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61.王子との別れ
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「私財は貯めてあるから、二人で隠居生活をおくれば良いよ」
更に追撃するかのように、王子は魅力的な発言をした。
身体だけでなく、お金も貰える上に権力と地位まである……。更に居ればアイと一緒に居られる……。
でも……しかし……と、否定的な言葉が頭の中を駆け巡る。そこまでしてもらって良いのか?良い話には裏があるとも言うし……。
「ていうか、本当に今更なんだよね……」
なかなか頷かない俺に、王子はため息をついた。
「実は、憑りついていたのは僕の方なんだけど……」
「……は?」
もう、脳内で理解しろという方が無理だ。
怒涛に過ぎて行った日々に、色々とネタバラシ的に聞かされても、もう考えたくもない。いっそ流されてる方がマシというものじゃないのかと。
「本当なら、君はすぐに僕の身体に入る筈だったんだけど、僕が弾いちゃったのかな?起きてから僕が動かしてたのは、ちゃんと憑りついていたからだけど」
何だそれ。何だかんだ言われた所で、全て結果論的にアイが断罪されなくて良かったね!としか思えない。もう何も考えたくない。
実は、とか。本来なら、とか。どうせ全て過ぎ去った過去で、今更過ぎる。
それに……ここまでくれば、引かれたレールに乗ってしまえば良いんじゃないだろうか……アイみたいに断罪ルートではないのなら。
……これが断罪ルートならご勘弁願いたい。
「そんなんじゃないよー」
仮に憑りついたのが王子だったとして、それを悪いと微塵も感じさせない。むしろ悪びれもなく笑っているのが清々しいというか……。
「……色々悩んでいるのが馬鹿らしくなる」
「それでいいと思うよ。どうせ変えられないなら受け入れるしかないでしょう」
その言葉は、スッと自分の心に入ってきた。
過去はどうせ変えられないし、そうなってしまっているものは仕方ない。
……要らないとか、返すとか言ったところで、それが出来ないという事で……俺がただ感情的に固辞しているだけだ。
「僕は消える。僕の身体は君のもの。それだけなんだから……」
時間なのか、王子の身体が更に透けていった……。
消える……消えるとは、こういう事なのか。
今まで自分自身がその瀬戸際に居たからか、変な恐怖が沸き起こると共に……一切悔いのないような顔をしている王子に安堵する気持ちもある。
「ただ、それから先の選択をどうするかは、君自身だよ……斗真」
正論で頭を殴られたような感覚だ。
そうだ……王族になって選択するというのは、前世以上の事だろう……。
「……隠居するし」
俺がそう言えば、それでいいと言わんばかりに王子は満面の笑みで消えて行った。
更に追撃するかのように、王子は魅力的な発言をした。
身体だけでなく、お金も貰える上に権力と地位まである……。更に居ればアイと一緒に居られる……。
でも……しかし……と、否定的な言葉が頭の中を駆け巡る。そこまでしてもらって良いのか?良い話には裏があるとも言うし……。
「ていうか、本当に今更なんだよね……」
なかなか頷かない俺に、王子はため息をついた。
「実は、憑りついていたのは僕の方なんだけど……」
「……は?」
もう、脳内で理解しろという方が無理だ。
怒涛に過ぎて行った日々に、色々とネタバラシ的に聞かされても、もう考えたくもない。いっそ流されてる方がマシというものじゃないのかと。
「本当なら、君はすぐに僕の身体に入る筈だったんだけど、僕が弾いちゃったのかな?起きてから僕が動かしてたのは、ちゃんと憑りついていたからだけど」
何だそれ。何だかんだ言われた所で、全て結果論的にアイが断罪されなくて良かったね!としか思えない。もう何も考えたくない。
実は、とか。本来なら、とか。どうせ全て過ぎ去った過去で、今更過ぎる。
それに……ここまでくれば、引かれたレールに乗ってしまえば良いんじゃないだろうか……アイみたいに断罪ルートではないのなら。
……これが断罪ルートならご勘弁願いたい。
「そんなんじゃないよー」
仮に憑りついたのが王子だったとして、それを悪いと微塵も感じさせない。むしろ悪びれもなく笑っているのが清々しいというか……。
「……色々悩んでいるのが馬鹿らしくなる」
「それでいいと思うよ。どうせ変えられないなら受け入れるしかないでしょう」
その言葉は、スッと自分の心に入ってきた。
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……要らないとか、返すとか言ったところで、それが出来ないという事で……俺がただ感情的に固辞しているだけだ。
「僕は消える。僕の身体は君のもの。それだけなんだから……」
時間なのか、王子の身体が更に透けていった……。
消える……消えるとは、こういう事なのか。
今まで自分自身がその瀬戸際に居たからか、変な恐怖が沸き起こると共に……一切悔いのないような顔をしている王子に安堵する気持ちもある。
「ただ、それから先の選択をどうするかは、君自身だよ……斗真」
正論で頭を殴られたような感覚だ。
そうだ……王族になって選択するというのは、前世以上の事だろう……。
「……隠居するし」
俺がそう言えば、それでいいと言わんばかりに王子は満面の笑みで消えて行った。
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