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『なんで作物が育たないんだ』
『育たないどころか、枯れていっている!』
国の至るところで嘆きの声が聞こえ、私は笑みを浮かべる。
まず、滅びへの序章として土地を枯らした。
食べるものがない苦しみを知れば良い。
何も買わせてもらえなかった、家族のように。食べる物がなくて餓死した、私の家族のように!
「もっと苦しめば良い」
聖獣は死んだ後、与えられた本来の役目を放棄したら、地獄に落ちたりするのだろうか。
それでも構わない。
絶対に苦しめてやると私は心に決めている。
だって、どう足掻いても、もう家族に会える事はないのだから。
「あぁ、そうだ。国を孤立させないと」
他の国から助けが来ても迷惑だ。
食物援助なんて要らない。
そう考え、私は天候を左右させて国を孤立させた。
この国へ通じる道に雷雨を、そして嵐を。商人なんて来なくて良い。
誰にも助けられない状態で、孤独のままに死ねば良いのだ……私の家族のように。
『この国は、もう駄目だ!』
『隣国へ逃げよう!』
『亡命するんだ!』
『この国は何かおかしいぞ!』
国境近くから、異変を感じて逃げようとする民の様子が頭に浮かぶ。
――逃がすものか。
逃げようとする民に獣をけしかけ、威嚇させる。
同じように国境を超える全ての道に、大きな獣を配置させた。
『ひぃい!』
『獣!?』
怯え、逃げる為に引き返す者。
勇敢にも立ち向かおうとする者。
『引き返したところで、生き延びる保証なんてないんだ!』
鍬を持ち、獣に立ち向かう者が居たけれど、決して獣は致命傷を与えない。
避けて、威嚇し、爪で引き裂く事はしても、その命までは奪わない。
「苦しめば良い」
獣で殺す事なんてしない。
せいぜい、死を伸ばされて苦しめば良いんだ。
すぐに楽にはさせてやらない。
――憎しみは募る。
自分の命だけは大事に守ろうとする民達に。
他者の命を簡単に奪うのに。蔑ろにするのに。
それに賛同して手を取り合うくせに!
他に国境を超える他の手段としては、崖の多い岩場や鬱蒼とした森だ。
この豪雨で岩場は崩れ落ちているし、森には他にも獣が沢山いる。そんな所に入るのは自殺行為でしかない。
崖から落ちた所で、ぬかるんだ地面で即死はしないように。森では獣に殺されず、ただ彷徨い続けるように。
豊穣の力を持つ聖女としての能力を……聖獣としての力全てを、呪いのように変え、国全体にまき散らす。
「私と家族は道具じゃない」
利用し、弄び、命すらも奪った。
だから、私も同じ事をするだけだ。
道具のように、玩具のように。
人間扱いなんてされていなかったのだから、私が人間扱いをする必要はない。
『育たないどころか、枯れていっている!』
国の至るところで嘆きの声が聞こえ、私は笑みを浮かべる。
まず、滅びへの序章として土地を枯らした。
食べるものがない苦しみを知れば良い。
何も買わせてもらえなかった、家族のように。食べる物がなくて餓死した、私の家族のように!
「もっと苦しめば良い」
聖獣は死んだ後、与えられた本来の役目を放棄したら、地獄に落ちたりするのだろうか。
それでも構わない。
絶対に苦しめてやると私は心に決めている。
だって、どう足掻いても、もう家族に会える事はないのだから。
「あぁ、そうだ。国を孤立させないと」
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『亡命するんだ!』
『この国は何かおかしいぞ!』
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――逃がすものか。
逃げようとする民に獣をけしかけ、威嚇させる。
同じように国境を超える全ての道に、大きな獣を配置させた。
『ひぃい!』
『獣!?』
怯え、逃げる為に引き返す者。
勇敢にも立ち向かおうとする者。
『引き返したところで、生き延びる保証なんてないんだ!』
鍬を持ち、獣に立ち向かう者が居たけれど、決して獣は致命傷を与えない。
避けて、威嚇し、爪で引き裂く事はしても、その命までは奪わない。
「苦しめば良い」
獣で殺す事なんてしない。
せいぜい、死を伸ばされて苦しめば良いんだ。
すぐに楽にはさせてやらない。
――憎しみは募る。
自分の命だけは大事に守ろうとする民達に。
他者の命を簡単に奪うのに。蔑ろにするのに。
それに賛同して手を取り合うくせに!
他に国境を超える他の手段としては、崖の多い岩場や鬱蒼とした森だ。
この豪雨で岩場は崩れ落ちているし、森には他にも獣が沢山いる。そんな所に入るのは自殺行為でしかない。
崖から落ちた所で、ぬかるんだ地面で即死はしないように。森では獣に殺されず、ただ彷徨い続けるように。
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「私と家族は道具じゃない」
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だから、私も同じ事をするだけだ。
道具のように、玩具のように。
人間扱いなんてされていなかったのだから、私が人間扱いをする必要はない。
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