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『ルイス! どうしてそんな事をするの!』
『だって俺はマリーの事が……』
『大事なお友達だと思っていたのに……!』

 ――マリー! マリー!!

 手に入れる事が出来ないのであれば、いっそ……。

『うわぁああああ!!』





「だめ……だめよ、ルイス……」
「……はい……」
「え?」

 ルイスの声がすぐ側で聞こえた気がして、私の意識がハッキリと浮上すれば、目の前に居るのは五歳児のルイスだ。
 何故か自分のベッドで寝ていて、ベッドの隣に椅子を置いてルイスが座っているのは、この際どうでも良い。

「レアスチル!!」

 ただ幼いルイスが、そこにいる。
 私はただそれだけの感動に打ちひしがれた。

「れあすちる……?」

 戸惑い、口元が引きつっているルイスは、私の言った意味をなさない言葉に首を傾げる。
 それは、今までの大人達のように、幻覚幻聴の類を持つヤバい奴を見る目のようで……。

「それもご褒美です」
「お嬢様! 目を覚まされたのですね!」

 小さな声で呟き、シーツの下で小さくガッツポーズをしていれば、私に気が付いた専属侍女のコランが大声を張り上げ、部屋から飛び出して行った。

「……え?」

 ただ目を覚ましただけで、何をそんな驚いているのだろうと思えば、すぐに何人かの足音が部屋へ向かって駆けてくるのが聞こえる。

「ミア!?」
「良かった! 目を覚ましたのね!」

 ノックもなく部屋へと雪崩込んできたのは両親で、その後ろにはコランが涙を流しながら戻って来た。

「お父様……? お母様……?」

 今にも涙しそうなお父様と、既に涙を浮かべているお母様を前に、一体何がどうなっているのか分からない私は、ただ首を傾げる。

「身体は!? 大丈夫なの!?」

 お母様はルイスを押しのけ、私の側へ来ると、しっかりと私の手を握って顔を覗き込んでくる。

「医師を呼べ! 早く!」

 お父様はコランに指示を出し、コランは慌てて、また部屋から出ていく。

「何をそんな……」

 ただ、私が目を覚ましたというだけで、どうして医師を呼ぶ必要があるのか。
 むしろ呼ばれては困る。
 推しが、ルイスが目の前にいるのだ。この動機を止められる自信なぞ皆無だ。そのせいで誤診なんて事になっては面倒極まりない。

「あなた、三日も眠り続けていたのよ!?」
「三日!?」

 そんなにも眠り続けていた事に、私自身も驚いた。それだけ寝ていたら身体の節々が痛くてもおかしくないのに、それがないのは若さのおかげか。

「しかもルイスの名前を呼んで……ずっとルイスは側に居てくれたんだよ……」

 お父様の声に、少し恥ずかしそうに……そして申し訳なさそうな顔でルイスは俯いたのだけれど、目の下に隈があるのをしっかりと見つけてしまった。
 私の推しが! やつれている!
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