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04.部屋から出られません
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いつもの習慣、いつも当たり前として行う事。それはもう無意識の中でやっている事で……。
スカッ。
ドアノブに手をかけた時、俺の手はそれを掴む事すら出来ず、宙を舞った。
「はは……」
自嘲気味な笑みが漏れる。
こんな所でも自分が幽霊なんだと忘れるなと言われているように感じて、肩を落とした。もう、ため息すら出ない。そんな気力すら湧かない。
このまま扉をすり抜けるか。なんて、変な思考回路が生まれる。
いや、変ではないのか?幽霊なら当たり前なのか?
そんな意味不明な事を考えつつ、もしかしたらぶつかるかもと思わず目を瞑りながら扉に向かうと、寸前で何かに引っ張られる感覚がした。
「?」
それ以上足を踏み出そうとしても、引き戻される感覚に、眉間に皺を寄せて考える。
……考えても分からないけれど。ぶつかるかもしれない覚悟を返せ。
これ以上進まないのならばと部屋に引き返し、ツボのような物に触れようとすれば、見事に通り抜ける。落ちなくて良かった、と心のどこかで安堵しつつ、落ちてくれたら誰か自分の存在に気が付いてくれたかもしれないのにという悲しみが覆う。
もしかして、と一縷の望みをかけて男二人の肩に手をかけても、見事にすり抜けるだけだ。
「仕方ないだろ」
気が付いてもらえないからと言って、状況が変わるわけでもないし、ここにいつまでも居るというのも何か嫌だった。
扉だから開けないと出られないとか?そんな変な仕様が幽霊にあるのか?
周囲をもう一度見回すと、大きな窓が見えた。その先はバルコニーに繋がっているようだ。
「ドアも無理なら窓は……?」
窓に近づき手をかけると、見事にすり抜けてバルコニーに出る事が出来た。
「おぉ……お?」
感動の後に、思わず疑問が溢れる。
扉だけが通り抜けられない理由は何なのだろうか。
「まぁ良いか」
飛べるか試す度胸は死んでいるからと言って、ない。むしろ落ちて死んだのだ。あんな浮遊感もう二度とごめんではある。……まぁ浮いてるけど。浮けるけど。
バルコニーの先は絶景かな、どれだけの高さにある部屋なのかと思える程だ。
ちょっと下を覗いてみようとバルコニーの端に行こうとしたら……。
「ん?」
また、引っ張られる感覚がして、それ以上進めず、俺は眉間に皺をよせる。
どれだけ手足を動かしても、ふんばっても、それ以上歩みを進める事が出来ないのだ。むしろ力を入れれば入れる程、戻れと言わんばかりに引き寄せられる感覚が強くなる。
「おい!いつまで居る!」
「しかし……私は殿下の……っ!」
「愛されているとでも思っているのか!?」
中では、まだ怒鳴りあっているのだろう。
うわ~修羅場嫌だなーと思いながら振り向くと、一人責められている女が悔しそうな……しかしどこか悲痛を帯びた顔をしている。
本当に見た事ある顔だけど、悪役令嬢っぽくない容姿だよなと、近くに寄って眺めていると、ポツリと小さく呟いた。
「……シナリオが……」
スカッ。
ドアノブに手をかけた時、俺の手はそれを掴む事すら出来ず、宙を舞った。
「はは……」
自嘲気味な笑みが漏れる。
こんな所でも自分が幽霊なんだと忘れるなと言われているように感じて、肩を落とした。もう、ため息すら出ない。そんな気力すら湧かない。
このまま扉をすり抜けるか。なんて、変な思考回路が生まれる。
いや、変ではないのか?幽霊なら当たり前なのか?
そんな意味不明な事を考えつつ、もしかしたらぶつかるかもと思わず目を瞑りながら扉に向かうと、寸前で何かに引っ張られる感覚がした。
「?」
それ以上足を踏み出そうとしても、引き戻される感覚に、眉間に皺を寄せて考える。
……考えても分からないけれど。ぶつかるかもしれない覚悟を返せ。
これ以上進まないのならばと部屋に引き返し、ツボのような物に触れようとすれば、見事に通り抜ける。落ちなくて良かった、と心のどこかで安堵しつつ、落ちてくれたら誰か自分の存在に気が付いてくれたかもしれないのにという悲しみが覆う。
もしかして、と一縷の望みをかけて男二人の肩に手をかけても、見事にすり抜けるだけだ。
「仕方ないだろ」
気が付いてもらえないからと言って、状況が変わるわけでもないし、ここにいつまでも居るというのも何か嫌だった。
扉だから開けないと出られないとか?そんな変な仕様が幽霊にあるのか?
周囲をもう一度見回すと、大きな窓が見えた。その先はバルコニーに繋がっているようだ。
「ドアも無理なら窓は……?」
窓に近づき手をかけると、見事にすり抜けてバルコニーに出る事が出来た。
「おぉ……お?」
感動の後に、思わず疑問が溢れる。
扉だけが通り抜けられない理由は何なのだろうか。
「まぁ良いか」
飛べるか試す度胸は死んでいるからと言って、ない。むしろ落ちて死んだのだ。あんな浮遊感もう二度とごめんではある。……まぁ浮いてるけど。浮けるけど。
バルコニーの先は絶景かな、どれだけの高さにある部屋なのかと思える程だ。
ちょっと下を覗いてみようとバルコニーの端に行こうとしたら……。
「ん?」
また、引っ張られる感覚がして、それ以上進めず、俺は眉間に皺をよせる。
どれだけ手足を動かしても、ふんばっても、それ以上歩みを進める事が出来ないのだ。むしろ力を入れれば入れる程、戻れと言わんばかりに引き寄せられる感覚が強くなる。
「おい!いつまで居る!」
「しかし……私は殿下の……っ!」
「愛されているとでも思っているのか!?」
中では、まだ怒鳴りあっているのだろう。
うわ~修羅場嫌だなーと思いながら振り向くと、一人責められている女が悔しそうな……しかしどこか悲痛を帯びた顔をしている。
本当に見た事ある顔だけど、悪役令嬢っぽくない容姿だよなと、近くに寄って眺めていると、ポツリと小さく呟いた。
「……シナリオが……」
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