「王都からは一週間かかるから、到着も一週間後と思っていれば良いわ」
「一週間!」
あと一週間で生のノエル様に会えるのか!
ドキドキが止まらない! あまりの鼓動に心臓が飛び出しそうだ。
もはやストーリーが違うとか、どうでも良いや。ノエル様は今を生きているのだから!
ノエル様に好きな人が出来たら別れれば良いだけ! それまでは衣食住にも困らせない!
推しの為なら頑張れる女だ、私は! 残業どんとこい! 社畜万歳!
死ぬ運命を変えられたなら良し!
そしてこれからは私が守るんだ!
「ご馳走の準備を……あ! 家が居るのか!」
覚悟を決めて、ふと思い出した。
これから平民として生きていかなくてはいけない事に。
430
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ
夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」
華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!
婚約破棄されて去ったら、私がいなくても世界は回り始めました
鷹 綾
恋愛
「君との婚約は破棄する。聖女フロンこそが、真に王国を導く存在だ」
王太子アントナン・ドームにそう告げられ、
公爵令嬢エミー・マイセンは、王都を去った。
彼女が担ってきたのは、判断、調整、責任――
国が回るために必要なすべて。
だが、それは「有能」ではなく、「依存」だった。
隣国へ渡ったエミーは、
一人で背負わない仕組みを選び、
名前が残らない判断の在り方を築いていく。
一方、彼女を失った王都は混乱し、
やがて気づく――
必要だったのは彼女ではなく、
彼女が手放そうとしていた“仕組み”だったのだと。
偽聖女フロンの化けの皮が剥がれ、
王太子アントナンは、
「決めた後に立ち続ける重さ」と向き合い始める。
だが、もうエミーは戻らない。
これは、
捨てられた令嬢が復讐する物語ではない。
溺愛で救われる物語でもない。
「いなくても回る世界」を完成させた女性と、
彼女を必要としなくなった国の、
静かで誇り高い別れの物語。
英雄が消えても、世界は続いていく――
アルファポリス女子読者向け
〈静かな婚約破棄ざまぁ〉×〈大人の再生譚〉。
魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。
このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる!
それは、悪役教授ネクロセフ。
顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。
「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」
……のはずが。
「夢小説とは何だ?」
「殿下、私の夢小説を読まないでください!」
完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。
破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ!
小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
『選ばれなかった令嬢は、世界の外で静かに微笑む』
ふわふわ
恋愛
婚約者エステランス・ショウシユウに一方的な婚約破棄を告げられ、
偽ヒロイン・エア・ソフィアの引き立て役として切り捨てられた令嬢
シャウ・エッセン。
「君はもう必要ない」
そう言われた瞬間、彼女は絶望しなかった。
――なぜなら、その言葉は“自由”の始まりだったから。
王宮の表舞台から退き、誰にも選ばれない立場を自ら選んだシャウ。
だが皮肉なことに、彼女が去った後の世界は、少しずつ歪みを正し始める。
奇跡に頼らず、誰かを神格化せず、
一人に負担を押し付けない仕組みへ――
それは、彼女がかつて静かに築き、手放した「考え方」そのものだった。
元婚約者はようやく理解し、
偽ヒロインは役割を降り、
世界は「彼女がいなくても回る場所」へと変わっていく。
復讐も断罪もない。
あるのは、物語の中心から降りるという、最も静かな“ざまぁ”。
これは、
選ばれなかった令嬢が、
誰の期待にも縛られず、
名もなき日々を生きることを選ぶ物語。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる