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ホセは愛おしい目をしてペンダントを見つめ、出会った時の事を思い出していた。
このペンダントは、ホセが出会った時に贈ったものだ。
――俺の命の恩人。
――何よりも愛おしい人。
自分の妃になって欲しいと思った人に贈った、大切な証。
「君を虐げていたものは、もう居ない。存分に才能を発揮しても良いんだよ」
ペンダントに口づけながらホセは言うが、その言葉にパウラは引きつった表情を浮かべた。
……どうあがいても王妃の仕事をやらせようというのか、と。
「で……でも、ホセ様! 私はこんな状態ですし……」
「今すぐでなくても良い。パウラが王妃となったのだから、今以上に国は良くなるだろう」
「し……しかし! あ、そうです! 姉を……姉を探して下さい! 私がこんな状態ですし、今までも姉は私の案を奪って執務をしておりましたわ! やり方は理解していらっしゃるのですもの! ずっと仕えてもらえば良いのです!」
パウラの言葉に、ホセは怪訝な表情を浮かべて顔を上げた。
「パウラ、君がアイツに虐げられていた事を思えば、そんな事は許せる筈がない。大体、アイツの痕跡すら嫌だと言ったのはパウラだろう?」
そう、パウラはずっとラウラに虐げられていたと言っていた。
ホセに思いを寄せられた嫉妬から婚約を奪い、更には両親の目を盗んで暴力まで振るわれていたそうだ。
「そうですけれど、ホセ様はちゃんと分かってくれていますし、閉じ込めて執務だけ任せてしまえば良いと思うのです……私も自分の体調が大事ですけれど、民の事も心配ですもの……」
パウラは目に涙を浮かべながら、ホセを見上げて懇願する。
……確かに、パウラが指示と案を出して、後はラウラがやってしまえば良い話ではある。
世継ぎを無事に産むまで……否、産んだ後も面倒事は全てラウラに押し付けるのもありか。
部屋は貴族牢辺りで良いだろう。
そこまで考えて、ホセは頷いた。ラウラを閉じ込めて、パウラと物理的に会えないようにしてしまえば良いだけだ。
「それもそうだな。探すように伝える」
「ありがとうございます! ホセ様!」
パウラはホセに抱き着き、そしてそのまま二人はシーツの中へと潜り込む。
お互いの体温を感じながら……。
◇◆◇
国中がお祝いモードとなる、王太子の婚姻式。
十六にして、ホセとラウラの婚姻は結ばれたのだが、ホセは終始不機嫌な顔を崩す事はなかった。
折角の祝い事、国王と王妃も息子の態度に言いたい事はあったが、水を差すような事も出来ず、ただ静観した。
……それは参列した貴族達も同じで、ただならぬ様子に一抹の不安が芽生えていた。
このペンダントは、ホセが出会った時に贈ったものだ。
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「今すぐでなくても良い。パウラが王妃となったのだから、今以上に国は良くなるだろう」
「し……しかし! あ、そうです! 姉を……姉を探して下さい! 私がこんな状態ですし、今までも姉は私の案を奪って執務をしておりましたわ! やり方は理解していらっしゃるのですもの! ずっと仕えてもらえば良いのです!」
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「パウラ、君がアイツに虐げられていた事を思えば、そんな事は許せる筈がない。大体、アイツの痕跡すら嫌だと言ったのはパウラだろう?」
そう、パウラはずっとラウラに虐げられていたと言っていた。
ホセに思いを寄せられた嫉妬から婚約を奪い、更には両親の目を盗んで暴力まで振るわれていたそうだ。
「そうですけれど、ホセ様はちゃんと分かってくれていますし、閉じ込めて執務だけ任せてしまえば良いと思うのです……私も自分の体調が大事ですけれど、民の事も心配ですもの……」
パウラは目に涙を浮かべながら、ホセを見上げて懇願する。
……確かに、パウラが指示と案を出して、後はラウラがやってしまえば良い話ではある。
世継ぎを無事に産むまで……否、産んだ後も面倒事は全てラウラに押し付けるのもありか。
部屋は貴族牢辺りで良いだろう。
そこまで考えて、ホセは頷いた。ラウラを閉じ込めて、パウラと物理的に会えないようにしてしまえば良いだけだ。
「それもそうだな。探すように伝える」
「ありがとうございます! ホセ様!」
パウラはホセに抱き着き、そしてそのまま二人はシーツの中へと潜り込む。
お互いの体温を感じながら……。
◇◆◇
国中がお祝いモードとなる、王太子の婚姻式。
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折角の祝い事、国王と王妃も息子の態度に言いたい事はあったが、水を差すような事も出来ず、ただ静観した。
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