23 / 83
23
しおりを挟む
しかし、そうも言ってられない現実があるのだ。
馬車の中で存分にルイスの香りを堪能していれば、いつの間にか学院へと到着するわけで。
――何とかルイスとヒロインを接触させなければ!
学院のクラス分けは、上位貴族と下位貴族で分けられる。
おかげでヒロインは、ルイスや攻略対象達と同じクラスになる事はない。だからこそ、合間時間を駆使してイベントをこなして積極的に会わないといけないのだ。
そう。昨日の出会いイベントを挽回する為にも、ルイスには積極的に教室の外へ出て、ヒロインと会ってイベントをこなしてもらう!
と、意気込んでいたのに……。
「義姉上、次は移動教室ですね」
「義姉上、授業の見直しをしませんか?」
「義姉上、食堂に行きましょう」
これだ。
「あの……ルイス……私にずっと付いてなくても。自由に動いて良いんだよ?」
休憩時間の度に私の所に来て、ずっとくっ付いて居るのだ。
こんな事をしていれば、ヒロインと出会えないままではないか!
私はそれとなくヒロインの元へ行けるように声をかけるのだが、ルイスは悲しそうな顔をして私の顔を覗き込んできた。
「俺が一緒に居たくて居るのですが? 迷惑ですか?」
ふと鼻腔に流れ込むルイスの香り。
「迷惑ではありません!」
むしろ、ご褒美です! ごちそうさまです!
ルイスの手を取り、食堂までエスコートされるのだが、距離が近ければ香りはしっかりと私に届くわけで。
うん、素晴らしい。
食堂で料理の匂いと混合されても、ルイスの匂いはしっかり分かるよ! むしろ匂いを覚えたよ!
「ランチを取ってきますね」
窓際の良い席に座らされ、ルイスは昼食を取りに行ってくれた。
ここの食堂はランチの種類を選べないのかー。なんて思っていれば背筋にゾクリと冷たいものが走り、周囲をキョロキョロ見渡せば、そこには鋭い目線で睨みつけるヒロインが居た。
……え? まさかここに座りたかったとか?
でも、この場を離れたらルイスが私を探しそうだよなぁ。ルイスが迷子になっても困る。
ヒロインには申し訳ないけれど、ルイスの為に気が付かなかったという事で……と視線を反らす。だけれど、視界の隅でヒロインがギリッと歯を噛みしめ、こちらを更に睨んで表情が歪んでいくのが見えた。
ヒロインの! ヒロインの可愛い顔が! 般若です!
攻略対象者達の好感度が下がりますよー!?
「あの女……」
低く呟く声が耳に届き、私は顔をあげた。
声だけで私は分かる。
「ルイス」
「義姉上、どうぞ」
机の上にランチが乗せられた時、チラリとヒロインが居た方向へと視線を向ければ、そこにもうヒロインの姿はなかった。
馬車の中で存分にルイスの香りを堪能していれば、いつの間にか学院へと到着するわけで。
――何とかルイスとヒロインを接触させなければ!
学院のクラス分けは、上位貴族と下位貴族で分けられる。
おかげでヒロインは、ルイスや攻略対象達と同じクラスになる事はない。だからこそ、合間時間を駆使してイベントをこなして積極的に会わないといけないのだ。
そう。昨日の出会いイベントを挽回する為にも、ルイスには積極的に教室の外へ出て、ヒロインと会ってイベントをこなしてもらう!
と、意気込んでいたのに……。
「義姉上、次は移動教室ですね」
「義姉上、授業の見直しをしませんか?」
「義姉上、食堂に行きましょう」
これだ。
「あの……ルイス……私にずっと付いてなくても。自由に動いて良いんだよ?」
休憩時間の度に私の所に来て、ずっとくっ付いて居るのだ。
こんな事をしていれば、ヒロインと出会えないままではないか!
私はそれとなくヒロインの元へ行けるように声をかけるのだが、ルイスは悲しそうな顔をして私の顔を覗き込んできた。
「俺が一緒に居たくて居るのですが? 迷惑ですか?」
ふと鼻腔に流れ込むルイスの香り。
「迷惑ではありません!」
むしろ、ご褒美です! ごちそうさまです!
ルイスの手を取り、食堂までエスコートされるのだが、距離が近ければ香りはしっかりと私に届くわけで。
うん、素晴らしい。
食堂で料理の匂いと混合されても、ルイスの匂いはしっかり分かるよ! むしろ匂いを覚えたよ!
