【完結】異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり

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第四章

12.地盤作りの為に

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「何それ面白そう!」
「異世界と言えば! だね」

 キィの言葉に私達ははしゃいでしまった。
 最早、商品開発すらも作業的というか……どこかにプレッシャーが感じられるものになってしまった中での楽しみを見つけたような気がした。

「そっか……魔法陣!」
「ねぇ……錬金も使えるよね」
「色々組み込めば、様々な効果が出てこないかな!」

 三人で話し込んでいれば、申し訳なさそうにデイルが口を挟む。

「危険なものは止めて下さいね」
「作り方が分かれば危険なものになるようなものとか」

 ウィルは面白そうな表情をしながら言った。
 確かにそうだ。
 便利だと思って作っても、それを悪用する方法があるかもしれない。
 アンドリューはウィルの言葉で真っ青な顔をしているけれど、何かを言ってくる事はなかった。

「とりあえず……ボールペンくらいなら何とかならないかなぁ」
「消せるボールペンは難易度高いもんね……」
「……シャーペンと消しゴムの原材料って何なんだろう」

 何度もインクにつけて書くって結構面倒なんだよね。インクの量も調整しないとだし。

(真がいれば、危険になりそうなものとかのアドバイスも的確にしてくれたんだけどなぁ……)

 ふとした時に、いつも思い出す。
 一体、今どこに居るのだろう。何をしているのだろう。
 ちゃんと食べているのだろうか。暑さ寒さは大丈夫だろうか。
 怪我や病気はしていないだろうか。
 色々と考えては、心が不安に染まっていくけれど、真なら大丈夫だと信じる心で気丈に保つ。
 信じるんだ、真を。真だからこそ、大丈夫なのだと。
 きっとまた、私達の前に何事もなかった顔で現れてくれると。




 ボールペンに始まり、送風機やケトルのような湯沸かし器、ドライヤー等。
 生活魔法を使うのではなく、道具で補えそうなものは作って行った。
 まずは小さいものからで、徐々に冷凍庫や冷蔵庫、更にはエアコンまでも手を伸ばしたいとは思っているけれど……。素材がなかなか見つからない。

「自立と言ってもなぁ……」

 護衛騎士が居る傍ら、国を興すという言葉を使わず、自立という言葉で隠して話す。

「大小、様々な国が色んな所にあるね」
「その特性もあるし、同盟国みたいなのもあるみたいだよね」

 ひたすら学び、作り、地盤を固める。そして、土地の選定もなのだけれど……。

「……あれ?」

 ふと、地図を見ながら、私達はとんでもない事を見落としている事に気が付いてしまった。
 なんとなく……これをそのままにしておいては、いけないのではないかと。

「……私達が落ちてきた場所って、どこ……?」

 この国へ置いたままにしておけないのではと。
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