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「お待たせ致しました」
ノエル様にエスコートされ、不機嫌な表情を隠す事なくやってきた王女殿下は、私達の方を見る事なく建前的に言葉を発すると、自分の為に用意された席へと着いた。
そしてノエル様は、何故か王女殿下の後ろに立っている。その顔は暗く、疲れ切っているかのようで、更にはやつれている。
たった数日だというのに、一体何があったのか。
私達家族皆が一瞬呆然としたが、すぐにお父様が頭を切り替えた。
「ノエル殿。席へ着かないのか?」
「いえ、私は……」
「平民が同じ席に? あら嫌だ。そこにも平民が座っているじゃない。何を考えているの?」
王女殿下は、私の方へ扇を向けると、心底嫌そうに顔を歪めた。
あぁ、そういえば平民落ちしたんだっけ。爵位ないからね。
すっかり忘れていたけれど。
「ここは! マリアック辺境伯!」
「お気に召さないのであれば王城へとお帰り下さい!」
「義兄上。お座り下さい」
「ここにはここのルールというものがあるのを、ご存知ですか?」
王女殿下の言葉に、私大好きな家族達は一気に頭へ血が上ったようで、怒りを隠す事無く物申した。
「な……何よ!」
「王女殿下。ソフィア嬢は娘です。よその家族に口出しするなんて、はしたない事ですよ」
軽蔑を含めた冷たい目で見られ、たじろいだ王女殿下だが、次に冷たい目と言葉を放ったのはノエル様だった。
王女に生まれたという事から、ちやほやもてはやされただろうが、こんな冷たい目に囲まれた事はないだろう。
ちょっと同情してしまうが、自業自得すぎる。
けれど、さすが王女殿下というだけあろうか。狼狽えたのは最初だけで、すぐに強気を取り戻して此方を睨みつけてきた。
「貴族らしさを教えているだけだわ」
「この晩餐では、いつまで滞在するのか尋ねたかったのですが……我が娘を愚弄するのであれば、今すぐ王都へお戻りくださって結構」
お父様の言葉に王女殿下の護衛騎士が剣に手をかけようとするが、お父様が威圧たっぷりに睨みつけると、動きを止めた。
本能的に勝てないと踏んだのだろうか。
そりゃこちらは魔物の森で毎日のように魔物を食して……否、狩って……いやいや、戦っているのだ。
王都の形だけの訓練をしている騎士とは比べ物にはならないだろう。
「私はノエルを連れ戻しに来たの。ノエルが一緒ではないと帰りません!」
「……は……?」
いきなり落とされた爆弾的な発言に、私は素の声をあげてしまった。
はしたないとばかりにお母様が私の方へと鋭い視線を向けたけれど、お父様やお兄様、それにエディまでポカンと大きな口をあけている。
ノエル様にエスコートされ、不機嫌な表情を隠す事なくやってきた王女殿下は、私達の方を見る事なく建前的に言葉を発すると、自分の為に用意された席へと着いた。
そしてノエル様は、何故か王女殿下の後ろに立っている。その顔は暗く、疲れ切っているかのようで、更にはやつれている。
たった数日だというのに、一体何があったのか。
私達家族皆が一瞬呆然としたが、すぐにお父様が頭を切り替えた。
「ノエル殿。席へ着かないのか?」
「いえ、私は……」
「平民が同じ席に? あら嫌だ。そこにも平民が座っているじゃない。何を考えているの?」
王女殿下は、私の方へ扇を向けると、心底嫌そうに顔を歪めた。
あぁ、そういえば平民落ちしたんだっけ。爵位ないからね。
すっかり忘れていたけれど。
「ここは! マリアック辺境伯!」
「お気に召さないのであれば王城へとお帰り下さい!」
「義兄上。お座り下さい」
「ここにはここのルールというものがあるのを、ご存知ですか?」
王女殿下の言葉に、私大好きな家族達は一気に頭へ血が上ったようで、怒りを隠す事無く物申した。
「な……何よ!」
「王女殿下。ソフィア嬢は娘です。よその家族に口出しするなんて、はしたない事ですよ」
軽蔑を含めた冷たい目で見られ、たじろいだ王女殿下だが、次に冷たい目と言葉を放ったのはノエル様だった。
王女に生まれたという事から、ちやほやもてはやされただろうが、こんな冷たい目に囲まれた事はないだろう。
ちょっと同情してしまうが、自業自得すぎる。
けれど、さすが王女殿下というだけあろうか。狼狽えたのは最初だけで、すぐに強気を取り戻して此方を睨みつけてきた。
「貴族らしさを教えているだけだわ」
「この晩餐では、いつまで滞在するのか尋ねたかったのですが……我が娘を愚弄するのであれば、今すぐ王都へお戻りくださって結構」
お父様の言葉に王女殿下の護衛騎士が剣に手をかけようとするが、お父様が威圧たっぷりに睨みつけると、動きを止めた。
本能的に勝てないと踏んだのだろうか。
そりゃこちらは魔物の森で毎日のように魔物を食して……否、狩って……いやいや、戦っているのだ。
王都の形だけの訓練をしている騎士とは比べ物にはならないだろう。
「私はノエルを連れ戻しに来たの。ノエルが一緒ではないと帰りません!」
「……は……?」
いきなり落とされた爆弾的な発言に、私は素の声をあげてしまった。
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