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51.一緒の身体は不便です
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「少しおやすみ下さい。胃に優しいものも用意させましょう」
従者の声に王子は頷き、起きたら話そうと伝えてきた。
確かに昏睡状態というか……ずっと寝ていたのだから体調がまだ完全ではない。それでも最低限の指示は飛ばし、アニスを追い詰める段取りだけは起きてすぐに全て行った辺り、王族なんだろう。
さすが英才教育。そんなものと縁もない俺的には、感嘆の声を上げる以外ない。
王子の身体に居る為、眠っている間は、俺の視界も身体の自由も奪われている。まぁ、寝ているのだから当たり前といっちゃ当たり前なのだが……何だろう、この不自由感。
身体という名の拘束具か。意識だけある状態という、何とも言えない不愉快感。
『あ、ごめんね。起きたよ』
『それは……助かる』
体感時間にして5時間。実際に王子が時計を見た時は2時間くらいだったけれど……苦痛な時間は長く感じるってのは正解なんだなと、これからの生活に嫌気が刺す程だ。
『まぁ、そう言わずに。美味しいお茶とお菓子を用意するから』
『……それくらいなら……』
『大丈夫、嫌いなものを言ってくれたら手をつけないから』
起きた王子は簡単に身支度をすると、お茶の準備を頼んでいた。
共有とはいえ、味覚があるのは嬉しいし喜ばしいが、王子が食事した時に嫌いなものを口の中に入れられた時は思わず脳内で悲鳴をあげた。
……嬉しい事だけではないのだ。
しかし、残す事はマナー違反なのだと言えば……手をつけなくても大丈夫なお菓子は安心できるというもの。
本当の願いは、とっととこの身体から出たい事なのだが。
『…………』
この件に関しては突っ込みも入らない程、絶賛スルーをする王子だ。こんちくしょう。
『そのゲームとやらで、皆が辿った道筋を教えて欲しい』
真剣な声色が脳内に響く。……これって言って良いものなのか悩むところではあった。
だって自分がゲームの中に居る人間で、既に未来が決まっていて、それを知らずに洗脳のような形を取らされていたというわけで……そこに自我はない。
それどころか、自分がただの駒になったよう思えるではないが。
『まぁ……知りたいというなら教えるけど』
そう思いながらも、現状に不満を抱いている俺は、八つ当たりの気持ちを含みつつ、知りたがったから教えたという言い訳も出来る状態に罪悪感も多少薄らいだ。
『罪悪感を感じる必要はないから。その方が対策もたてやすい』
『…………』
人の感情までも読み取れるのか。
どこまでも王子の方が上に居る現状は俺に対して不愉快な感情をもたらす。それも含めて全てを八つ当たりのように吐き出す事にした。
従者の声に王子は頷き、起きたら話そうと伝えてきた。
確かに昏睡状態というか……ずっと寝ていたのだから体調がまだ完全ではない。それでも最低限の指示は飛ばし、アニスを追い詰める段取りだけは起きてすぐに全て行った辺り、王族なんだろう。
さすが英才教育。そんなものと縁もない俺的には、感嘆の声を上げる以外ない。
王子の身体に居る為、眠っている間は、俺の視界も身体の自由も奪われている。まぁ、寝ているのだから当たり前といっちゃ当たり前なのだが……何だろう、この不自由感。
身体という名の拘束具か。意識だけある状態という、何とも言えない不愉快感。
『あ、ごめんね。起きたよ』
『それは……助かる』
体感時間にして5時間。実際に王子が時計を見た時は2時間くらいだったけれど……苦痛な時間は長く感じるってのは正解なんだなと、これからの生活に嫌気が刺す程だ。
『まぁ、そう言わずに。美味しいお茶とお菓子を用意するから』
『……それくらいなら……』
『大丈夫、嫌いなものを言ってくれたら手をつけないから』
起きた王子は簡単に身支度をすると、お茶の準備を頼んでいた。
共有とはいえ、味覚があるのは嬉しいし喜ばしいが、王子が食事した時に嫌いなものを口の中に入れられた時は思わず脳内で悲鳴をあげた。
……嬉しい事だけではないのだ。
しかし、残す事はマナー違反なのだと言えば……手をつけなくても大丈夫なお菓子は安心できるというもの。
本当の願いは、とっととこの身体から出たい事なのだが。
『…………』
この件に関しては突っ込みも入らない程、絶賛スルーをする王子だ。こんちくしょう。
『そのゲームとやらで、皆が辿った道筋を教えて欲しい』
真剣な声色が脳内に響く。……これって言って良いものなのか悩むところではあった。
だって自分がゲームの中に居る人間で、既に未来が決まっていて、それを知らずに洗脳のような形を取らされていたというわけで……そこに自我はない。
それどころか、自分がただの駒になったよう思えるではないが。
『まぁ……知りたいというなら教えるけど』
そう思いながらも、現状に不満を抱いている俺は、八つ当たりの気持ちを含みつつ、知りたがったから教えたという言い訳も出来る状態に罪悪感も多少薄らいだ。
『罪悪感を感じる必要はないから。その方が対策もたてやすい』
『…………』
人の感情までも読み取れるのか。
どこまでも王子の方が上に居る現状は俺に対して不愉快な感情をもたらす。それも含めて全てを八つ当たりのように吐き出す事にした。
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