【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり

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「全て嘘か!!」

 そう怒鳴りはするものの、溺れているパウラを睨みつけて動かないホセ。
 どんどん沈みゆくパウラを見て、周囲の人達が助け始めた。

「はははは! はははははは!!」

 溺れているパウラ……そして助け出されたとしても苦しそうに咳き込むパウラを見て、ホセはただ笑い続ける。
 そんな異様さに……ホセの狂う様子に、周囲の人達は息を呑んだ。
 だけど、ただ一人。パウラだけはホセに噛みつく。

「ふざけないで! たった一年で誰か分からなくなってたのは誰だよ! 私のせいだけじゃないわ!!」

 パウラの言葉に、ホセの笑い声がピタリと止まる。
 被っていた猫もどこへやら。可愛さなんて微塵もなく、パウラは醜く歪めた顔でホセを罵った。

「お前の愛なんて、その程度なのよ! 被害者ぶってんじゃないわよ!」

 そうだ。その通りだ。
 ラウラに出会ってから一年後、パウラに出会い騙された。
 ペンダントに重きを置きすぎて、少女の姿など曖昧だったのだろう。
 勇敢さに心惹かれたと言うのに……それこそ見ていなかったのだろう。
 ただ、過去の出来事に浮かれていただけで。思い出を美化しすぎていただけで。

「は……はははっ」

 ホセの乾いた笑いが回りの空気を支配する。
 ゾッとするような、殺気を含んだような雰囲気に、周囲の人はただ足を竦ませた。

「……王太子妃の物を私物化し王族を騙す方が不敬だろう」

 低く地を這うような、怒りに満ちた声。
 パウラはそこまで言われて初めて、自分がどれだけの事をしたのか実感して震えた。

「あ……」

 一族郎党処刑か。でも、もう自分は王妃だ。
 ラウラの冤罪に関してはホセも同罪となる。
 でも……。
 まさか……。

「痛っ!」

 青ざめ震えるパウラに、お腹の痛みが走り、足を血が伝う。
 周囲の人が驚き呼びかけるけれど、パウラは痛みと恐怖の間で戦っていて、全く耳に届いていなかったし自分の現状にも気が付けておらず、ただ恐怖に竦んでいた。
 そしてホセは……怒りを含んだ瞳から涙を流し、乾いた笑いを零しながら……帰って行ったのだった。




「……ラウラ……ラウラ!?」

 ホセは、縋るようにラウラの墓へとやってきた。
 否、墓と呼ぶにも甚だしい、王都の外にある荒地で、ラウラの遺体はそこに捨てるように埋めろと命令を下しただけだ。
 ホセが訪れるのも初めてと言って良いだろうし、誰かに口外したわけでもない。遺体の処理を頼んだのも、孤児に金貨を渡して言っただけだ。

「どうして……ラウラ!?」

 なのに、どうしてかラウラの遺体を埋めただろう場所が掘り起こされていた。
 否、場所は的確には分からないが、他の所には真新しい土もなく、近しく掘られた事もないのだ。
 ならば確実に此処で……子どもが堀った程度の浅い位置で、ラウラ一人が入るくらいの大きさの穴なのだから。
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