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39.平穏が壊れる
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「何か増えてる!?」
「シアが拾ってくるのと、どっちが多いかな」
「勝手についてきてるのも拾ってきた方に数えないでね!?」
「てか魔物は拾ってこないでね。あれは狩るものだから」
「分かってるから!」
密度が増えつつある施設。それは確かに私が保護してしまう魔獣にある。というか、中には付いてくる魔獣も居るのだが、それはどうも餌目当てな感じもする……あとは、保護した子に家族。
魔物と魔獣には気を付けてね、というフィンは言う。何でも魔物は完全に獣で、本能のみで生きているから人間なんて狩られる対象らしい。一応、元ペット。見境なく拾ってくるなというのは度々注意勧告してくれるのだ。
そして、それだけではなく……。
「これはどう作るの?猫耳のおじちゃん!」
「猫!?……いや、これはな……」
「魔獣の赤ちゃんだー!可愛い!」
「こら!遊びだけじゃなく料理も覚えなさい!」
視線の先には、人間の子ども達が獣人達と一緒に料理をしている。中には魔獣で遊んでいる子も居るけれど、そこは店主……名前をローアンさんと言うらしいが、ローアンさんが怒っている。
「いや~すいませんな~」
そう言って笑うローアンさんは、もう獣人や魔獣に怯えてはいない。
あれから、色んなレシピを知ったローアンさんは村でも売ろう!調味料をもっと仕入れよう!となったは良いが、自分1人では作り切れないとなったらしく、村の子ども達を助っ人に呼んだ。子ども達にしたのは、まだそこまで獣人や魔獣に対しての先入観が薄いという事もあったそうだが、結果として、もふもふと戯れる日々になっている。
ちなみに、売上があるので皆に食事を配るのも調味料を購入するのも問題がない。……と言っても、足りなければ両親がお金を出すから請求しろとローアンさんに言ったらしい。更に王都からこちらへ定期的に行商人を派遣するとかも……。
頑張りどころがおかしい。そんな事を思いながらも、人間や獣人と魔獣が和やかに暮らすこの空間がとても心地良い。……密度が凄いけど。
「……森、開拓する?」
「……自然破壊は、あまりしたくないかなぁ……」
フィンの物騒な言葉にそう返す。毎日が穏やかで自由な幸せいっぱいの日々だ。むしろ悪役令嬢で良かった、婚約破棄万歳とさえ思えていたけれど……。
「シア!大変よ!」
「すまない!力不足だった!」
血相を変えた両親がいきなり駆け寄ってきた。走るなんて貴族にはない事だ。
「どうしたの!?」
そこまで慌てる両親なんて今まで見た事もない。何があったのかと心配になったが、お父様の手に握られている封書を見て、私も一瞬息を呑んだ。
手紙に押されているのは、国王の印。つまり書かれている内容は王命となる。いくら公爵と言えど逆らう事などできない。
「……王家から呼び出しの書状が届いた……」
お父様は悔しそうに手の中にあった手紙を私に差し出した。
「シアが拾ってくるのと、どっちが多いかな」
「勝手についてきてるのも拾ってきた方に数えないでね!?」
「てか魔物は拾ってこないでね。あれは狩るものだから」
「分かってるから!」
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魔物と魔獣には気を付けてね、というフィンは言う。何でも魔物は完全に獣で、本能のみで生きているから人間なんて狩られる対象らしい。一応、元ペット。見境なく拾ってくるなというのは度々注意勧告してくれるのだ。
そして、それだけではなく……。
「これはどう作るの?猫耳のおじちゃん!」
「猫!?……いや、これはな……」
「魔獣の赤ちゃんだー!可愛い!」
「こら!遊びだけじゃなく料理も覚えなさい!」
視線の先には、人間の子ども達が獣人達と一緒に料理をしている。中には魔獣で遊んでいる子も居るけれど、そこは店主……名前をローアンさんと言うらしいが、ローアンさんが怒っている。
「いや~すいませんな~」
そう言って笑うローアンさんは、もう獣人や魔獣に怯えてはいない。
あれから、色んなレシピを知ったローアンさんは村でも売ろう!調味料をもっと仕入れよう!となったは良いが、自分1人では作り切れないとなったらしく、村の子ども達を助っ人に呼んだ。子ども達にしたのは、まだそこまで獣人や魔獣に対しての先入観が薄いという事もあったそうだが、結果として、もふもふと戯れる日々になっている。
ちなみに、売上があるので皆に食事を配るのも調味料を購入するのも問題がない。……と言っても、足りなければ両親がお金を出すから請求しろとローアンさんに言ったらしい。更に王都からこちらへ定期的に行商人を派遣するとかも……。
頑張りどころがおかしい。そんな事を思いながらも、人間や獣人と魔獣が和やかに暮らすこの空間がとても心地良い。……密度が凄いけど。
「……森、開拓する?」
「……自然破壊は、あまりしたくないかなぁ……」
フィンの物騒な言葉にそう返す。毎日が穏やかで自由な幸せいっぱいの日々だ。むしろ悪役令嬢で良かった、婚約破棄万歳とさえ思えていたけれど……。
「シア!大変よ!」
「すまない!力不足だった!」
血相を変えた両親がいきなり駆け寄ってきた。走るなんて貴族にはない事だ。
「どうしたの!?」
そこまで慌てる両親なんて今まで見た事もない。何があったのかと心配になったが、お父様の手に握られている封書を見て、私も一瞬息を呑んだ。
手紙に押されているのは、国王の印。つまり書かれている内容は王命となる。いくら公爵と言えど逆らう事などできない。
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お父様は悔しそうに手の中にあった手紙を私に差し出した。
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