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入学して一週間。
未だにルイスとヒロインの接触はない。
そして、柱や木の陰に隠れているのだろうヒロインは、ずっと私の事を睨み続けている……のだけれど。
「うぅう……勿体ない……」
「完食していますよ?」
「そうだけど、そうじゃない」
それ以上に重大な問題が私に直面しているのだ。
「? 残されてはいないようですが……片付けてきますね?」
「うぅう……はい……」
首を傾げて不思議そうに言ったルイスの……推しの言葉に否と言えない私よ!
ただ下げられていく食器を名残惜しそうに見送った。
――ルイスの使用済み食器。
邸のはルイス個人のだから、無くなったら不便だし、ルイスしか使わないのだからと思っていたのだけれど! ここでは違う!
皆が共通の食器を使うのだ。勿論洗ってはいるけれど、次の日に誰が使うか分からないのだ羨ましぃいい!
そんなのだったら、私が貰っても良いよね!? 良いんじゃないかな!? という誘惑に毎食後惑わされる。
既にルイスがカフェ等で飲食した場合、私はこっそり食器を高額で買い取ってコレクションしているのだ。……お母様にバレた時はドン引きされたけれど。
推しが! リアルに! 使用したもの!
それは宝以外に何だというのだ! 別に舐め回したりしていないのに!
まさにゲテモノを見るようなお母様の目が忘れられないけれど、仕方ないというものだ。
「……義姉上? 大丈夫ですか?」
「……大丈夫……」
いつの間にか戻って来たルイスの手に、使用済み食器はないわけで……これを卒業まで耐えろというのか。
「次の授業は男女別なので心配です……くれぐれも! 気を付けて下さいね?」
「優しいルイス尊い……」
私はこんなに邪なのに。
ルイスの優しさで浄化されていくような感覚を得ながらも、チラリとルイスの視線が逸れた事に気が付き、その視線の先を見れば、ヒロインがこちらに睨むような視線を向けていた。
あれ? ルイスは、もうヒロインの事が気になっている? まだ出会っていなさそうだったのに?
あれだけ目立つピンク頭に、可愛い顔立ちならば、それだけ印象に残ったというのもあるのかもしれない。
「……クソが……」
ボソリと低く暴言を吐いただろうルイスに視線を戻すが、そこにあるのはいつものルイスだった。
「俺はもう行きますけど、無理そうならば休んでいてくださいね」
先ほどの声は幻聴だったのだろうかと思える優しい声。
食堂でルイスと別れて、私は自分が受ける授業の教室へと向かう。次は男女別の授業なので、高位貴族と下位貴族のクラス合同で行われるのだ。
未だにルイスとヒロインの接触はない。
そして、柱や木の陰に隠れているのだろうヒロインは、ずっと私の事を睨み続けている……のだけれど。
「うぅう……勿体ない……」
「完食していますよ?」
「そうだけど、そうじゃない」
それ以上に重大な問題が私に直面しているのだ。
「? 残されてはいないようですが……片付けてきますね?」
「うぅう……はい……」
首を傾げて不思議そうに言ったルイスの……推しの言葉に否と言えない私よ!
ただ下げられていく食器を名残惜しそうに見送った。
――ルイスの使用済み食器。
邸のはルイス個人のだから、無くなったら不便だし、ルイスしか使わないのだからと思っていたのだけれど! ここでは違う!
皆が共通の食器を使うのだ。勿論洗ってはいるけれど、次の日に誰が使うか分からないのだ羨ましぃいい!
そんなのだったら、私が貰っても良いよね!? 良いんじゃないかな!? という誘惑に毎食後惑わされる。
既にルイスがカフェ等で飲食した場合、私はこっそり食器を高額で買い取ってコレクションしているのだ。……お母様にバレた時はドン引きされたけれど。
推しが! リアルに! 使用したもの!
それは宝以外に何だというのだ! 別に舐め回したりしていないのに!
まさにゲテモノを見るようなお母様の目が忘れられないけれど、仕方ないというものだ。
「……義姉上? 大丈夫ですか?」
「……大丈夫……」
いつの間にか戻って来たルイスの手に、使用済み食器はないわけで……これを卒業まで耐えろというのか。
「次の授業は男女別なので心配です……くれぐれも! 気を付けて下さいね?」
「優しいルイス尊い……」
私はこんなに邪なのに。
ルイスの優しさで浄化されていくような感覚を得ながらも、チラリとルイスの視線が逸れた事に気が付き、その視線の先を見れば、ヒロインがこちらに睨むような視線を向けていた。
あれ? ルイスは、もうヒロインの事が気になっている? まだ出会っていなさそうだったのに?
あれだけ目立つピンク頭に、可愛い顔立ちならば、それだけ印象に残ったというのもあるのかもしれない。
「……クソが……」
ボソリと低く暴言を吐いただろうルイスに視線を戻すが、そこにあるのはいつものルイスだった。
「俺はもう行きますけど、無理そうならば休んでいてくださいね」
先ほどの声は幻聴だったのだろうかと思える優しい声。
食堂でルイスと別れて、私は自分が受ける授業の教室へと向かう。次は男女別の授業なので、高位貴族と下位貴族のクラス合同で行われるのだ。
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