「ランチを取ってきますね」
窓際の良い席に座らされ、ルイスは昼食を取りに行ってくれた。
ここの食堂はランチの種類を選べないのかー。なんて思っていれば背筋にゾクリと冷たいものが走り、周囲をキョロキョロ見渡せば、そこには鋭い目線で睨みつけるヒロインが居た。
……え? まさかここに座りたかったとか?
でも、この場を離れたらルイスが私を探しそうだよなぁ。ルイスが迷子になっても困る。
ヒロインには申し訳ないけれど、ルイスの為に気が付かなかったという事で……と視線を反らす。だけれど、視界の隅でヒロインがギリッと歯を噛みしめ、こちらを更に睨んで表情が歪んでいくのが見えた。
ヒロインの! ヒロインの可愛い顔が! 般若です!
攻略対象者達の好感度が下がりますよー!?
「あの女……」
低く呟く声が耳に届き、私は顔をあげた。
声だけで私は分かる。
「ルイス」
「義姉上、どうぞ」
机の上にランチが乗せられた時、チラリとヒロインが居た方向へと視線を向ければ、そこにもうヒロインの姿はなかった。
1,136
あなたにおすすめの小説
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
(完)婚約破棄された私は・・・・・・なんですけれど
青空一夏
恋愛
魔女の末裔が建国したといわれるアイザアス国では、女性は17歳でなにがしかの魔法の力に目覚める。クリスティアーナ・コーディ伯爵令嬢は特にその容姿と家柄で最強の魔女の力が目覚めると期待されていた。しかし双子の妹は火属性の魔力に目覚めたのに、クリスティアーナはなんの魔力もないと判定されたのだった。
それが原因で婚約破棄されたクリスティアーナは・・・・・・
ゆるふわ設定ご都合主義。
悪役令嬢は自称親友の令嬢に婚約者を取られ、予定どおり無事に婚約破棄されることに成功しましたが、そのあとのことは考えてませんでした
みゅー
恋愛
婚約者のエーリクと共に招待された舞踏会、公の場に二人で参加するのは初めてだったオルヘルスは、緊張しながらその場へ臨んだ。
会場に入ると前方にいた幼馴染みのアリネアと目が合った。すると、彼女は突然泣き出しそんな彼女にあろうことか婚約者のエーリクが駆け寄る。
そんな二人に注目が集まるなか、エーリクは突然オルヘルスに婚約破棄を言い渡す……。
【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない
miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。
断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。
家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。
いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。
「僕の心は君だけの物だ」
あれ? どうしてこうなった!?
※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。
※ご都合主義の展開があるかもです。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。
【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
【完結】勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい ~婚約者契約は円満に終了しました
九條葉月
恋愛
【ジャンル1位獲得!】
【HOTランキング1位獲得!】
とある公爵との契約(婚約者関係)を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。
順調に準備を進めていると、契約を終えたはずの公爵様や王太子殿下たちがなぜか次々とお店にやって来て――!?
つかぬことを伺いますが ~伯爵令嬢には当て馬されてる時間はない~
有沢楓花
恋愛
「フランシス、俺はお前との婚約を解消したい!」
魔法学院の大学・魔法医学部に通う伯爵家の令嬢フランシスは、幼馴染で侯爵家の婚約者・ヘクターの度重なるストーキング行為に悩まされていた。
「真実の愛」を実らせるためとかで、高等部時代から度々「恋のスパイス」として当て馬にされてきたのだ。
静かに学生生活を送りたいのに、待ち伏せに尾行、濡れ衣、目の前でのいちゃいちゃ。
忍耐の限界を迎えたフランシスは、ついに反撃に出る。
「本気で婚約解消してくださらないなら、次は法廷でお会いしましょう!」
そして法学部のモブ系男子・レイモンドに、つきまといの証拠を集めて婚約解消をしたいと相談したのだが。
「高貴な血筋なし、特殊設定なし、成績優秀、理想的ですね。……ということで、結婚していただけませんか?」
「……ちょっと意味が分からないんだけど」
しかし、フランシスが医学の道を選んだのは濡れ衣を晴らしたり証拠を集めるためでもあったように、法学部を選び検事を目指していたレイモンドにもまた、特殊設定でなくとも、人には言えない事情があって……。
※次作『つかぬことを伺いますが ~絵画の乙女は炎上しました~』(8/3公開予定)はミステリー+恋愛となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる