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82.そして治世は
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「な……あっ……」
声にならない声が聞こえた。王太子殿下が居るだろう王城に近い方角から聞こえたと思い、そちらに視線を向けると、そこには国王王妃両陛下や宰相に大臣達……少し離れたところではお父様の姿も見えた。
恐れるような表情で震える国王陛下に、悔しそうな顔でこちらを見つけている王妃陛下。大臣達は呆気に取られたような表情をする中、宰相はどこか笑いを堪えているようだ。様々な思惑を思わせる反応の中、お父様だけはフィンに対して物凄く睨みつけているのは気のせいだろうか……相手は聖獣様ですよ。
「ダリス・ヴィ・アルヴァン」
「はっ」
フィンが声高らかに王太子殿下の名前を呼ぶと、すぐに王太子殿下は反応した。というか、空気読んで!これ以上目立たないで!という意味を込めて、フィンの服を少しだけ引っ張るも、爽やかな笑顔を私に向けると、すぐ王太子殿下へ視線を戻した。
いやいやいや、一体何を言うつもりなの!?何かもうこれ以上どうなっても私に害がないなら良いか。もう森に引きこもりしてれば良いかな!?なんて若干自暴自棄的な思考に侵される。……いや、それとても幸せじゃない?
「人間の治世は任せる」
「え?」
「……は?」
フィンの衝撃的な言葉に対して、すぐ反応したのは私で、王太子殿下は一拍間を置いた後、素っ頓狂な声を上げた。そりゃ驚くよね、だって王太子だもの。まだ国王陛下は存命なのに任せられても……ね?
「いやいや、何を!?」
「その無能に任せていたから、こんな事になってる」
焦って言葉を返す王太子殿下に対し、至極ハッキリと簡潔にフィンは返した。……うん、第二王子殿下が暴走したのも、止められなかったのも、親の責任……そして国の責任ともなれば……国王王妃両陛下だよね。
「なっ」
「そんなっ」
驚き固まったままの国王と王妃に対し、周囲に居た人達は王太子殿下に向かい頭を下げ、更には膝をつく。宰相や大臣達……そして周囲に居た貴族達や騎士団と魔術師団の面々までも。
それは一同が王太子に忠誠を誓うという意味となる。この瞬間、フィンの言葉通りに王太子が治める事になるだろう。
焦っていた王太子殿下も、その光景を見ては流石に表情を直し、皆に向き合った。流石王族、王太子と言ったところだろうか。この数秒の間に覚悟を決めたようだ。
フィンと共に王太子殿下の方へ下りて行く。獣人達が王城へ向かって駆けてくるのが見えた。そしてワイバーンも着いてくるのだが……その大きさから流石に着地までは出来ない。
「あ、そうだ」
降り立ったフィンは少し意地の悪そうな顔をしながら、国王王妃両陛下や宰相、大臣の方へ視線を向けた。
声にならない声が聞こえた。王太子殿下が居るだろう王城に近い方角から聞こえたと思い、そちらに視線を向けると、そこには国王王妃両陛下や宰相に大臣達……少し離れたところではお父様の姿も見えた。
恐れるような表情で震える国王陛下に、悔しそうな顔でこちらを見つけている王妃陛下。大臣達は呆気に取られたような表情をする中、宰相はどこか笑いを堪えているようだ。様々な思惑を思わせる反応の中、お父様だけはフィンに対して物凄く睨みつけているのは気のせいだろうか……相手は聖獣様ですよ。
「ダリス・ヴィ・アルヴァン」
「はっ」
フィンが声高らかに王太子殿下の名前を呼ぶと、すぐに王太子殿下は反応した。というか、空気読んで!これ以上目立たないで!という意味を込めて、フィンの服を少しだけ引っ張るも、爽やかな笑顔を私に向けると、すぐ王太子殿下へ視線を戻した。
いやいやいや、一体何を言うつもりなの!?何かもうこれ以上どうなっても私に害がないなら良いか。もう森に引きこもりしてれば良いかな!?なんて若干自暴自棄的な思考に侵される。……いや、それとても幸せじゃない?
「人間の治世は任せる」
「え?」
「……は?」
フィンの衝撃的な言葉に対して、すぐ反応したのは私で、王太子殿下は一拍間を置いた後、素っ頓狂な声を上げた。そりゃ驚くよね、だって王太子だもの。まだ国王陛下は存命なのに任せられても……ね?
「いやいや、何を!?」
「その無能に任せていたから、こんな事になってる」
焦って言葉を返す王太子殿下に対し、至極ハッキリと簡潔にフィンは返した。……うん、第二王子殿下が暴走したのも、止められなかったのも、親の責任……そして国の責任ともなれば……国王王妃両陛下だよね。
「なっ」
「そんなっ」
驚き固まったままの国王と王妃に対し、周囲に居た人達は王太子殿下に向かい頭を下げ、更には膝をつく。宰相や大臣達……そして周囲に居た貴族達や騎士団と魔術師団の面々までも。
それは一同が王太子に忠誠を誓うという意味となる。この瞬間、フィンの言葉通りに王太子が治める事になるだろう。
焦っていた王太子殿下も、その光景を見ては流石に表情を直し、皆に向き合った。流石王族、王太子と言ったところだろうか。この数秒の間に覚悟を決めたようだ。
フィンと共に王太子殿下の方へ下りて行く。獣人達が王城へ向かって駆けてくるのが見えた。そしてワイバーンも着いてくるのだが……その大きさから流石に着地までは出来ない。
「あ、そうだ」
降り立ったフィンは少し意地の悪そうな顔をしながら、国王王妃両陛下や宰相、大臣の方へ視線を向けた。
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